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RTA in Japan Summer 2024に参加して シムシティ/帰ってきた魔界村 解説


序章:はじめに

いつも通り始まりは一通のメールからだった。
RTAinJapanの当選発表の日、一通のメールが来た。

コケこっこさんから「シムシティ」の解説依頼だった。
病院を建て替えるゲームなので解説どうかとの依頼だった。

シムシティにRTAなんてあるのか!?
病院を建て替える?なんかもっと大病院にでもする重要な施設なのかな?

当初の感想はこんな感じだった。

あまりにも予想外の依頼でどう解説すればいいのか見当がつかず、すぐに引き受けることはできなかった。

そしてふちかさんからも「帰ってきた魔界村」の依頼が来た。
ミナリンさんにも声をかけるのでどうかとの依頼だった。

こちらは即OK!二つ返事で引き受ける。

そのノリでシムシティも攻略本とソフトを落札したのでこちらも引き受けることに。これで今回もRiJの参加が叶った。しかも2回!


シムシティ編

第1章:あなたが好きな解説も みんなが好きとは限らない


さて、解説を引き受けたはいいがどうしたらよいか全く見当がつかない。
シミュレーションもほとんどやらないジャンルなので台本をどうすればいいか全く思いつかない。

とりあえず参考動画を視聴して方向性を決めることに。

・・・

え・・・え?・・・え!?

病院を潰す!? 学校を潰す!?

・・・

どうやって解説するのコレ?(というかよく通ったな・・・)
画面がほとんど動かないし、この時間どうやって埋めればいいの?
これが最初の率直な感想だった。

実際に自分でプレイしてみてもあまりやらないジャンルだったのでシステム回りがよくわからない。人口60万どころか40万くらいで限界だった(その後何度かやって60万達成した)。

さてどうしたものか・・・そんなことを考えばっかり。
仕事も忙しく、仕事後に原稿を考える力は残っておらず、帰って来たら寝て仕事に行く日々の繰り返しだった。

休日や夜勤明けに原稿を勧めようにもチャリティの趣旨とは全くかみ合わず進行状況0%の状態が長く続いた。それくらい難産だった。

画面の状況を説明するだけでも序盤で終わり、市長が休暇中は静止状態なので場を繋ぐ手段がない。システムについて説明しても画面と連動して説明できないのでそのまま説明しても講義のような退屈な時間になってしまう。その日に書いた原稿を全部没にすることもあった。
何個かネタを用意しても話が唐突過ぎて上手く繋げることが出来なかったのである。

これは・・・無理じゃないかな?

本番は迫ってくる。RiJ中に休みを集中させたので仕事量も増える。
追い打ちをかけるようにコロナの感染者数も増える増える。
仕事が忙しいと夜勤中もネガティブな話題が増える増える増える

「〇〇のとこの病院が潰れたらしいよ」
「2025年問題も差し掛かるし今後どうなるんだろうねこの業界」

カルテを整理しながらシムシティも現実も大して変わらないなあ、と端で聞いていた。

・・・・・・・

え?

いろんなものがかみ合った。確かにこの状況はシムシティと同じ。
2025年問題は昔から関心が高かったので元々資料も手元にたくさんある。
ただ、10年くらい前の資料なので最新版はない。
そこで最新版と比較すればこの10年でどう変遷してきたのか答え合わせができる!

これは行けるかもしれない!

しかしこれには問題点も多かった。
現実の社会問題を取り上げると言う事は政治の話題にかかわると言う事。
これはかなり人を選ぶ内容となり、特にたくさんの視聴者がいるイベントで披露するのはふさわしくない内容である。

せっかくここまで思いついたのに・・・
いっそギャグに全振りするか?
だがシムシティを本当に好きなプレイヤーの事を考えるとそれはできない。

シムシティとはこんなにも現実に即したゲームであること。
ゲームで遊んだことがそのまま現実と連動する、他にはない独自性を持っている。それがこの大舞台で披露されるわけである。

このゲームを愛していてよかった!
そう思える内容にしなければファンが納得できない。

そこで政治が関わる部分は誰でも閲覧できる公表されている事実のみを取り上げ、思想を話す時はMMRなどギャグやぶっ飛んだものにする。
これはゲーム制作でもナイフや銃もロケットランチャーなど明らかに現実離れしたものならCEROAでも使えるという基準を参考にした。

匠の話はあの時道路を敷き詰める時にブブーという不協和音が連発するので黙って聞いていると耳障りで不快感が増えてブラウザバックの危険性があった。そこでビ〇ォーア〇ターのナレーション的なノリで意識をそちらに向けるようにした。何度も練習したが、これはあまりに恥ずかしいのでかなりの量をカットした・・・(BGMが脳内再生されたら負け)

そして押し付けだけは絶対NGとし、自分の考えを言う時も「一つの答えとして」とあくまで個人的な意見の一つとして留めている。
さらに寄付の呼びかけすらしない。私の解説では唯一無敵時間さんや国境なき医師団さんに一切触れない例外中の例外。極めて異例の台本となった。

