生成AIの発展に伴って起こるネガティブな事象について
生成AIは今なくてはならないほどというのは言い過ぎかもですが、とても注目され発展している技術です。
一部では生成AIの利用者とそうでない方で生産性が天と地ほどの差がつくといわれています。
このまま生成AIは利便性の高さゆえに発展していくことになるでしょうが、その過程でいくつか問題も起こると思っています。
現時点でもLLMなどの著作権などが問題となっていますし、技術の発展に比べてルールなどの整備は遅れてしまうため、発展速度の速い生成AIに対してルールが追い付くのはかなり難しいのではないかなと思っています。
ルール以外にもこの生成AIの発展に対して反発する力や、ネガティブな現象も一部では発生すると思います。
私が想定している生成AIが発展する上で発生するネガティブな事象は以下の通りです。
・データの隔絶
・中間技術及び知識の欠落
◆データの隔絶
現在生成AIの学習データとして元となっている情報などはネット上に公開しているデータなどがもととなっています。
このデータ群はほぼ無料といってもよいような公開のされ方をしています。
元となったデータにはこの文章を見ている方も好きなように検索してアクセスできるのではないでしょうか?
さてこのデータ群、本当に無料でアクセスできるのでしょうか?
これは「はい」であり「いいえ」でもあると思います。
なぜかというと、こういったデータ群は公開の対価として金銭のやり取りこそ発生していないものの、利用者の広告を見るという行動や時間を対価にしているのがほとんどです。
つまり契約などの行為を挟まずに広告を見るという行動を要求されています。
さて、この広告の対価に公開されたデータ群は生成AIが今後発展していく中で縮小していくと思われます。
なぜならば生成AIに対して質問して回答を得るという流れでデータ群の提供者に儲けがほぼ発生しないからです。
当然データ調査し、WEBで公開するというのは費用が掛かります。
この費用に対して適切な対価が得られないのであればこのWEBで公開するという行為は今後縮小していくでしょう。
つまり現実とWEBでデータの断絶が起こることになります。
また、WEBで公開されても閉じた範囲でしか公開されない(例としてログインして費用が必要となるような)データも増えていくことになると思います。
これらのデータについては生成AIは通常のWEBクローラなどの手段では取得することができません。
こういった本当に新しく、また、広く知られていないデータについては、生成AIと現実との差が発生していくことになると思っています。
この差は生成AIがハルシネーションを起こす原因になったり、またベストな答えを返すことができない理由となったりすると思われます。
◆中間技術及び知識の欠落
生成AIでデータの取得や結果の取得が素早くできるようになったと感じている方はおおいいのではないでしょうか?
質問から回答を得るその過程で必要な行為はAIが代替しているのですが、そこの過程を本当に理解できている方は少ないと思います。
技術的な情報などの生成、画像生成、動画生成、音声生成にまで行くとブラックボックスといっていいほどの状態ではないでしょうか。
こういったものは現実でも見受けられます。
水道の知識がなくても蛇口をひねれば水が出て、ガスの知識がなくてもコンロから火が出て、電気の知識がなくてもパソコンの電源はつきます。
これを考えると生成AIというのは新しいインフラの創造に等しいと思っています。
さて、ここまでで別に技術がいらなくなるなら問題ないじゃないかと思う方は多いと思います。
しかしながら、こういったものを作る技術というのは作る前の準備などの環境を整える知識や作ったものの微調整などで生成AIが代替している技術が人間にも求められることが往々にしてあります。
生成AIで、あるプログラムを生成したとしましょう。
このプログラムはAという値を入れて、Bという結果を出すためのプログラムです。
これを作るとき、Aという値を入れて、Bという結果を出すという最低限の要件定義や、作った後のテストはどうすればよいでしょうか?
生成AIによって成果物を作ることは簡単になっていくでしょう。
しかし技術がいらなくなるかといわれるとそうはなりません。
これの品質の担保や要件定義、または成果物の微調整これに対応できる人間が今後求められていくと思われます。
遊びなどで利用する分には技術がいらないようになると思われたり、技術がなくてもその道で食べていけるように錯覚している方はいるかもしれませんが、逆です。
今後は仕事などで技術を利用する成果物には今まで以上の品質が求められることになります。
しかし、これを補完することができる人間はAIで簡略化されたことにより、今後どんどん減っていくでしょう。
例えば今までは音楽に関心があり、最終的に音楽で仕事をする人間はギターなどの楽器をまず手に取り、演奏技術を身に着け、作曲するというプロセスをたどってきました。
このステップアップがあるがゆえに人材が豊富でした。
しかし今は音楽に関心がある人間は、いきなり生成AIで曲を作れます。
さて生成AIしか触ってない彼らは今後音楽の仕事を請け負って食べていくことは可能でしょうか?
おそらく無理でしょう。
なぜなら生成AIで曲を作るなどの作業は誰でもできるのです。
そこに多少のプロンプトへの質問の仕方のテクニックなどあったところで、そこら辺にある今までで言うならExcelの操作テクニックなどのWEBページの内容などをちょっと調べる程度の労力で手に入ってしまいます。
しかしながら、音楽というのは数多くの楽器があり、演奏技術があり、いろいろな理論があるでしょう。
それらを駆使することで、例えば大枠だけ自分で作って、そこから生成AIで肉付けし、さらに発展させることもできます。
つまり初心者層から中間層まで需要がなくなるのに、上位層の需要が極端に高くなります。
彼らの価値は初心者から中間的な技術を持った人間が今後生成AIで代替できるがゆえに蹴落とされることを考えるとさらに高くなっていくでしょう。
今後データの隔絶や中間技術及び知識の欠落によって学ぶためのハードルはさらに高くなっていくと思います。
技術や知識でそこにたどり着ける人間は今まで経験を積みながら仕事ができたころよりもさらに少なくなるでしょう。
しかしながらある程度のブレイクスルーを超えた技術や知識は今後もっと重要になると思われます。
今後生成AIはなくてはならない技術にはなっていくでしょうが、その時にただ生成AIに使われる人間になるのかそれとも生成AIを利用する人間になるのか、いま学習している方々は考えていく必要があると思います。