86 世界一の地位活かせ
「当面は対人戦訓練だな。何か異論はあるか?」
「待て。異論ばかりだ」
朝メシ食って、決起集会。
今後の方針を伝えようと俺が語り出すと、シルビアがずいっと身を乗り出して抗議してきた。
「そもそも私とエコは龍馬龍王を九段にするための経験値が足りていない。これではタイトル戦出場資格さえ得られないではないか」
「問題ない。冬季タイトル戦までは後一ヶ月以上ある」
「四ヶ月かかって高段にするのが精一杯だったんだぞ? ここから九段まで上げるには、とてもじゃないが一ヶ月などでは……」
「3日で九段まで上げてやる。心配すんな」
「……セカンド殿。とても嫌な予感がするのだが」
酒が入っていたとはいえ、昨夜の言葉をもう忘れたのか?
「アイソロイスで爆稼ぎするぞ」
「ほ、本気だったのか……」
シルビアはガクリと項垂れた。
「大丈夫だ。別に死ぬまで戦ってもらおうとか、そういうわけじゃない。これからお前らに必要なのは、一にも二にも対人戦経験だからな。言ってしまえば、魔物と戦っている暇なんてない」
「む……? つまり、どういうことだ?」
「今日は見学しておけ。甲等級ダンジョンがどんなところか知っておく良い機会だ。明日からは、俺とあんこだけで経験値を稼ぐ」
「そんなことが……そ、そうか、可能か」
そう、可能なのである。
これこそがあんこをテイムした大きな理由の一つ。あの尋常じゃない強さの殺戮兵器にお願いすれば、ソロでも爆速で経験値稼ぎが可能となるのだ。
しかも《暗黒転移》と《暗黒召喚》の異常な汎用性を利用したら、日帰りで甲等級ダンジョンの攻略に挑める。こうなりゃ、二人の龍馬龍王の九段なんて秒読み、俺のタイトル戦出場資格も一週間あれば整うだろう。
「ねえねえ、たいとるせんってなに?」
不意に、エコが疑問を口にする。
「えっ」……と、俺とシルビアに加えて家事をしていたユカリまでエコの方を見やった。
「し、知らないのか!?」
「しらないよ?」
シルビアが愕然とした表情でエコに詰め寄る。エコは「ほにゃっ」と首を傾げた。
「エコ。タイトルを獲得すりゃあ、故郷の獣人のやつらがお前を神と崇めるようになるぞ」
「すごい!」
「そうだ、凄いんだ。だからタイトル戦に出ろ」
「うん、でる!」
よし、納得してくれたようだ。
「待て待て待て!」
「ご主人様、少々お待ちを。騙しているようで気になります」
「そうだ。もっと詳しく説明するべきだ」
シルビアとユカリから待ったがかかった。そうかな、そうかもしれない。
「じゃあ説明は……シルビア、任せた」
「うむ、任されたぞ!」
何故だか物凄く語りたそうな顔をしていたシルビアを指名する。ユカリはよしと頷いて、家事に戻っていった。
「いいか、エコ。まずタイトル戦にはな、全てのスキルを九段にしないと出られない」
「すべて?」
「ああ、いや、大スキルの小スキルを全て、だ。エコの盾術なら、歩兵から龍王まで全て、という意味だ」
「そしたら、たいとるもらえるの?」
「否。そこからトーナメントを勝ちのぼって、現タイトル保持者に挑戦する。そこで勝てば、タイトル奪取だ」
「……むつかしー」
「あー……とにかく勝ち続ければいい。ただ、タイトル戦出場というだけでとんでもない栄誉だということは知っておかねばならないぞ」
「うん、わかった」
へぇ、この世界では“とんでもない栄誉”なのか。メヴィオンでは“上級者の壁”みたいな扱いだったな。
「タイトル戦トーナメントは“決闘”で行う。致命傷を受けても必ずHPが1残りスタンする仕組みだから、安心だな。ポーションの使用は不可。他種スキルを使用した時点で失格、場外でも失格だ。制限時間は一時間、最終戦のみ無制限だ」
決闘とは、対局冠とは違って仮想的ではないPvPシステム。しかし……「致命傷にはHPが1残ってスタン」ルール? マジかよ。メヴィオンの決闘にもそんなルール設定はあったが、タイトル戦は流石に「致命傷は致命傷」ルールだった。じゃないと盛り上がらない。