ただチャリティイベントなので、同じ病棟に能登半島地震の時に災害派遣された先輩がいたのでその話を取り入れ、自然な流れで意識してもらう事に。
先輩にも夜勤中にインタビューして詳しい話を聞くことが出来た。長いインタビューにも快く応じてくれた。本当に感謝。

そこで全体は仕上がってきて、序盤の動画を作成。コケ市長からは特にこんな感じでOKとのこと。せっかくの晴れ舞台なので要望を聞くと
「シムシティというゲームをこのイベントを通していろんな人にやってもらいたい」
「走者は印象に残らないくらいが良い。とにかくゲームの方に注目してもらいたい」
この二点だった。

真面目な話ばかりでは大学のつまらない講義と同じ。注目は集まらないだろう。茶番を多めに入れてカバーしても大枠からそれてはならない。その緩急をどうするかが課題だった。

実際に動画にして自分で見て聞いて退屈じゃないかチェック。
この作業は解説では避けられない自分の録音した声を聴くという地獄の作業が待っている。その恥を捨て部分部分改善していく。これは第三者の意見が聞けないため非常に難しい。
結果的に大枠は社会問題、部分部分にギャグというものすごい温度差を感じる台本に。恐らく今まで一番頭を悩ませ、時間がかかった台本となった。

あとはもう賭け。そして本番


第2章:今日からあなた本番です

コケ市長と音合わせなど技術ボランティアの方の指示に従って待機。

「どうぞ」と言ったら開始して下さいと言われ、雑談をして待つ。
「いやー緊張しますねー」「いよいよですねー」など話していた。

「緊張すると頭真っ白になって・・・」
「私も飛ばしそう(どうぞ)あっ原稿飛んだって・・・ん?」

何の前触れもなくいきなり「どうぞ」が来て本番に!
しっかり動画にも収録されていて見返して笑う。

いきなりのトラブルだったが、台本も練ったし、大丈夫大丈夫。

・・・

ゲーム内で地震が発生!

え? え?

災害は確かに起こるが、初級モードで地震はかなりレアケースで(100回やって3回起こるかくらいの確率)打ち合わせの際もまず来ないだろうと話し合いはしていなかった。自分で何回かプレイした際も一度も起こらなかった。それがまさかの本番で来てしまったのである。

あまりに予想外の出来事にコケ市長も最初は本当の地震で画面が揺れているのかと思ったと後に語っている。
正直私も見たことが無い光景だったので何が起きているのか、今後どうなるのか全く予想が出来なかった。

これは不幸中の幸いだがプレゼントでもらえる施設が無事だったのでリカバリーが可能だったとのこと。

そんなことは本番中はわからず、原稿と画面のタイミングをどうするのかで頭がいっぱいだった。序盤でいきなりチャート崩壊という事故に。
冒頭で言っていた原稿が飛んだフラグを見事回収してしまうという当事者にしてみればたまったもんじゃない事態に。

市長が休暇に入るタイミングも後半戦に突入するタイミングもわからずアドリブで全部繋ぐ綱渡りの解説だった。

どのタイミングでチャートの動きに戻るのか。その判断が求められた。
これはコケ市長が放送内で走ったら毎回アーカーイブを確認して何パターンか把握していたため感覚で何とかなった。

そんなこんなでなんとか60万人達成!最後の市民の声でオチを付けて終了!
と思ったら支持率49%という驚異の数字。
(※このチャートだと実際は35%前後になる。コケ市長も今まで2番目に高い数字だったと後に語る)

しかしこれは奇跡的にギリギリ不支持の方が高いというオチとしてはむしろ完璧な数字だった。結果的に最後にいい意味でのサプライズとなった。

コケ市長の振り返り記事
https://note.com/cokecokko/n/n93ef7b025efa?sub_rt=share_pw


帰ってきた魔界村編

第1章:ようこそいらっしゃい


スムーズに解説が決まり、魔界村なので台本もスムーズ・・・
というわけにはいかない。

なぜなら伝説の騎士でオービィと魔玉を全回収。ハッキリ言って人間がクリアできる難易度ではない。

どうやって解説するのコレ?(毎回このパターン)

シムシティと魔界の両立は難しい・・・
頭の切り替えも即できるわけではないので原稿はあまり進まず。

1日で2ステージくらいのペースで進めていく。
しかし2周目はどうすればいいんだろう?
この話題ってさっき言ったっけ?別の場面の方がいいかな?

