音楽ナタリー Power Push - 佐藤聡美×利根川貴之×北川勝利
キャラソンから紐解く「ガールフレンド(仮)」の魅力
総勢100人以上の豪華声優陣がキャストとして名を連ね、サービス開始から4年で会員数700万人超えを達成している学園恋愛ゲーム「ガールフレンド(仮)」。昨年12月からは、その世界観を受け継いだ学園恋愛リズムゲーム「ガールフレンド(♪)」の稼働もスタートし、さらなる人気を獲得している。そんな「ガールフレンド(仮)」の世界に登場するキャラクターソングの数々をコンパイルしたCD「ガールフレンド(仮)キャラクターソングシリーズ Vol.01」がリリースされた。
今回音楽ナタリーでは、ゲーム内のメインキャラクターである椎名心実を演じている声優・佐藤聡美と、クリエイターとして楽曲を提供している利根川貴之、北川勝利の3人による座談会を実施。音楽的な側面から「ガールフレンド(仮)」の魅力を紐解いていく。
取材・文 / もりひでゆき
ゲームでは“心実推し”
──学園恋愛ゲーム「ガールフレンド(仮)」は今年10月で4周年を迎えました。11月には、4周年を記念したライブイベントが開催されたんですよね。
佐藤聡美 はい。4周年のお祝いということでガッツリ歌って踊るイベントだったんですけど、ファンの皆さんにすごく盛り上がっていただけたのでうれしかったですね。「ガールフレンド(♪)」が始まったことで楽曲もキャラクターもどんどん増えて、バラエティに富んでいる中、気持ちを新たにできたところもありました。「5周年、10周年に向けてみんなでがんばろう」って絆を深めることもできた気がして。
──利根川さんはイベントを観に行かれたそうですね。
利根川貴之 はい。僕はキャラソンを作る前から「ガールフレンド(仮)」にBGMのプロデュースで関わらせていただいていたので、すごく思い入れが強いんですよ。なので4周年のイベントは「ぜひ観せていただきたいです!」とお願いして(笑)。佐藤さんの「Believe Myself」も含め、「ガールフレンド(♪)」で作った曲をライブで聴ける機会はなかなかないですからね。
──佐藤さんは声優として、利根川さんと北川さんはクリエイターとして「ガールフレンド(仮)」シリーズに関わっているわけですが、このプロジェクトに対してどんな印象をお持ちですか?
佐藤 私は「ガールフレンド(仮)」も「ガールフレンド(♪)」もプレイさせてもらってるんですけど、どちらもプレイヤーを飽きさせない工夫がすごいんですよ。最初の頃は声の付いてるキャラクターが少なかったけど、どんどん増えて、男性の敵キャラまで声優さんが付いていますから(笑)。ほかの作品とのコラボもあったりして、次はどんなことをやってくれるんだろうって楽しみが尽きないゲームですね。
利根川 僕は「ガールフレンド(仮)」に関わるまで、ゲーム音楽はそれほど作ったことがなかったんですよ。なので手探りでやってきたところはあるんですけど、ゲーム自体がどんどん話題になって、世界観もどんどん広がっていくにつれてそこに関われていることの喜びを感じるようになりました。スタッフさんたちのいろいろな仕掛けによって話題になったところもあるとは思うんですけど、なによりもファンの方たちが大切にこの作品を育てている感じがするんですよね。そこがすごくいいなって思います。
──北川さんはいかがですか?
北川勝利 僕は利根川くんに声をかけてもらって関わるようになったので、けっこうあとになってこのゲームのことを知ったんです。作品についていろいろ説明してもらう中で「ああ、そうなんだ。へえ」みたいな感じで(笑)。
利根川 あははは(笑)。そうだね。最初の打ち合わせのときに、「まず『ガールフレンド(仮)』っていうのがあって、今度『ガールフレンド(♪)』っていう音楽ゲームが出ます。それぞれこういう世界観で」みたいなことから説明しましたから。
北川 もちろんCMは観てましたし、アニメのことも知っていたので、それのゲームだってことはすぐにわかったんですけど、僕自身はスマホでゲームをしない人間なんですよね。だから気軽に関わっていると言うか、ゲーム用に特化した曲を作るのではなく、いろいろ説明してもらったことを聞いたうえで普通に楽しく曲を書いていいんでしょ、みたいな(笑)。
佐藤 あはは(笑)。
北川 企画に参加することで曲の使われ方もわかってきますし、ほかの作家さんの曲を聴いたりする機会もあるので、だんだん「ガールフレンド(仮)」の世界を把握してきたところです。
──ちなみに佐藤さんはゲームをプレイするとき、やはりご自身が演じる椎名心実を推してるんですか?
