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王ドロボウJINGという異常な漫画の話がしたい

 最近、『王ドロボウJING』を読みました。
 なんかやたらと人に勧められるので読んでみました。

 この漫画……異常!!!!!!!!!!!!!!!!!

 どうしても誰かにこの漫画の話をしたい。
 この思い、どこかに発散しなくては耐えられんッ!!

 というわけで、みなさん私の『王ドロボウJING』の話を黙って聞き続けるサンドバッグになってください。いや、なれ!!

『王ドロボウJING』1巻より


王ドロボウJING

ドロボウの都・ブルーハワイの幽霊船

『王ドロボウJING』1巻より

 この漫画、絵が上手すぎる。

 いや、適当な美辞麗句とかでもなく、ただただ絵の上手さに圧倒される。いくらなんでも絵が上手すぎやしないか。読んでいて、ひたすら「絵が上手すぎないか?」と思わされ続ける。だからシンプルに「絵が上手すぎる」としか言えなくなった。

 漫画って、「連載中に段々絵が上達していく」パターンが結構多いじゃないですか。でもこの漫画、最初から画力が完成してる。いやちょっと完成しすぎている。花海咲季や十王星南もひっくり返るレベルで、「初手で『王ドロボウJING』という作品が完成している」と思ってしまう。

「キールロワイヤル」じゃなくて「キーーーーーーーーーールロワイヤル」なのがいい
『王ドロボウJING』1巻より
『王ドロボウJING』1巻より

 ほいで女の子がかわいい。

 あー完璧っス。完璧っスねこれは。
 「女の子がかわいい」って何よりも大事っスよ。

 なにが「終身刑よ」じゃ! あーかわいい!!
 きっとこのロゼって子がメインヒロインなのだろう!!

 とにかく、1巻の時点で「あ、この漫画最後まで読もう」と思わされました。1巻の段階で、ここまでグイッと掴んでくる漫画は中々ない気がします。マジに1巻の時点で完成しちゃってる系漫画ですよね。


時の都アドニス

『王ドロボウJING』2巻より

 あのー…………絵が上手すぎるのでつが……………………………

 なんか、熊倉裕一の絵の上手さって、単純な画力の高さというより「圧倒される絵の上手さ」なんですよね。見開き、もしくは大ゴマでドンと絵が出た時に「なんじゃこりゃあああああああ」と腰を抜かすタイプの上手さ。

 ちなみに、割と本気で1巻のロゼが好きだった自分は、「ははぁー……泥棒と警官でいい感じになっていくってワケね」と思っていました。2巻になったら全然違う女の子が出てきた。な なにーっ! めくるめくジンとロゼの冒険譚は!? でもどの子もかわいい。みんなかわいいから反論できない。

『王ドロボウJING』2巻より


爆弾生物ポルヴォーラ

『王ドロボウJING』2巻より

 あのー…………絵が上手すぎるのでつが……………………………

 いや狂ってるだろ、この書き込みの量。
 普通に「どうなってんのこれ?」という困惑が真っ先に来る。

 この漫画、セリフによる世界観の説明がほとんどないのに、見開きでドドンと出てくる風景だけで「これが王ドロボウJINGの世界観なのね」と有無を言わさず納得させる画力が本当にすさまじい。

 毎度ロケーションも変わるし、キャラもガラッと変わる。ぶっちゃけ意味不明で荒唐無稽な世界観だと思う。でも、絵で黙らせてくる。こんなの見せられたら、「あっはいこういう世界観ですよね」と頷くしかない。

『王ドロボウJING』2巻より


不死の街リヴァイヴァ

『王ドロボウJING』3巻より

 私は常々、漫画より、ゲームやアニメの方が媒体としては優れていると思っていました。なぜなら、ゲームやアニメの方が「実際の映像」をダイレクトに届けたり、自分がプレイヤーとしてそこに介入できたりする。

 でも、漫画はあくまで「読者」であり続ける必要があり、映像すらもコマから補完していく必要がある。そのハードルを粉砕してくる漫画が名作と言われるのかもしれない。そして、王ドロボウJINGを読んでいる時、「いや、この作品は漫画だから成立している作品だ」と思わされました。

 この表現、おそらく漫画でしか成立しない。
 あの擬音とか、見開きでドンと世界観を映し出してくる技術とか、なにもかも「漫画」だからこそ映える。「王ドロボウJINGが漫画でよかった」と確信できる。とか言いながら、近々アニメも見ようと思ってますが。

ベルモットえっちだよね~~~~~~
『王ドロボウJING』3巻より
『王ドロボウJING』3巻より

「永遠の灰色より 一瞬でも輝くあの七色の方が美しいって……」

 クゥ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!

