私のはじめてのバレンタインデー!
「あなたは もう 忘れたかしら・・」の「神田川」の歌詞のように
「あなたは 覚えていますか・・?」の 私の問いかけに
あなたは どう答えてくれるでしょう?
女子大生4人グループの中で 私一人 彼氏がいなかった学生時代
その中の一組の男女の心配りで あなたと付き合うことになったのは
2回生の秋でした。
寡黙なあなたと無口な私
お互い1対1でつき合うなんて、はじめての事だったので
なにを話していいのか、聞くことさえ思いつかず
勿論 会話もはずむこともなく、時間だけが過ぎていきました
寡黙なあなたは他県の人で 無口な私は京都の人
秋が深まる前に 何処かのお寺に行きましたね
お互い誕生日も聞くこともなく教え合うことなど勿論なく
新らしい年を迎えました
あなたは生まれ故郷にかえり 私は京都で首を長くして待ちました
2月に入っても 連絡が来ず
バレンタインデーの商戦が華やかになるにつれ
誕生日さえ 聞いていなかった私は なんてバカなんだろう!と焦りました
そして、思い着いたのが「バレンタイン・プレゼント」だったのです
私は ありきたりのプレゼントは したくなかったので
何がいい?か 考えました
私は シクラメンの花が大好きだったので
シクラメンの花を 贈りたい!と思っていましたが
ただ花を贈るだけではつまらなく、なにか知的な印象で 驚かせたい!
そう思って、思いついたのが
「短歌」を添えることでした
そこで、まずは
与謝野晶子の「乱れ髪」を読むことにしたのです
「乱れ髪」一冊 読み終えて
出来たのは やはり「短歌」でした
さすがに与謝野晶子の情熱的な短歌に 影響されたのか
思いもかけず すんなりと出来たのが この歌でした
「わが愛の乱れて燃えしはじめより知りて咲きけるシクラメンの花」
「櫻井屋」という和紙専門の文具店で 情緒ある便箋と封筒を買い求め
心を込めて書いてみたものの
しかし、どうも「乱れて燃えしはじめより・・」が ひっかかり
はじめて贈る人に そぐわない!
与謝野晶子の「乱れ髪」を読んで出来たこの歌は
私の気持ちの現状と一致するけれど 現実とは 全く乖離している!
「乱れて燃えし・・」は 与謝野晶子の代名詞!
迷った、まだ、そんな仲ではないし その上 言葉を盗んだようで・・
でも、この句の代わりをする言葉が 見つからない!
ああ、どうしたものか・・?
やっぱり、「乱れて燃えし・・」を入れてこそ
短歌として なかなかの出来なのでは・・?
いろいろ迷った挙句
ま、いいか!
と、真っ赤なシクラメンの花を買って来て
この歌を添え
大学の寮へ 持っていってもらった!ンだっけ?
え? 持って行ってもらった? 誰にィ?
当時、兄のように慕っていた店の従業員さんに!
今から 考えたら、その人も よう持って行ってくれはったねえ?
帰ってきた時 その報告として
「寮の学生さん達が
口伝えに三々五々集まってきて『お~ォ』とざわめいた」そうな
あなたは どう思ったかしら?
こんな 衝撃的なことをするなんて!
きっと、怒っているかもしないね
素朴で真面目な青年だったればこそ
こんな派手なバレンタインは気恥ずかしくって・・
きっと、あなたの逆鱗に触れたのでは?っと
今の私なら気づけます
でも、若い当時の私には ただ自分の気持ちを伝えたい一心で
私の理想通りの知的で衝撃的なバレンタインデーの贈物として
満足していたのだけれど・・
その後、あなたの口から、あのバレンタインデーの話はつゆとも出なかった
私も 反応が怖かったので、そのまま 聞けずに
そして 全く何も無かったかのように・・
そのうち すっかり 忘れさられて
月日が過ぎました
あなたは 覚えているかしら?
それとも
あなたは もう 忘れたかしら?
真面目なあなたにすれば
衝撃的すぎて 思い出したくない思い出かもしれない…ね!
あれから、ン十年
「さよなら」する時に贈った万葉集の志貴皇子の歌
「岩走る垂水の上のさ蕨の萌えいづる春にけるかも」の取り持つ縁で再会し
その後、ようやく二人の誕生日を知れたんでしたっけ?
驚いたことに 二人は 同年同月の1日違いの誕生日だったってこと!
もう、こんな話をして笑い合える機会はないと思うの・・
だからこそ、noteに書いてたづねてみたい
「あなたは もう 忘れたかしら・・」
そして
「あなたは 今も noteを 読んで下さっているのでしょうか?」
私のはじめての小説の中のようなバレンタインデーの思い出をありがとう💕