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Rubyコミッターの卜部昌平氏が目指す、 お商売を簡単にすること、を簡単にすること

heyのプラットフォーム本部でプログラマーを務める卜部昌平さん。また、Rubyのコミッターという顔を持ってもいます。そんな卜部さんに、heyで働く理由やこれまでのキャリアなどを聞きました。

ゲームを作るために始めたプログラミング

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──これまでに受けられていたインタビューを拝見すると、大学時代ですでにRubyの開発に取り組まれていたとか。小さな頃からプログラミングをやっていたんですか?

パソコンを初めて触ったのは中学の時くらいでした。当時はまだインターネットにも繋がっていないもので、父が仕事の報告書を作るために持ち帰ってきたものでした。

──お父様のお仕事が考古学者だったというのもインタビュー記事で拝見しました。面白そうですね。

子供の頃はまれにフィールドワークに連れて行ってもらったりしました。矢尻のようなものを発掘した記憶もあります。といっても素人には区別がつかないので、まわりの方が教えてくれるような形で。父は野山を削ったり掘ったりしたことを調査報告にまとめるんですが、そこで撮った写真を補正するのにフォトショップが必要で、父がパソコンを持って帰ってきたというわけです。

──そのパソコンでプログラムを書いていたんですか?

そうですね。最初はゲームを作って遊ぼうという動機だったんです。今のように毎日のようにApp Storeに新作のゲームが並ぶような時代ではなかったので、自分で作ってみようと。やってみるとゲームを作る過程のほうが面白くて、そちらに熱中するようになりました。新しいソフトウェアや知識は雑誌から得ました。インターネット環境が当たり前ではなかったので雑誌にCD-ROMがついていて、それを読み込むスタイルでした。

──もともとそういうものにのめり込む素質はあったのでしょうね。

そうですね。自分らしいなと思う幼少期のエピソードに、レゴブロックで自分なりに組み上げたものを親が壊してしまった時、親が直したものが自分の理想の形じゃないと親を怒ったというものがあります。何かを作ることに関しては我が強いタイプだったんだと思います。

──ゲームづくりのために始めたプログラミングを面白いなと思ったポイントはどんなところなんでしょう。

自分が思わぬような、想定を超える動きをするのが面白かったです。例えば電卓のプログラムをつくるとすると、1+2という式でも解を出しますが、ランダムに羅列した数字を打ってもちゃんと正しい答えが返ってくる。そういう、自分が考えたことだけでなく一見ランダムに見える入力や、思いもつかないようなことでも反応が返ってきたり、思った通りに動いたりするのが面白かったですね。

──ご自身のプログラミングを振り返って、転機になっているのはどのあたりなのでしょう。

中学高校とずっとずっとやってきたことが実を結んだというのもありますが、大学に入ってRubyに書籍を通じて出会ったことと、インターネット上のコミュニティでいろんな人とつながり始めたことですね。実際にオフラインの飲み会にも顔を出すようになって世界が広がったと思います。Rubyに関わる人たちが集まるお花見に参加したりもしました。オンラインでコミュニケーションしていた人たちですが、実際に会ってもなんだか想像どおりでほっとしたのを覚えています。

──素人質問でお恥ずかしいのですが、そんなRubyの好きなところってどんなところなのでしょう。

あまりやりたいことを阻害しないところですね。「プログラミングはこうなっていくべきだ!」という主義主張によってそうではないものを排除するようなことがあまりないところです。

みんなで仕事を進められる楽しさ 

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──前職ではRubyの開発そのものがお仕事だったわけですが、heyは違いますよね。転職のきっかけをお伺いしたいです。

Rubyのコミッターは、それそのものだけではお金になるものではないんですね。Rubyからお金が出るわけではないのが現状です。前職ではそれを会社が開発支援のひとつとしてお金を払ってくれていたわけです。そうすると僕の仕事は基本的にはRubyの開発をしていくことになるので、ひとりで進めることになるんです。在宅勤務が推奨されるようになると会社で人に囲まれて働くこともできなくなってしまって転職を考えました。