 王ドロボウJING、テキストのセンスも振り切ってるのがすごい。若干アレなことを言ってしまいますが、「絵だけすごい」みたいな漫画ってたまにあるじゃないですか? 絵のクオリティに話が追いついてないというか……。

 でも、王ドロボウJINGは絵もセリフも亜空間に突入してるから、変な次元で上手いことバランスが取れてると思う。どっちも亜空間なのは間違いない。これ、異常漫画です。

 あと私、根本的にちょっとクサいくらいが大好きなんです。王ドロボウJINGはもうクサさが極まってるけど、それがいい! そこが好きッ!!


第七監獄・アマルコルド

『王ドロボウJING』4巻より

 ここに来て気がついたのですが、この漫画章ごとに絵柄変えてるの異常ですよね。デフォで絵が美味いのに、何をどう考えたら熊倉裕一は「ヨッシャ章ごとに絵柄変えたるか!」と思い至るのか。

 特に、この「第七監獄(セブンス・ヘブン)」と「アマルコルド」の話は絵柄百面相っぷりが強いと思います。なんだろう? ゲームでたとえたらファイナルファンタジーとキングダムハーツのタッチを自由自在に切り替えてくるっていうか? ホントは熊倉裕一って何人もいるんじゃないの?

 ジンのキャラデザとか、もう章ごとにコロコロ変わってるし……なんか「絵柄が進化している」というより「普通に描いても上手い人が、あえてタッチを変えている」のがヤバい。そんなフォームチェンジみたいな感覚で変えられないもんだろ、絵柄って。

『王ドロボウJING』4巻より


ザザの仮面舞踏会

『王ドロボウJING』5巻より

 やっぱステアでしょ。

 「絵柄の違い」の話にも関連してるかもしれないけど、この漫画毎度毎度ヒロイン変える割に毎度毎度かわいい子出してくるのが本当にすごいと思います。ロゼとベルモットとベネディクティンとステアから最強のジンガールを決めろって? みんな一番かわいいッ!!

 まぁ、中でもステアは最強格のひとりですよね。
 このキャラでさ……ジンに対してはめちゃくちゃ一途なのが本当にいじらしいっていうかさ……ステアかわいいよ……………………。

「おことわりいたしますわ」
「私…ある方をお待ちしておりますの……」
「そしてダンスはその方……と心に決めておりますので…」

『王ドロボウJING』5巻より


JING ON AIR

『王ドロボウJING』6巻より

 やっぱキルシュでしょ。

 ずっと思ってたけど、シンプルにえっちですよね。
 『王ドロボウJING』、えっちなところが好き!!!!!

 特にキルシュ周り、やたらめったらえっちな気がする。こんなん読んでてオタクにならないわけないじゃん!? 『王ドロボウJING』読んでオタクにならなかったヤツなんているのか? いないだろうね。

『王ドロボウJING』6巻より

 ていうか、そもそもの絵が激烈に上手いのだから、女の子だってえっちに描けて当たり前ではあるのでしょうけど。にしてもキルシュはガッツリと性欲が注がれている気がする。よく剥かれるし。

 結構ディフォルメが効いた絵柄でもあるはずなのに、しっかり「女体美」を意識させてくる。えっちなところが好きです。本当に。性欲が好きです。

『王ドロボウJING』6巻より


色彩都市の少女

『王ドロボウJING』7巻より

 正直、ここまで来ると「絵が上手すぎてワケがわからない」領域に突入していると思います。まず、「色彩都市」という色が大切な世界観を、白黒の漫画で表現して、それがバシッと決まっているのがすごい。

