先週の7月8日は、なかなか作品を発表してくれないことで知られるダンス・ミュージックの二組の雄、アヴァランチーズとエイフェックス・ツインが共に作品をリリースした日となった。そこで、今回は彼らの作品を含む、ダンス・ミュージックの歴史を永遠に変えることになった40枚の名作を御紹介しよう。
1. クラフトワーク『ヨーロッパ特急』(1977年)
まずはクラフトワークの画期的なアルバム『ヨーロッパ特急』だろう。これこそ彼らを比類なき革新者たらしめた、ハイセンスで知的な名盤だ。
2. デヴィッド・ボウイ『ロウ』(1977年)
デヴィッド・ボウイのベルリン3部作は、彼の作品の中でも最も大胆で挑戦的なものとして際立っているが、『ロウ』はその中でも頂点に立つと言える。ブライアン・イーノとコラボレーションした実験的かつ先進的なこの作品はクラフトワークなどからヒントを得ているが、このアルバム自体が影響力の強い1枚だ。
3. ドナ・サマー『アイ・リメンバー・イエスタデイ』(1977年)
ダンスフロアの名曲で史上最高のシングルの1つでもある“I Feel Love”を収録したアルバム。しかしヒット曲を抜きにして考えても、このドナ・サマーの5枚目のアルバムは、ディスコの父と呼ばれるジョルジオ・モロダーとタッグを組んで作られた彼女の音楽がいかに革新的だったかを示している。この2人はディスコ史における比類なき存在であると言えるだろう。
4. フィリップ・グラス&ロバート・ウィルソン『浜辺のアインシュタイン』(1978年)
電子音楽の巨匠であるフィリップ・グラスによるこの4幕のオペラは5時間にもわたる長編で、科学者アルバート・アインシュタインに感化されて生まれた。人々を魅了する名作だ。
5. グレイス・ジョーンズ『ナイトクラビング』(1981年)
パワフルな女性、グレイス・ジョーンズの5作目のアルバム『ナイトクラビング』は、彼女のパワーの頂点となった。1981年には『NME』のアルバム・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。今なお画期的なサウンドの1枚だ。
6. ビースティ・ボーイズ『ポールズ・ブティック』(1989年)
ビースティ・ボーイズのこの名盤は発売から27年を迎えるが、青臭くてやんちゃな輝きは色あせていない。サンプリングのお手本であり、歌詞も素晴らしく、ダスト・ブラザーズによる最高のプロダクションに彩られている。
7. マッシヴ・アタック『ブルー・ラインズ』(1991年)
トリップ・ホップのパイオニア、マッシヴ・アタックのデビュー・アルバム『ブルー・ラインズ』は史上最高のアルバムと評されることが多く、セカンド・シングルの“Unfinished Sympathy”も史上最高の曲と言われる。素晴らしい偉業じゃないか?
8. プライマル・スクリーム『スクリーマデリカ』(1991年)
1990年代におけるベスト・アルバムの1枚として知られる『スクリーマデリカ』は、プライマル・スクリームがロックとダンス・ミュージックを脳みそがとろけそうな方法で融合させたサード・アルバムだ。これと同じものは二度と生まれないだろう。
9. ジェフ・ミルズ『ウェイブフォーム・トランスミッション Vol.1』(1992年)
知性的なハードコア・テクノの新機軸を確率することになったジェフ・ミルズの『ウェイブフォーム・トランスミッション Vol.1』は、このDJの初期のソロ作品だ。アドレナリンをほとばしらせる殺伐としたシンセラインが頭蓋骨に突き刺さる、まさに音の魔法だ。
10. アンダーワールド『ダブノーベースウィズマイヘッドマン』(1994年)
アンダーワールドのサード・アルバムについて、かつて『NME』では次のように評している。「アンダーワールドが昨年、ビョークやオービタルのリミックスを手掛ける前は、彼らが94年にこのような先進的なアルバムを出すとは誰も予想だにしていなかっただろう。遊んでいるような、気のふれたものもあるが、彼らは“曲”を書くことで、ダンス・ミュージックが頓挫していた匿名性という課題に解決策を見いだしたのだ」
11. レフトフィールド『レフティズム』(1995年)
