バレーボーラーのための学習プラットフォーム構築にむけて: その1「バレーボールとはどんなスポーツか?」
みなさま、こんにちは。
日本バレーボール協会から出版された教科書「コーチングバレーボール基礎編」の基本技術の章に「動作原理」を書いた布村です。この度、仲間と一緒に、バレーボーラーのための学習プラットフォームの構築を始めようということになりました。
「コーチングバレーボール」が出てから5年になりますが、「この続きをどうするか、実際に現場の指導に役立つにはこれだけでは足りない」という話を、基本技術の編集に一緒に携わった愛知教育大学の縄田亮太先生としてきました。なかなか行動に移せなかったところを、当初から相談に乗っていただいていたONESの雑賀雄太さんに促され、小さなグループから始めてみようということになりました。
続編の出版に働きかけるという選択肢もあるのでしょうが、情報のアップデートと具体的事例の紹介が重要であり、さらに動画を使うことも欠かせないだろうと考え、Web上で展開していこうということになりました。
指導に関することだけではなく、バレーボールを学ぶことができる豊富なコンテンツを継続的に提供していこうと相談していますが、まず手始めに、「バレーボールを学ぶ」ということに関して、布村が個人的に大切だと思っていることを4回に分けてまとめてみたいと思います。
今話題の「世界のトレンドとなっている戦術」や「ゲームモデル」についての話はここでは出てきませんが、これらは「プレイヤーの思考・判断」を育てることなしにはあり得ないので、関係は大いにあると考えています。
その1 「バレーボールとはどんなスポーツか?」
その2 「バレーボールは何が難しいか?」
その3 「バレーボール指導の現場に必要なものは?」
その4 「学校体育のバレーから学べることがたくさんある」
バレーボールとはどんなスポーツか?
学校体育では、バレーボールは「ネット型」スポーツに分類されています。
「ネット型」にはテニス、卓球、バドミントン等がありますが、「ネット越しに相手コートに打ち込む」というところはバレーと共通しているものの、これらの(一般的な)ネット型スポーツでは、「ラケットを使い、相手の攻撃を直接打ち返す」ことで成立しています。
それに対してバレーボールでは、「直接(主に)手でボールを扱い、味方でパスをして攻撃を組み立てる」というところが特徴と言えます。
ところが、味方でパスをして攻撃を組み立てるというのはむしろ、バスケットボール、ハンドボール、サッカー等の「ゴール型」スポーツの特徴なんですね。
ということは、バレーボールは「ネット型」と「ゴール型」のいいとこ取りをした最高のスポーツなんじゃないでしょうか?
そして、ネットに仕切られて、相手に邪魔されずに済み、手で操作できるおかげで変化に富む精密な組み立てが可能になる一方で、「ボールを持ってはいけないし、落としてもいけない」「3回以内で返さなければならない」という制約があり、それがちょうどよい難しさとなっているわけです。
つまり、レシーブ・トス・スパイクという3段攻撃を、自らの手を使って行うところがバレーボールらしさであり、それらの技術は他の競技にはない独特のもので、それらを磨くことに多くの時間が費やされることになります。
さらに、サーブとブロックが現代バレーではとても重要になっているということも忘れてはいけませんね。
現代のバレーではブロックなしに守れるような攻撃はほとんどなく、攻撃戦術の進化はブロックシステムの進化によって促されてきました。
ブロックが優位な状況に対して「時間差攻撃」が開発され、それに対して「リードブロック」が普及し、さらにそれに対して、バックアタックを含めた攻撃参加アタッカーの数を増やす「シンクロ攻撃」が当たり前となり、Tokyo2020オリンピックではさらなる進化も観察されています。
また、サーブも、ブロックの意図に合わせて戦術が組み立てられるようになってきています。