 単純に、白黒の絵だけで「あ、今のシーンはこういう色で描いてるんだ」と直感的に想像ができる。これがすごい……ってか技量が異常。熊倉裕一の脳内には本当にどんな構造なんだ。

 もっと言ってしまうなら、この色彩都市の話はストーリーもよくわかりませんでした。「どういう話だったか?」と聞かれると、「絵がすごかったです」とだけ答えてしまう。超絶技巧で描かれた絵画が連続し、それがたまたま漫画という体裁を取っているような作品だと思います。

『王ドロボウJING』7巻より

 でも、ストーリーがよくわからないはずなのに、圧倒され続けるし、なぜか満足してしまう。王ドロボウJINGという作品はこれで終わりなのに、これこそ王ドロボウJINGの最後にふさわしいエピソードだと感じてしまう。

 常に「こういう絵が描きたい」が最優先で来る。その「こういう絵があったら最高」という思いの連続で形成されている作品なんですよね。「最強の絵だけが延々と続く漫画があったら、それは問答無用で最強だろう」という理論を実践している漫画だと思います。

『王ドロボウJING』7巻より


KING OF BANDIT JING

『KING OF BANDIT JING』3巻より

 読むに決まってんだろ、『KING OF BANDIT JING』も!!

 この続編を読み始めて、率直に思った。
 なぜ、あれ以上絵が進化するのか。正直、色彩都市ポンペイで「極限」を見てしまったような気がしていた。でも熊倉裕一はまだ全然限界じゃなかった。むしろボンボンという枷を外されてさらに大暴れ。

 そしてもうひとつ気づいたことがある。
 私はきっと、ジンに恋している。

 欲しいお宝は必ず奪い、女の子のハートを盗み、忘れられない初恋も奪っていく。何巻も何巻も続けて読むうちに、段々とジンに一番ときめいてきた。かっこいいジン、誰かを助けるジン、顔立ちの整ったジン、どこを見てもジン。最後の最後に私の心を盗んだのは、ジンだったんだ。

『KING OF BANDIT JING』4巻より

 でも、割とマジに『KING OF BANDIT JING』はジンが一番カッコよく描かれていると思います。もう絵柄百面相の果ての果てに、主人公のジンが一番「誰コイツ?」みたいな状態になってきてるんだけど、もうすべてが「まぁカッコいいからいいか」で許せるという。

 絶対的な「カッコよさ」の前では、人は跪くことしかできない。

 そして究極的には「男も女もエッチに描いてるところ」が本当に大好きです。私は、男も女もエッチだと思ってます。そしてこの漫画は男も女も最高にエッチに描いている。だから素晴らしい。だから愛しい。だから美しい!

 もう、私自身がジンガールになっていた。
 ジンに心を奪われていたのは私だった。
 きっと、この漫画は「あなたがジンガールになること」が到達地点なのでしょう。ジンガールになれたのなら、きっとこの漫画を最高に楽しめてる。

『KING OF BANDIT JING』7巻より

……盗むことってのは……たぶん……
最高の賛美なのさ……
そして……

この世界が賛美に値する限り━━━━
王ドロボウは盗み続けるよ。

 この作品が結局未完のままとなっていることはみんな知っての通りだと思うけど、私がこの漫画を読み終えた時、別に完結していないことに不満はなかった。むしろ、なんだか晴れやかだった。

 基本1話完結なのもあるかもしれないけど、それ以上に「この素晴らしい作品を14巻も読めたこと」への感謝が上回ったような気持ちだった。この世界が賛美に値する限り、王ドロボウは盗み続ける。このセリフをもって作品は完結だったのだとしても、特に不満はない。

 続きがほしいかどうかと言われたら、まぁほしい。
 だけど、「なんとしてでもこの作品を完結させてほしいか」と言われたら、そうでもない。すごくないですか? 別に全然ストーリー完結していないのに「むしろ晴れやかだ」と感じる漫画って。

 私の中で、ジンは永遠に生き続ける。この世界が賛美に値する限り、彼はまた……きっと私の心を盗みにきてくれる。

 そう信じさせてくれだけで、最高の漫画なのだと思います。

 私の中で、永遠に生き続けてほしい。
 永遠に色褪せない存在でいてほしい。
 いつかまた、盗みに来てくれるよね。



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