この1995年のレフトフィールドのデビュー・アルバムによって、イギリスのハウス・ミュージックは生き永らえることができた。抑え切れない生命力と刺々しさとエネルギーの溢れたこのアルバムには、セックス・ピストルズやパブリック・イメージ・リミテッドで知られる伝説、ジョン・ライドンとレコーディングした力強いハウスの名曲“Open Up”も収録されている。
12. ゴールディー『タイムレス』(1995年)
『NME』が1995年のアルバム・オブ・ザ・イヤーで10位に選出した『タイムレス』は、ドラムンベースの歴史に革新を起こしたアルバムだ。複雑なテクスチャーとサウンドが融合したことで、ダンス・ミュージック史上において重要な位置を占めるアルバムとしての確固とした地位を築いた。
13. エイフェックス・ツイン『リチャード・D・ジェイムス・アルバム』(1996年)
今回のリストの中では最も踊れないダンス・ミュージック・アルバムである、彼の本名を冠したこのアルバム『リチャード・D・ジェイムス・アルバム』は、彼の最高傑作であり、またエレクトロニック・ミュージックの革新的作品の1つでもある。体が引きつりそうなダンス・ミュージックだが、レディオヘッドやフォー・テットなど、数多くのアーティストに影響をもたらしたアルバムだ。
14. DJシャドウ『エンドトロデューシング』(1996年)
全体がほぼサンプリングで構成されており、そして全編が素晴らしい作品でもある。ダンス・ミュージックの金字塔だ。
15. ケミカル・ブラザーズ『ディグ・ユア・オウン・ホール』(1997年)
ケミカル・ブラザーズのこのセカンド・アルバムは、イギリス国内で最も愛されているアルバムの1つだ。ノエル・ギャラガーまでもがゲスト・ヴォーカルとして参加しており、アルバムは最初から最後まで鮮烈で、情熱的で、激しく、そして力に満ち溢れている。
16. ダフト・パンク『ホームワーク』(1997年)
ダフト・パンクの1997年のデビュー・アルバムは、彼らが世界中のダンス・シーンに強力な影響力を持っていることを証明した。『ホームワーク』は、ハウス、テクノ、エレクトロ、ヒップ・ホップが融合したものの最も優れた部分を詰め込んでおり、その過程において以降のポップ・ミュージックを一新している。
17. ザ・プロディジー『ザ・ファット・オブ・ザ・ランド』(1997年)
『ファット・オブ・ザ・ランド』はザ・プロディジー3枚目のフル・アルバムで、ヴォーカルとしてキース・フリントを迎えた初めてのアルバムでもある。『ミュージック・フォー・ザ・ジルテッド・ジェネレーション』の後、完全なる革新をもたらしたアルバムで、アメリカのエレクトロック・ミュージックをほぼ単独で駆逐する役割を果たした。
18. ファットボーイ・スリム『ユーヴ・カム・ア・ロング・ウェイ・ベイビー』(1998年)
このセカンド・アルバムで、ノーマン・クックはエレクトロニック・ダンス・ミュージックのアーティストとしては初めてアメリカのチャートでトップ40入りを果たした。ビッグ・ビートとしては最も偉大なサクセス・ストーリーの1つだともされる。ソウル・ファンクの“Praise You”で詩を読むように朗々と歌うカミラ・ヤーブローの70年代の曲をサンプリングしたことにより、魂までも届けたと言えるだろう。
19. ポール・オーケンフォールド『トランスポート』(1998年)
イギリスでレイヴの祖とも呼ばれるポール・オーケンフォールドの8枚目のアルバム『トランスポート』は、トランス史上最高のアルバムと言われている。この『トランスポート』はシリーズ化され、マックス・グラハムやサンドラ・コリンズといった異なるアーティストによって、この後さらに5作品が制作された。
20. アモン・トビン『パーミュテーション』(1998年)
アモン・トビンのサード・アルバムはトリップ・ホップ、ジャズ、スウィング・ミュージックを深く掘り下げ、かつて誰も成し遂げられなかったほどのヴァリエーションを構築している。
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