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トップ > 社会 > 「おぐらが斬る!」世界から嫌われる中国 今度は紙の上の侵略か

「おぐらが斬る!」世界から嫌われる中国 今度は紙の上の侵略か

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中国が発表した新しい標準地図が物議を読んでいる。

沖縄県の尖閣諸島を中国名の釣魚島と表記し、南シナ海のほぼ全域を自国のものとしていて、さらに台湾も自分の領土とし、南シナ海に接する国は、激怒している。中露国境に位置する大ウスリー島のロシア領部分も中国領としている。インドとの紛争地も自国領と表示しておりインドも当然反発。先日閉幕したG20はインドで行われたが、習近平ははじめて欠席した。

その理由として、G20開催国のインドなどがこの地図に激しく反発をしていることで、もし習近平本人が、インドのモディ首相など各国から批判され、つるし上げられたくないという思いから、欠席したのではないかというのがもっぱらの噂だ。

習近平自身は、2013年から毎年出席しているくらいG20を大切にしており、今年もこの会議で存在感を示したかったはずだ。

特にインドは、BRICS(ブリックス)の覇権争いしているライバル国でもある。インドは人口で中国を抜いて世界一になり、中国の海洋進出に対抗すべく国産空母を作った。

一方なぜ中国は多くの隣国に嫌われるような地図を作り、なぜいま発表したのか?

中国はいま経済的失策が続き、国民の不満がたまってきている。

中国国民のこれらの不満を共産党政府にだけは向けてほしくない。昨年冬に中国では、ゼロコロナ政策への不満が共産党政府や習近平に向かい「白紙運動」というデモが起きたことがあった。

中国共産党はそのときは逮捕に踏み切らなかったが、逮捕者が出るのはゼロコロナ政策が終わって、みんなが安心したころ、デモの様子を撮影した動画から1人ひとりを割り出し、逮捕していったのだ。逮捕者はどれくらいの数になるのかは不明である。そして秘かにいまも逮捕が続いていると言われている。

習近平や中国共産党は、それぐらい市民の反乱を怖れている。海外からの批判よりも、国内の不満を鎮めたい。そのためには、市民が国に逆らわないように「愛国教育」に力を入れる。この地図もその愛国教育の一環だ。

この新しい標準地図には一つのモデルがある。「国恥地図」と言われる古地図で、1933年、に出版され、そこには沖縄や台湾、樺太、南シナ海、朝鮮半島、東南アジアの国、モンゴル、カザフやキルギス、アフガンやタジキスタンといった国や地域、海域が入っている。

これはかつての中国に朝貢した国々も含めてのことだが、この地図を当時の中華民国を率いた蒋介石が、愛国意識を高めるため、教育現場で使われた地図だ。

いまでも中国の国民は南シナ海も沖縄も本当は中国のものなのだと考えているという。

今回の地図はインドの国境紛争地帯と南シナ海は、中国国民に「ここは元々我が国のものだ」とアピールした形となった。

中国人の脳内イメージには、中国の「発展」よりも「復興」や「失地回復」、かつての偉大な中国を取り戻そうというのが植え付けられているのかもしれない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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