季節を実感する機会が減っている。小さい頃は祖母が風習のようなものを全部記憶していて、その時期、その時期で旬の食材の料理を食べていた。食べることで月の流れを感じ、季節の変化を実感していた。
　今の僕はというと、年がら年中同じ物を食べているので、猫の毛量でしか季節を感じられない。そのため、数分だから平気だと思ってTシャツで今の時期に外に出るのだが、おそろしく寒い。当然だ。
　何でも数値化される現在。気温ほどイメージがわかないものはない。70円と言われればその価値を想像できるし、70mと言われればその距離を想像できる。ただ、7℃と言われた時に、僕は想像ができないのだ。最適な服装が分からない。一度外に出て体の反応を確認する作業が必要になる。
　天気予報がたまに服装を示してくれる。僕にとってこれは気温を教えてもらうより、はるかに参考になるし、コートを着る季節になったと実感もできてありがたい。