試行錯誤の繰り返しで実際は1日でノルマ達成する日はほぼなかった。
そして3人で打ち合わせする機会も少なく、全体の流れをどうするか、これで大丈夫か右往左往していた。

2人解説なのでやり取りをするタイミングも考えて原稿を書かなくてはならない。この部分はどうしても自分で調整できず、最初から最後まで関わってくる問題である。

ただ、幸いミナリンさんとは付き合いが長いので、たぶんこんな感じだろうとなんとなくの感覚はあったので不思議な安心感があった。

そしてRiJも始まりようやく本格的な打ち合わせ!
実際に3人で初めて通してみることに。

全くかみ合わなかった・・・

いや、どーすんのこれ?
詰め込み過ぎて話している間には次の場面に進んでいる。
しかも原稿は未完成という事態。
本番まであと5日

そこで残りの原稿を進めつつ、今までの原稿を修正する作業に入る。
当初は私とミナリンさんの割合は4:6くらいだったが、逆にしてやり取りを減らして尺を調整。その代わりボス戦はミナリンさんが一人で行い5:5になるようバランスを取った。そのためボス戦に関しては全てお任せすることに。

解説の原稿は最初は尺にピッタリ収まることから始まるので基本的に文字数は多めで、話す時間が長い。実際にはやり取りの間や、息継ぎのタイミングもあるためこれは必ずズレる。そこで慣れてきたら内容は同じで部分部分削ってなるべく少ない文字数にし、場合によってはわかりやすい表現に変える。これを本番まで繰り返して完成させる。
こうすることで動きの速いアクションゲームのRTAでゆっくり話しても情報が伝わるようになる。

全体の台本が終わって少しずつ修正を繰り返し、再度3人で通し。
尺に余裕が出来てだいぶマシになってきたが各々改善点は多い。
しかし3人の予定が合う事は今後ないためこれが実質最後となる。

そこでミナリンさんがこれから本番まで毎日深夜2人で練習できないか提案される。そのやる気に応じ、昼はシムシティ、夜は魔界村という毎日に。
走者のふちかさんには通しで走ったダイジェスト動画を何本かアップしてもらう事を依頼。これを使ってあらゆるパターンの動きをミナリンさんと毎日通すことにした。
本番まであと3日!

毎日練習していくうちにお互いの呼吸はわかってきた。元々よくやり取りをしているポテンシャルも強みだった。さらにミナリンさんも自分なりに読みやすいよう自分のパートもしっかり個別で修正しており、だいぶスムーズに。

最後の問題はリカバリー。帰ってきた魔界村のこのカテゴリーはあまりに難しすぎてノーミスはもはや天文学的な確率

実際打ち合わせの際にもミスった場面でお互い無言になってしまい、予測ができないので再調整が非常に困難であった。

そこで基本的には何かあった場合は私がその場を繋ぎ、ミナリンさんは相槌程度で画面を追い、ポイントに入ったら切り上げて対応することに。
これは2人解説の強みで、元々司会進行が私で、解説はミナリンさん中心という立ち位置だったのでお互いの役割を最大限に活かした分担だった。

さらにこの2人解説も「どちらかの回線が切れた場合」&「どちらかが体調を崩した場合」も想定しており、基本的に一人でも進行可能な台本にしている。そのため実際はお互いの大まかな役割はあるものの細分化はしていない。

いよいよ本番

第2章:本番だ!心してかかってこい


当日はやや巻き進行。ミナリンさんは仕事帰りで本番となるのであまりにも巻いていたら強制的に1人解説となる。幸いこの時間なら大丈夫だった。

前のゼルダを見て待機する。まだツインローバ、ガノンドロフとガノン戦が残っているので落ち着いて待機。
・・・
と思ったらスタッフロールが流れていきなりエンディングに突入!カテゴリーの関係でまさかの終了!
想像以上に出番が速くなってあたふた。急いで心を落ち着かせる。

タイマーストップ後の段取りをみんなで確認し、自分が先行して進行するので感想などをその間に考えてほしいことを伝える。
スタッフの「どうぞ」が来ていよいよ開始!

シムシティの時もそうだったが、今回は今までと違い会場の声が入るため、そこにビックリすることがあった。さらに会場の声を拾うため、少し遅れて自分の声が跳ね返ってくる。これが非常に混乱しやすいので音量はかなり小さくして解説を行っていた。

ここでこうすればこう返してくれる!ここならこう突破してくれる!
お互いを信じるしかなかった。
幸い、回線もタイミングも大きくズレることはなくラスボス戦!
凄い速さだった。

そしてついにタイマーストップ!
ポタッ

え?

な、涙!?

(声が・・・声が出ない・・・)

まずい、自分が進行するとか言っときながら声が・・・
オフラインならジェスチャーでミナリンさんに任せられるけどオンライン解説なので合図も送れない。
なんとか進めなくては・・・

ここはなんか声も震えていて間もテンションもなんかおかしくなっていた。
恥ずかしくて見返せない・・・


終章:おわりに

シムシティも魔界村もトレンド入り!ワイズもトレンド入り!
YouTubeにアップされた動画の再生数も凄いことに。

ワイズのトレンド周りがあまりに不穏
魔界村に有馬もなかなかの奇跡

●動画リンク

シムシティ
Twitch
YouTube

帰ってきた魔界村
Twitch
YouTube


ワイズ
X:https://x.com/YS51577346
Twitch: https://www.twitch.tv/nazoys

ゲームをすることでみなさんの生活がより潤いますように。
帰ってきたウィル・ワイズより


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