[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国小町苦労譚  作者: 夾竹桃
小話 其之壱
55/237

よろしい、ならば戦争だ

ヴィットマンをアルファオスとした彼の群れは、アルファメスのバルティ、子のカイザー、ケーニッヒ、アーデルハイト、リッター、ルッツの計七匹で構成されている。

どの個体も小氷河期が影響してか大型に分類されるほど成長していた。特にカイザーは親のヴィットマンを超えるほどだ。

カイザーだけ大きくなった理由の一つに、親のヴィットマンと位置争いをした事があげられる。

勿論、地位ではない。静子が昼寝をする時のベストポジション争いである。

群れ社会に入って以降、特に静子に可愛がられた(と彼は思っている)カイザーは、獰猛な風貌に似合わず非常に甘えん坊な狼に成長した。

それは成体になっても変わらず、むしろ成体になってパワーとスピードが付いた分、甘えん坊な性質はより強くなった。


赤子から社会性を持つまでは母親、群れの一員となってからは静子にと、とにかくカイザーの性格は甘えん坊である。

親のヴィットマンから大小あれ、その甘えたがり性質は子ども全員に引き継がれていた。

だからこそ、彼らはベストポジションを求めて争う。


彼らのベストポジションとはどこかというと、それは静子から見て左側だ。

他にも頭や足元など別の場所もあるが、彼らにとって至高の位置とは左側なのだ。

逆に右側は不人気である。その理由が、静子は寝ている時右腕を余り動かさないからだ。

なおオスどもが左側を巡ってバトルしている時、バルティはちゃっかり右側を占拠していたりする。


彼らがどれだけ望んでも左側は一匹しか寝転がれない。

それを決めるのにヴィットマンの群れは独特の方法を取っていた。それはトライアスロンである。

ルールは至って単純、静子の家から村を一周する形で走り、最初に帰ってきたものが左側に寝転がれる栄誉を手に入れる。

この時ばかりは群れの階級など関係ない。全力で挑み、勝利したものにのみ玉座に伏す栄誉を与えられる。


「今日こそベストポジションは頂く」


「よろしい、ならば戦争だ」


なんてやり取りがあるかは不明だが、今日もまたヴィットマンたちは寝転べる権利を求めて熾烈な戦いを繰り広げる。


ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねをするにはログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

↑ページトップへ