【選挙ウォッチャー】 能登半島地震は他県の迷惑ボランティアで大渋滞はデマ。
こういう時は、実際に現地を見ないと分からないものです。
今、大地震があった能登半島では「他県の迷惑なボランティアが殺到して渋滞を起こし、緊急車両の妨げになっている」と言われており、馳浩知事をはじめ、「石川には行くな!」の大合唱となっています。しかも、現地を見たわけでもないネトウヨ系のバカどもが、現地でボランティアしてきた人たちに「石川には行くなと言われてるだろ!」と吠え、何か良いことをしている気になっているので、この言説がどんどん広がり、現実とのギャップはますます大きくなっています。
■ そもそもボランティアなんて滅多にいない
まず、ネット上で流布されている話と、実際に起こっていることは全然違います。この3連休は、金沢から能登方面に向かう主要道路である「能登里山海道」を含め、ほとんどの道路で渋滞は起こっていませんでした。地元紙が渋滞しているっぽい写真を載せていましたが、部分的に混雑しているところはあれど、これは迷惑ボランティアのせいではなく、地元の人たちが買い物などに行くための渋滞です。ほとんどの道はガラガラで、地元民は混雑状況を「通常通り、もしくは通常より車が少ない」といい、他県ナンバーの車をまったく確認できないほど、通行している車のほぼすべて「金沢」か「石川」のナンバーでした。
ちなみに、この「能登里山海道」は能登方面に向かう大動脈的なバイパス道路で、ご覧の通りにスムーズに通行できるにもかかわらず、「大渋滞している」という言説を信じ、ここを緊急車両専用道路にするために1月7日は一般車を封鎖しました。しかし、「能登里山海道」は途中まで2車線の道路で、最初からスムーズに通行できる状態なのに、封鎖する必要はありませんでした。もっとも、バイパスを封鎖したところで、そもそも通行する車が少ないので、封鎖することで下道が混むことさえありませんでした。
ほぼすべての車が「県内」の人たちで、仕事や生活のために利用しているのに、「それなら2車線のうちの1車線を専用レーンにすればいいじゃないか」というアイディアもなく、「大渋滞して困っている」というネット上で流布されている噂を前提に完全封鎖しているのですから、「何をしているんだか」という感じです。
多くの人は勘違いしているかもしれませんが、今回の地震で壊滅的な被害を受けているのは、輪島市や珠洲市、穴水町などの「奥能登」です。石川県全体がヤバいことになっているわけではなく、金沢市や白山市などは、ほとんど地震の影響は解消されています。だから、最新の情報がアップデートされず、いつまでもネット上の言説だけで「石川に行くな!」と大きく括ってしまうと、今後、金沢周辺でお商売をしている方々が疲弊することになってしまいます。なにしろ、金沢市内はほとんど通常通りにもかかわらず、観光客が消え、どこもかしこもガラガラ状態だからです。
■ 危険な場所に乗り込んだ人たちの正体
志賀町や穴水町から先は、各所で通行止めが多くなっています。
なので、確かに一般の車が、被害が深刻な志賀町や穴水町より先に行くのは困難になっています。ただ、大地震の直後、この「通行止め」を乗り越えて輪島市や珠洲市などに乗り込んだ車がいなかったわけではありません。もしかしたら他県のナンバーもチラホラあった可能性はあります。しかし、それらはボランティアが目的ではありません。
県外からやってくる我々のような人間は、土地勘がないので、通行止めの先がどうなっているのかを知りません。ご覧の通り、通行止めになっていても、しばらくは走れそうな道が続いているので、行こうと思えば、本当にヤバそうなギリギリの所までは行けるかもしれません。ただ、おそらく県外の車が「通行止め」となっているところを突破して突き進む可能性は極めて低いでしょう。では、どういう人が深刻な道路状況を乗り越えてまで、輪島市や珠洲市など、被害な深刻な場所に行くのか。
「親族が被災している人たち」。
もともと輪島市や珠洲市の出身で、今は金沢などに住んでいる人というのはたくさんいます。特に、若い人たちは仕事を求め、金沢などの都市部にやってきます。
うちのばあちゃん、無事だった!
しかし、インフラが寸断され、水も食糧もない避難所で、トイレもないので衛生的にも問題がある。地震で生き残っても避難所で死んでしまったら意味がない。・・・これはもう、助けに行くしかない!