──人に囲まれて働くことが好きなのは意外でした。

出社してミーティングをたくさんしたいというわけではないですが、他の人がまわりにいる環境が好きなんですよね。ひとりでいてもインターネットをしてしまったりすると必ず仕事に集中できるというわけではない。それなら周りの人から何かインタラクションがあるほうが僕は辛くないかな。同じ在宅勤務なら、他の人と一緒にプロジェクトを進めていくのがいいなと思って転職を考えたというわけです。

みんなで仕事を進められることってすごくいいことだと思うんです。実際にプログラミング言語も、はじめは誰かがひとりでつくるものでしたが、現在はみんなでよいものを作るようになりました。GitHubの登場以降、誰かが通りすがりに直して去っていくことができるようになり、知らない人どうしでひとつのものを作れる、いい環境になったなと思います。

──なるほど。転職をしようと決めた時、heyを選んだのはどうしてだったのでしょう。

フィーリングですね。「heybook」に書かれているような、会社が目指している、小さなお商売を支えようという世界観が好きです。僕自身も、何かを小さいお店で買うのが好きだし、世の中がナショナルチェーンばかりになるのって面白くないなと思います。

取り組むプロジェクトも面白いなと感じました。プラットフォームをつくるというプロジェクトは、規模が小さすぎてもできないし、大手ではもう出来上がってしまっている。プラットフォームづくりができる珍しいチャンスだなと思いました。

──実際に入社されてみていかがですか?

安心して仕事ができています。一緒に働いてる人たちとコミュニケーションがとれているし、必要になったらGoogle Meetで会話もできて、Slackのコミュニケーションも活発です。会社にいけばどこかで人がわいわいしている雰囲気もいいなぁと思います。

新しいことは小さいことから始まっていく

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──さきほど、小さなお商売をサポートする世界観というお話が出ました。これに共感されたのは、ご自身もそういうお商売が好きだからとか何か理由があるのでしょうか?

新しいことは小さいことから始まっていくから、ですね。だから小さいところがもっと増えるといいなと思う。いろんな人が関わっているプロジェクトって方向転換がしづらくて新しいことが始まりづらいのだと思います。

──小さなお商売を支えることでイノベーションが起こりやすい社会になるというわけですね。そのなかで卜部さんが目指していることはありますか?

STORESや、STORES 決済、STORES 予約、という今あるサービスは、プラットフォームが存在しなくても、個々にきちんとサービスとしてやってきた歴史のあるプロダクトです。しかし今後、STORES プラットフォームが成立していくにしたがって新しいサービスができてくるはず。プラットフォームの開発を通じてそういう新しいサービスをつくりやすくできたらいいなと思っています。

「お商売を簡単にすること」を簡単にする仕事

──その結果としてサービスを使う方に思い描くことはどんなことですか?

いろんな人にSTORESのサービスを使ってお商売を始めてみてほしいなと思います。多くの人は、お商売を始めることが人生の選択肢にないと思います。でも実はやれば楽しいかもしれない。それを気軽に、うかつにチャレンジできるようになったらいいと思います。「起業」というと身構えてしまう印象がありますが、もっと気楽にできてもいいはず。それを手助けできるサービス群の基盤となるようなものが作りたいと思います。いわば、いろんな人のお商売を簡単にする、ことを簡単にする仕事、です。このプロジェクトにチームで取り組んで気分転換しながら、Rubyの開発を続けていけたらいいですね。

卜部さんのお気に入り:TENT
炊飯器を買って毎日使っています。家のインテリアを黒で統一しているんですが、デザインがよくてよくなじんでくれました。中の機構は象印で、デザイン一辺倒ではなくおいしいごはんがちゃんと炊ける優れものです。

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