佐藤 そうなんですよ!(笑) 心実ちゃんはいわゆる高嶺の花的な存在だけど、そこまで強烈な個性があるわけではないので、正直最初は個性の強い周りのキャラクターたちに埋もれちゃうのかなって思っていたところもあって。でもファンの皆さんにたくさん応援をしてもらったおかげですごく人気のあるキャラクターになってくれたんです。「ガールフレンド(仮)」ではほぼ心実ちゃんだけでデッキを組んでますし、「ガールフレンド(♪)」のほうでも心実ちゃんだけレベルが高いっていう状態になってます(笑)。
やっと2番も聴いてもらえる
──今回「ガールフレンド(仮)」の世界を彩るキャラクターソングたちが1枚のCDとしてリリースされることになりました。それについて皆さんはどんなお気持ちですか?
佐藤 本当にうれしいですね。ゲームの中でしか聴けない曲が本当にたくさんあるので、「CD音源として出してください! 欲しいです!」ってずっと言ってたんですよ(笑)。今回それが実現したので、ただただ「うれしいな」っていうひと言に尽きますね。それとゲーム内だと短い尺でしか聴けないものがCDではフルサイズで聴けるんです。これをきっかけにゲームをやっていない方にも「ガールフレンド(仮)」を知っていただけることにもなるでしょうしね。
利根川 確かにゲームだと2分くらいの尺になってるんですけど、ちゃんとフルで作ってますからね。やっと2番も聴いてもらえるなっていう思いは作り手の僕らにもあります。
北川 うん。僕らからしたらね、2番もがんばって作ってるんだよっていう気持ちがあるから。そういう意味で願いが叶った感じ。
──ファンの方々も待っていたでしょうしね。
佐藤 そうですよね。CD化というみんなの願いが叶いました!
次のページ » 最初は心実ちゃんの曲ではなかった
- V.A.「ガールフレンド(仮) キャラクターソングシリーズ Vol.01」
- 2016年12月21日発売 / 2700円 / ポニーキャニオン / PCCG-01575
収録曲
- Now On Stage!! / nonet
[作詞・作曲・編曲: kz]
- Believe Myself / 椎名心実
[作詞:利根川貴之 / 作・編曲:北川勝利]
- 二人で綴る物語 / 村上文緒
[作詞:仰木日向 / 作・編曲:中西亮輔]
- 乙女無双クロエ譚 / クロエ・ルメール
[作詞:丹下桜 / 作・編曲:bassy]
- 清く正しく?School Days / 聖櫻カウンシル
[作詞:利根川貴之 / 作・編曲:中島靖雄]
- 巡る巡る生徒会Days / 鴫野睦
[作詞・作曲・編曲:熊木敏光]
- Tell me your secret / 神楽坂砂夜
[作詞・作曲・編曲:ARCHITECT]
- Wake Up My Love -オトメノジュンジョウ- / 櫻井明音
[作詞:SAKI / 作・編曲:新谷豊]
- Winter Chime / nonet
[作詞:たなかまゆ / 作・編曲:冨田恵一]
- ニッポンは興味深いのです。エトワール
[作詞:利根川貴之 / 作・編曲:中塚武]
- Blooming Days / 加賀美茉莉
[作詞:利根川貴之 / 作・編曲:北川勝利]
- 贈りたいもの / 笹原野々花
[作詞:利根川貴之 / 作曲:坂和也 / 編曲:坂和也&Wicky.Recordings.]
- その時、Fantastic Girl! / 見吉奈央
[作詞:利根川貴之 / 作曲:利根川貴之、坂和也 / 編曲:坂和也 & Wicky.Recordings]
- 世界に一つのどこにもない物語 / チーム・シンデレラ
[作詞 :yuiko / 作・編曲:伊藤翼]
佐藤聡美(サトウサトミ)
宮城県仙台市出身の女性声優、ボーカリスト。2007年に声優デビューを果たし、2008年にはアニメ「地獄少女 三鼎」の御景ゆずき役、2009年からは「けいおん!」シリーズの田井中律役を務め、知名度を高めた。また「けいおん!」シリーズの劇中バンドにして、出演声優陣で結成された放課後ティータイムが歌う楽曲は軒並みビッグヒットを記録し、2010年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでのライブ「けいおん!!ライブCome with Me!!」に出演。以降も人気アニメの主要キャストを歴任する一方で、2014年2月、シングル「ミライナイト」でアーティストデビューした。2015年6月に楠瀬タクヤ(Sabao、ex. Hysteric Blue)、SHAKALABBITSの提供曲などを収録した初のフルアルバム「Fanfare」を発表。2016年10月にはニューシングル「雨の菫青石」をリリースした。
利根川貴之(トネガワタカユキ)
音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。CM、アニメ、ゲーム音楽などの制作のほか、でんぱ組.incや妄想キャリブレーションといったアイドルへの楽曲提供も行っている。(株)Wicky.Recordsの代表取締役であり、音楽プロデューサーチーム・Wicky.RecordingsのメンバーとしてDr.Usui、坂和也と共に活動中。
北川勝利(キタガワカツトシ)
1998年にROUND TABLEのメンバーとしてミニアルバム「Feelin' Groovy」でメジャーデビューを果たす。2002年にゲストボーカルのNinoを加えたROUND TABLE feat. Nino名義での活動をスタートさせるものの、2012年をもって活動を休止。現在は坂本真綾、花澤香菜といったアーティストへの楽曲提供やプロデュースを多数手がけている。