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「異例の選挙」から私が学んだこと。 ①団体SNS凍結の裏側、というか表側

前回書いたように、「あるひとをリーダーにして、みんなが力を合わせる住民自治を実現させるサポートをしたい」と、自分の会社をぜんぶ辞めて臨んだ選挙戦。結果は負けでした。支援団体の代表として、多くの方々から託された期待に応えられなかった私自身の力不足を、心よりお詫びいたします。昨日(11月21日)付で、代表を辞しています。

もちろん、反省は山ほどあります。負けたんだから。
個人としては、途中で2回倒れ、人生で生まれて初めて抗うつ剤を処方されるくらいには心身ともに限界ちょっと超えるくらいまで(←もとがヘッポコだから閾値は低い)、選挙対策本部の中でも外でも、できる限りのこと&できないことも含めてやりました。
でもそれは私だけじゃなく、本部のみなさんはそれぞれどこかで倒れてるよね、というかんじ。選挙ってたいへんだ!

いろいろな意味で「異例の選挙」と言われ、全国からも注目された今回の兵庫県選挙の総括は、これからゆっくりしていきます。
 
とくにいま注目されているのが、SNS、とくにX(Twitter)をメインの舞台とする”情報戦”。私が関われたのは主に支援団体のWebと応援SNSだけでしたが、まさにこのアカウントが2回にわたり凍結されたことが、この数日、多くのメディアで取り上げられています。
この「支援団体X(旧Twitter)公式アカウント凍結」について、アカウントを運営していた私から、経緯と、これまでその事実を発表してきた意図をお伝えします。



■ 11月6日、最初のアカウント (@tomonihyogo) 凍結になる。

11月5日に支援団体アカウントを立ち上げ、ぼちぼちと6投稿し、翌11月6日に候補者の公式Xで紹介された約1時間後、アカウント凍結となりました。候補者の公式Xの担当者が気づいて教えてくれました(Xからは連絡来ないんですよね)。その後、数名の記者さんから「一斉通報があったと聞きましたが、本当ですか」という問い合わせがありました。

もちろんXに異議申し立てはしたのですが、なんせXからの連絡が一切ないので、理由はわからない。なので放っておこうと思ったのですが、凍結の事実をもって私たちのアカウントが「Xルールに違反した」とみなすコメントがX上に散見されるようになったため、選挙管理委員会にも相談したうえで、11月7日に支援団体ウェブにて意見表明をしました。


https://www.tomonihyogo.jp/info/419/


ウェブでは、全6本の記事全文も見ていただけます(凍結後に開設したInstagramとFacebookにもすべて再掲)。
つまり私がこの事実を公表した目的は、「このアカウントが、Xルールに反した誹謗中傷等は行っていなかったこと」を、オープンな状況でみなさんに見て判断いただくことでした。


■ 11月12日、2番目のアカウント (@tomonihyo5) 凍結になる。

こうして1番目のアカウントが凍結されているあいだに、候補者に関する「デマ」が顕著になってきました。街頭演説でも、支援者からも、耳にするほどに。そこでデマを少しでも打ち消すためには、やはりデマの「出どころ」のひとつであるX上(もうひとつはYouTubeですが、圧倒的にXという実感)にアカウントをつくるしかないと判断し、2番目のアカウントを準備します。

この時はアカウント準備中から、X上で「また、凍結する?」「通報しちゃダメですよ?」など、(文脈およびメンション先を含めて勘案すると)私たちのアカウントへの凍結の呼びかけにつながる可能性があると判断せざるを得ないコメントが、いくつも寄せられていました。

そして11月12日20時に初投稿をした後、また約1時間後となる21時過ぎに凍結。この前後で、「なりすましで通報しました」や「強烈な身体的脅迫で通報が通った」などのコメントが(通報者本人にしか表示されない画面とともに)投稿されるなど、虚偽の通報がなされたことがX上で複数明らかとなる状況だったため、今後を考えて13日に警察に相談し、翌々日の14日に支援団体ウェブ上で意見表明しています。


https://www.tomonihyogo.jp/info/745/


公表の目的は、「すべての陣営において選挙の自由が守られ、公正な選挙活動をが展開されることを、心より願っている」から(誤字ありましたね)。またそのために、「今後も毅然とした対応をする」という表明もしました。

実は今回の選挙では、この時すでに、演説への阻害行為や暴力的行為で、6名の逮捕者が出ていました(ちなみに私たち陣営からは0名)。
そのような状況も踏まえて、敵味方ではなく(←ここが甘いと言われるところなのですが)、候補を応援してくださる方も含めすべての方に節度ある行動を強く求めるとともに、最後まで一貫してフェアに、この選挙戦に臨むことを伝えています。