物資を届けられるなら、ばあちゃんを連れ帰ることはできるはずだ。こうして入るのも困難な地域にどうにか辿り着き、親族を救出して帰ってくる車がたくさんありました。金沢市内の飲食店で働く女の子も「私の友達も助けに行った」と話しており、同様の証言をする人が複数います。
つまり、他県ナンバーの迷惑ボランティアのせいで、被災地が大渋滞しているというのは、被災地にありがちな「デマ」で、炊き出しなどのボランティアを行う団体が入ってるケースもありますが、彼らは東日本大震災の頃から、あらゆる災害現場で支援をしている「プロボランティア」で、しっかりとした装備とノウハウを持った人たちで、被災者の方々には喜ばれている存在です。けっして迷惑をかけているわけではありません。
■ 「石川に行くな!」は最悪のメッセージ
しばらく余震が続いていることもあって、金沢を歩く観光客の姿はほとんどありませんでした。いつもなら賑わっている片町周辺も、新年会シーズンにもかかわらず、歩いている人の数は半分以下です。
冒頭から申し上げているように、金沢周辺は大地震の被害が少なく、ほとんど通常通り。「チョコザップ」さえ開いていて、中ではオッサンが体を鍛えていました。
一方で、飲食店では新年会が中止になり、夜のお店では「こんな時に遊びに行っていると思われたら」ということで、地元の太客たちが自粛。こんな時こそ県外から来てくれるお客さんがいたらいいのに、呼びかけられているのは「石川に行くな!」なのです。
選んでしまったのは石川県民なので、いざとなった時に役に立たなかったとしても自業自得の面はあるのかもしれませんが、馳浩知事をはじめ、音喜多駿などのポンコツ議員が出している「石川に行くな!」というメッセージはあまりに雑すぎて、このままでは「マイナスの効果がデカすぎる」と考えます。
TENGAを300個配ると言ってドヤ顔をしている迷惑系YouTuberの煉獄コロアキのような人間たちもいることにはいますが、こういう奴らは地震が起こらなくても迷惑なので、この手のクソと、ちゃんとしたボランティアの人たちを一緒にしてはいけません。
さらに、避難所の自動販売機が県外から来た犯罪者集団に破壊され、中の飲み物やお金が奪われたという話は「間違い」だったこともわかりました。実際には、緊急性を要していたため、被災者が了解を得てから自動販売機を壊し、飲み物を確保していたことがわかったのです。
普通に考えれば分かることですが、自動販売機の中に入っているお金なんて、たかが知れています。せいぜい入っていても数万円なのに、わざわざ県外からやってきて、避難している人たちがたくさん見ている前で自動販売機を破壊し、そのお金を奪っていくなんて、あまりに効率が悪すぎて、「誰がそんな犯罪をするんや!」という話です。こんな話が出た時点で不思議に思わないといけません。
そして、アホのネトウヨならともかく、知事や国会議員が真に受けて、石川県を雑に括って「石川に行くな!」を発信するのは、どんだけのアホが政治家をやっているんだという話にしかなりません。
ここで出すべきメッセージは、「〇〇までは安全です」「まだ〇〇から先は危険なので、プロに任せてください」であるべきで、0か100かでしか考えられないバカが「石川丸ごと」という単位にしてしまうので、「金沢周辺でお商売されている方々に差し支えとるがな!」なのです。
こういう時のメッセージはもう少し考えて出さなければなりません。音喜多駿のキンタマも同様です。もう少し考えてから出せ!
■ なぜ「渋滞デマ」が必要なのか
おそらく被災地の方々が一番身に染みて分かっていると思いますが、今回の能登半島地震は、元日に起こったというカレンダー的な不運はありましたが、救助や支援の初動が極めて遅く、震災から72時間経っても、十分なケアができませんでした。
海外のメディアが入れているのに、自衛隊が入れていない場所はたくさんあり、何の情報もなくランダムで探す効率の悪さを報じられ、先進国と思えない初動の悪さが指摘されてしまいました。
どうして、いつまで経っても助けてくれないのか。どうして、いつまで経っても物資が来ないのか。被災者の不満やイライラに対し、言い訳として出てきたのが「渋滞」だったのではないでしょうか。しかし、被災地の救助や支援の遅れは、本当に「渋滞」が原因だったのでしょうか。
もし、渋滞を起こすほど県外からボランティアが殺到していたのだとすれば、それはそれで避難所の物資が充実してくるはずです。なにしろ物資を勝手に持ってくる人で溢れているのですから、どこもかしこも物資が足りないということにはならないはずです。また、あくまで「渋滞」であれば、到着が遅くなることはあれど、届かないことはないはずです。まさか「渋滞しているからダメだ」と言って引き返したのでしょうか。
あらゆる初動の遅れは、けっして「迷惑ボランティア」が原因ではありません。ただシンプルに遅かっただけです。そして、この「遅かった」という反省ができなければ、また別の場所で災害が起こっても、「もっと早く助けるにはどうすればよかったのか」が検証されることがないので、また初動が遅く、さらに多くの人が死ぬことになります。
■ ボランティアを叩くネトウヨのメンタル
誰よりも早く現地に赴き、被災者たちに寄り添うボランティアたち。
こういう時は「スピードが命」なので、迷惑をかけず、しっかり支援を完遂したプロのボランティアたちは、褒められることはあっても、人を助けて批判される謂われはないはずです。
ところが、政府や自衛隊より早く物資を届け、あるいは、すぐさま温かい食べ物を差し入れているにもかかわらず、アホのネトウヨどもは「石川県が行くなと言っているんだから行くな!」の大合唱です。しかし、政府の対応が早く、物資が充実しているならば、彼らの出番はありません。彼らがなぜ動くかと言えば、「そこに困っている人がいるから」で、ほとんどのボランティアは「煉獄コロアキのような迷惑バカ」ではありません。
現地のことをろくすっぽ知らず、本当に渋滞しているのかどうかを確かめもせず、暖房の効いた部屋で、もう一つのウィンドウでエロマンガを開きながら、ネットの噂話を右から左に流し、現地で支援している人たちに「行くなと言われてるのに迷惑だー!」のネトウヨども。ネットで仕入れる偏った情報ではなく、リアルな生情報に触れるべきでしょう。まずは自分の目で真実を確かめてくるべきです。
■ 選挙ウォッチャーの分析&考察
残念ながら、今の日本には、しっかりとオペレーションを回せる人間がいないので、あらゆることが後手に回りがちです。震災対応を県の職員だけでやるのは効率が悪く、ブラック労働になるだけで、県の職員もまた被災者なので、本来は国や他の自治体の応援は不可欠です。
しかし、組織をまたいで仕組みを作ることが苦手な日本は、仕組みを作るまでに時間がかかり、こうしている間に対応が遅れます。それを分かっているからこそ、有能なボランティアの方々は政府よりも先に行動することになるわけですが、人を助けても、アホのネトウヨどもが自分たちの無知と行動力の無さを恥じるでもなく、無能の政府を批判するでもなく、政府よりも早く被災者たちに寄り添い、プロジェクトを完遂させる能力を持ったボランティアたちを叩いています。これが2024年のニッポンの姿でした。