日本の防衛大手「インド進出」なぜインド? 実はでっかい野望への足掛かり!
乗りものニュース / 2025年1月5日 6時12分
日本の大手防衛関連企業でもある三菱電機は、インドの同じく防衛関連企業であるバーラト・エレクトロニクスと装備品の生産などに関する包括的な覚書(MOU)を締結しました。背景にはどのような事情があるのでしょうか?
サプライチェーン強化も視野に
三菱電機は2024年12月25日、インドの大手防衛関連企業であるバーラト・エレクトロニクス、およびインドにおける三菱電機の防衛事業の代理店であるメムコ・アソシエイツ・インディアと、協業に関する包括的な覚書(MOU)を締結したと発表しました。
バーラト・エレクトロニクスは、インド国防省傘下の防衛用電子機器および公共システムの大手製造企業です。レーダー、通信システム、電子戦システム、アビオニクス、艦船システム、宇宙関連システムといった防衛装備品のほか、公共システムの設計、開発、エンジニアリング、製造なども行っています。
三菱電機によると、今回の覚書により、3社は艦船・航空機搭載レーダー用モジュール、電子戦システム、宇宙状況監視システムなどの各種防衛装備品の製造に関して、日本、インドおよび第三国向けに最適な協業体制やビジネス・スキームなどを検討し、協力関係を構築していくとのことです。
では、三菱電機がインド企業との提携を進めた理由は一体なんなのでしょうか。同社は筆者(稲葉義泰:軍事ライター)の取材に対し次のように回答しました。
まず、インド市場への進出に際して、同国の国策である「メイク・イン・インディア」に従い現地に生産拠点が必要であったことが挙げられます。メイク・イン・インディアは、2014(平成26)年にインドのモディ政権がスタートさせた国内製造業の振興政策です。これに基づき、インド政府は国内製造業の保護や重要部品などの国産化を進めているほか、インドに進出する外資企業にも積極的な支援を行っています。
このため、三菱電機がインド市場を開拓する、あるいはインド企業と提携して第三国への装備品輸出を検討する場合、インド国内に生産拠点を設けることが重要となるわけです。
強化されるサプライチェーン
さらに、インドに生産拠点を新設することは「サプライチェーン強化」の観点でもメリットがあるといいます。たとえば何らかの理由で日本の工場における生産が滞ったとしても、インドの工場で生産を継続することができます。つまり、これにより三菱電機の生産能力が大きく強化されるわけです。
また、三菱電機のプレスリリースによると、今後3社間ではインド向けの製品製造のみならず、第3国への輸出も視野に入れた協業体制の構築が進められていくことになります。インドに足がかかりを作ったうえで、東南アジア諸国を含めた幅広い地域への装備品を輸出していく構えのようです。
日本政府が防衛装備品の輸出を積極的に後押しするなか、民間企業独自の企業戦略に基づき、三菱電機はその市場を着実に拡大しつつあります。
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