■ 10日後、1番目のアカウント凍結解除。残りは24時間弱。

11月15日、1番目のアカウントの凍結が解除されていることを、気づいた方が、支援団体のFacebookメッセンジャーを通じて教えてくれました。そこで16日深夜0時過ぎから投稿を再開します。

つまり、1番目のアカウントの凍結期間は11月6日から15日の10日間。この間、もしも少しでもデマを打ち消せていれば……と、どうしても思ってしまいます。また今回、アカウント回復して深夜早朝挟んで8時間で約800人フォロワーが増えていたことに気づいたときには、じゃあ10日間あったら……というのも、どうしても思ってしまいました。

とはいえ、その時点で考えていたのは、「ともかく選挙活動が許されるのは投票日前日(16日)の23時59分まで。つまり残り24時間もない!」ということ。私は、とにかく少しでもデマを打ち消そうと懸命に投稿を続けました。やがて再び日付が変わり17日になる直前、私が最後の投稿としてやっぱり選ばなければならなかったのは、「これはデマ!」でした。
いろんな意味で悔しかったのを、ありありと思いだします。


<この4つと違う事実が耳に届いていたら、それは「デマがあなたにも届いていた」です>

※なぜデマと言い切れるか? という点については、日本ファクトチェックセンターの検証をご確認ください。


■ 選挙が終わり、記事が出る。

そして17日、選挙結果がでました。敗戦の弁、というのかな、それを私は候補者の隣で聞いていました。

民主主義や自治にこだわって政治に入った一人として、いろいろ考えさせられる選挙だった。ただ、一緒に選挙に取り組んでくださった皆さんにもお伝えしたいが、こういうことから社会が学んでいく力を信じている。

この候補の言葉を聞いたとき、ああ、今回、だから私はこの人をサポートしたかったんだと、涙があふれました。んで、会場で、最後まで、頭を下げ続けました。それしか、できることなかったから。


そこから茫然自失の2日間くらいを経た11月20日から、11月7日と14日にすでに発表していた上記の内容が、新聞で記事になりはじめます。なぜなら、選挙期間中、メディアは報道ができない(らしい)から。今回のように逮捕者が出たことすら、報道できない(らしい)。
一方でその規制がないインターネット上では、選挙期間中に、デマをふくめた情報が好き勝手に飛び回り続ける。

今回の支援団体公式Xの凍結は、フォロワー数などを考えるとむちゃくちゃ小さいことなのですが、これだけ話題になるのは、今回の選挙の構造、そしてそんな公職選挙法の「いびつさ」が思いっきり現れた事例のひとつだからなのかもなぁと、いま感じているところです。


■ どんな選挙がより良いのか。

昨日(11月21日)にニュースで流れたように、本件は、支援団体の世話人でもあり、2番目のアカウントも共同運用していた弁護士さんを中心とする弁護団で、今日、22日に刑事告訴が行われる予定となっています。14日に表明した「今後も毅然とした対応をする」にもとづく行動だと思います。

私は昨日付けで代表を辞任したこともあり、これ以降は弁護団のみなさんを中心にお任せするかたちになりますが、アカウントを実質的に運用していた者として、必要なことについて協力は引き続き行っていきます。

なぜなら、自分自身が当事者として実感した現在の公職選挙法の「いびつさ」を、次の選挙に向けて、すこしでも解消していきたいから。そして、いろんなひととともに、考える機会をつくりたいから。
それは、もう私が代弁する役割ではないけれど、告訴の主体となる支援団体の新代表、もちろん弁護団も同じはずです。


これからこの件は、法廷に舞台を移して解明が進んでいくことになると思いますが、一方で、あんなに私たちのアカウントにさまざまな心ない言葉をぶつけてきたアカウントが、この数日で次々と閉鎖しているのを、いままさに見ているところです。

そんな事実も含めて、「勝敗が決したから、なかったことにする」のではなく、「いったいこの選挙はなんだったんだ、そしてどんな選挙がより良いのか」を、現場にいた人間として考え続けたいと思っています。

私にとって、今回の選挙を通じたいちばんの学びは、「住民自治や民主主義やフェアな選挙は、完璧なものを与えられたり、無条件でここにあるものではない」と、肌で感じたことでした。(別の候補を応援していたひとたちも民主主義を掲げていたので、それぞれ思うところがあったのだと思います)

「次」を、つくるしかないんだな。
「次」は、つくれるんだな。

「次」のために、それぞれが見てきた景色を合わせたい。そのために私は、負けた選挙の当事者として見えていた景色を、伝えていきます。

良い明日をつくろう。


※いくつか質問をいただいたので念のため書いておきます。
・私は無償のボランティアで、支援団体の世話人代表として、個人で支援団体のウェブ、SNS、初期紙媒体を中心にかかわってきました。
・以前書いたように、支援団体代表就任前に会社は辞めており、この活動と一切関係ありません。

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