目隠しRTAの始め方
最近は目隠しでRTAをする人も珍しくな…くはないかもしれませんが、目隠しでRTAをしてみようと思う変人が現れてもおかしくはない時代かと思います。私も目隠しRTA経験者ですので、どうやって目隠しでできるようになったのかを紹介します。
基本的にアクションゲームを想定していますが、他のジャンルにもある程度応用できると思います。
1 基本的な考え方
1.1 目隠しでプレイするとき何を考えているか
結論から言うと、やるべきことを全てパターン化しています。例えば
音楽の特定のタイミングでボタンを押す、とあらかじめ決めておくことでボタンを押すタイミングを固定する
特定の行動をN回する、とあらかじめ決めておくことで移動量を固定する(回避行動など移動を伴う技を持つアクションゲームで有効)
特定の音が聞こえるまで方向キーを入れ、音が聞こえたら方向を変える、とあらかじめ決めておくことで移動ルートを固定化する(壁にぶつかると音が鳴るゲームなどで有効)
などがあります。行動を固定化できれば画面を見る必要はなくなります。画面を見ずにプレイするというよりも、画面を見なくてもプレイできるように行動を全て固定化し、それを再生するという考え方が基本です。この固定化された一連の行動をパターンと呼んでいます。
実際にやってみると、ボタンを押すタイミングや長さがずれて、想定していたものと違う動きをしてしまうことがあります。本当に想定通りの動きができたのかを画面を見ずに判断しないといけません。例えば
想定通りであれば聞こえるはずの音が聞こえなかったら想定外の動きをしていると判断する
↑の逆も然り
コントローラの振動で判断する
といった方法です。
想定外の状況になったとして、実際はどんな状況なのかを把握し、想定通りの状況に戻す必要があります。よくある方法としては
今いるかもしれない位置を仮定して、その場所だと特定できる音が鳴るアクションを起こしてみる(想定と違う音が鳴ったら再度位置を仮定し直す)
特定の方向キーを入れっぱなしにして、壁にぶつかるなどして特定の位置まで移動する
(上に登っていく場面において)右にしばらく入力、左にしばらく入力、と繰り返していったん足場から確実に降り、わかる場所まで戻る
ルートが複数あって本来のルートに戻れないような場面では、想定通りでないルート用のパターンもあらかじめ用意しておく(例えば高所の足場を渡っていくはずが落下してしまい、地下を通らないと進めないような状況など)
諦めて自滅し、リスタートする
などがあります。これらの方法を駆使して、パターンを正しく再生し続けてクリアを目指すのが目隠しプレイの主なプレイスタイルとなります。
まとめると、目隠しプレイで覚えるべきことは次の3つです。
目隠しで攻略するための行動パターン
想定通りの動きができたかどうかの判別方法
想定外の状況になってしまった場合のリカバリー方法
まず優先的に覚えるのは攻略のための行動パターンで、残りは失敗しながら自然と覚えることになると思います。
1.2 できるようになるまでの全体の流れ
パターンを覚えるにあたり、次のステップを踏むのがよいと思います。
通常プレイでクリアできるようになる
画面を見ながら、場面ごとにパターンを組み上げる
画面を見ながら、パターンを一通りやってみる(難しければ組み直す)
画面を見ずに、パターンを一通りやってみる(難しければ組み直す)
画面を見ながら、より安定するor速いパターンに組み換える
4と5を繰り返してより良いパターンに洗練していく
要するに、まずはどんなに遅くてもいいから目隠しでクリアできることを目指します。これは箇条書きの4にあたります。そこまでできたら、既存のパターンをより安全なパターン、速いパターンに変えて再現性やタイムを良くしていきます。これを突き詰めるとRTAになります。
2 遅くてもいいから目隠しでクリアしてみよう
座学はこれくらいにして実際にやってみましょう。今回はスーパーマリオブラザーズの1-1をクリアするまでを例にパターンを組んでみます。
2.1 最初のクリボーを飛び越える
ゲーム開始後、右に進むとクリボーが1匹います。マリオは足音を立てずに走るし、クリボーも一切音を発しないのでクリボーとの距離感が分かりません。唯一の便りはBGM。BGMの特定のタイミングでジャンプすると決めておけばよさそうです。
2.2 土管地帯を確実に乗り越える
最初のクリボーは飛び越えれば終わりでしたが、その先の土管がたくさんある地帯のクリボーは土管の間を往復しています。ジャンプのタイミングを間違えればぶつかってしまうでしょう。しかしジャンプのタイミングを全く同じにすればクリボーの位置も毎回同じ位置になるはずなので、BGMを頼りにすべてのジャンプのタイミングを固定化します。また、ジャンプの大きさによって土管を飛び越えられるかどうかが変わってはまずいので、とりあえずジャンプはすべて最大の高さで行うと決めておきます。
2.3 地下室を確実に突破する
地上を進むより地下を経由したほうが速いので、頑張って土管に入ります。敵がいないので、右に進みながらジャンプすればよさそうです。勢いあまって土管の上に乗ってしまいそうなので、行き過ぎたらいったん左に戻ってから再び右に進めばよさそうです。
2.4 最後のクリボーを飛び越える
土管を出ると再びクリボーが。土管を出たらBGMが最初から流れるので、これまでのようにジャンプのタイミングを固定化できます。
2.5 階段を登ろう
RTAでは格好よく登っていくところですが、今はまずクリアできるようになる段階。格好つけずにジャンプ連打しましょう。時間はかかれどクリアはできます。
これらを実際にやってみるとこうなります。
クリアするだけなら難しくはなさそうじゃないですか?
3 RTAっぽくしてみよう
クリアできるようになったので、より速いパターンを探してみましょう。
3.1 土管に入るまでを速くする
先ほどのパターンでは土管にぶつかってからクリボーの周期合わせのために待っていました。なるべく待たないようにジャンプの高さやタイミングを変えてみるのはどうでしょうか?BGMだけが頼りのため、裏拍や16分音符単位でのタイミング調整が必要になり、難易度は上がるでしょう。
3.2 地下室を速く突破する
地下室でいったん土管の上に乗り、左、右、と動き回るのも短縮ポイント。中央の高台から土管入り口に真っ直ぐ降りれればよさそうです。最速を狙うのであれば難しい操作が必要そうですが、Bボタンを離して減速するという方法は簡単かつそこそこ速いパターンとして使えそうです。一旦こういった妥協パターンでやってみて、余裕が出てきたらより速いパターンに挑戦する、というのもありかと思います。
3.3 階段を素早く駆け上がる
階段でモタモタするのも格好悪いし、ボタン連打ではタイムがブレます。直前の土管に乗って大ジャンプするだけでも多少は安定して速くなりそうです。BGMを頼りにそれができないか、探してみましょう。
これらの改良案を実際にやってみるとこうなります。
RTAと呼ぶにはまだまだかもしれませんが、さっきよりは明らかに速くなっています。
4 今回の例だけでは説明しきれない要素
4.1 ボス戦
ゲームによっては様々な攻撃手段を持つボスがいたりします。ボス戦のパターン構築にもいくつか種類があると考えています。
特定の行動を誘発する方法がないか模索してみる。例えば敵から距離を取ると突進を誘発できる、など。
敵の行動を聞き分けられないか観察する。聞き分けてからこちらの行動を変えることで対応できないか練習する。
敵がどんな行動をしたとしても被弾しないような行動パターンを構築する。
ある程度の被弾は受け入れる。例えば、3つの行動のうち2つの行動に対しては回避できるようなパターンで動き、残りの1つが来たら被弾を受け入れる。
パターンを作る際は目を隠さず、画面をよく観察することをお勧めします。
4.2 迷子になったときの対処
自由に動き回れるゲームでは何かの間違いで迷子になってしまうことがあります。そういった時の対処は最初のほうにも書きましたが、
「今ここにいるかもしれない」という場所を仮定する
その場所にいることを確認できる行動をしてみる(音を鳴らす)
想定通りの音が鳴ったら正解、そうでなければ違う場所を仮定して2へ
という方法が有効です。マリオの場合はファイアマリオ時にファイアボールを撃ってみて
撃ったボールが壁にぶつかる音がするか?
音がするなら、それは撃ってからどれくらいの時間か?
ジャンプして撃ったら違いはあるか?
連打できるか?(画面内に2発しか存在できないことを逆手にとる)
右向きだけでなく左向きに撃ったらどうか?
音が鳴ったり鳴らなかったりすることはないか?
といった要素から周囲の地形や敵を判断する材料とすることができます。こういった行動でどれだけ情報を得られるかはゲームによります。ちなみにメトロイドドレッドは360度自由にビームが撃てて、音も種類が豊富なのでめちゃくちゃ情報が得られます。
5 終わりに
今後目隠しRTAを見る際は「こういうパターン組んでるんだろうな~」と考えながら見ると面白いかもしれません。私は目隠しRTA走者が増えてほしいとも減ってほしいとも思っていませんが、この記事を機にやってみる人が一人でもいたら変人だな~と思いつつ喜びます。