現実に即した世界となったことで、倫理的に問題が生じたのか? 確かに、タイトル戦運営的にも出場者に死なれちゃ困るわな。俺としては緊張感が薄れて少し残念な改変だが、仕方のないことなのかもしれない。
「エコは盾術だから、金剛戦に出場する。私は弓術だから、鬼穿将戦だな」
「こんごーせん?」
「うむ。タイトルを獲得すれば、誰もがエコのことを“エコ・リーフレット金剛”と呼ぶようになるぞ」
「しるびあきせんしょー」
「そうだ。シルビア・ヴァージニア鬼穿将だ……むふ、むふふっ」
シルビアのやつやけに詳しいなと思ったら、なるほど……そういうことか。つまりはタイトルの名前がこいつの中二心をくすぐったわけだ。
「む、ところでセカンド殿はどのタイトルに挑戦するのだ? やはり剣術か?」
「ああ。剣術と魔術と召喚術に出る」
「は…………」
本当なら【弓術】にも出たかったが今回はシルビアに譲るぞ、と言葉を続けようとしたが、シルビアが「は」の顔のまま絶句しているのでやめておいた。何を言っても聞こえていそうにない。
「だから俺の場合は、セカンド一閃座・叡将・霊王の三冠だな。人に呼ばれる場合は、セカンド三冠か?」
「せかんどさんかん!」
「おう。三冠だ」
「……二冠でさえ前人未到だというのに、初出場で三冠か。流石に驚いたが、よく考えればいつものことではないか」
エコと喋っているとシルビアが復活した。俺の三冠宣言に呆れている様子である。うーん、良い気分だ。世界一位は呆れられるような強さでなければならない。
「冬季はとりあえずその三つだ。夏季で三冠防衛と五冠奪取を狙う。合わせて八冠だな」
「はっ……」
またフリーズした。
「……え、エコ。勘違いするな。これはセカンド殿だからだ。この人がオカシイだけだぞ。タイトル戦というのは、出場するだけで栄誉なのだ。大変な栄誉、のはずなのだ」
「ふーん」
シルビアの説明にエコは分かっているんだか分かっていないんだか微妙な返事をする。エコは若干だが俺の価値観に引っ張られている感じだな。まあ、何事も経験だ。いざタイトルに挑戦してみて、それで初めて分かることが山ほどある。栄誉だろうが何だろうが、全ては挑戦してから始まることだ。
「よし、じゃあアイソロイス行くか。三十分後に出発だ。準備しておけ」
冬季タイトル戦まで後一ヶ月。まずはとっとと足りていない分の経験値を稼いでしまおう。
「ああ、そうだ。ユカリ、序列戦上位で希望する使用人も連れていこうと思うんだが、候補はあるか?」
「……はい?」
「クソほど経験値稼げるからな。ついでに使用人も育てる。育てた使用人が乙等級ダンジョンくらい回れるようになれば、その下も育つだろ?」
「え、ええ。承知しました。30分後に合わせて招集しておきます」
「よろしく」
「で、集まったのがこの5人と」
30分後。リビングに集まったのは、シルビアとエコ、そして5人の使用人だった。
「キュベロと、イヴと、エルだったか。それと」
「お初にお目にかかりますわ、ご主人様。わたくしはシャンパーニと申します」
「おお。お嬢様っぽいなぁお前」
「こ、光栄ですわ! 感激ですわ! 素敵ですわ~っ」
シャンパーニは胸の前で手を合わせ、ぴょんと跳ねて嬉しさを表現する。感情表現豊かな子だ。ゴージャスな金髪からふわりと花の香りが漂ってきた。表面のファッションだけでなく内面の隅々まで行き届いた身嗜みの全てに並々ならぬ努力を感じる。実に好印象。
「私はコスモスです。よろしくお願いいたします、ご主人様」
「ああ、よろしく。お前は杖術か」
「はい。棒の扱いには自信があります」
コスモスは黒髪ロングの和風美人って感じだな。うーん、しかし、清楚そうに見えて何か隠していそうだ。何故そう思うかって? 【杖術】なんていうマニアックなスキル使ってるからだよ。
「これだけか?」
「本来ならばコスモスの代わりに園丁頭リリィが加わるはずでしたが、何やら仕事でトラブルがあったようです」
「仕事か、大変だな」
「大変なのは彼女の部下の方だと思うのですがね……血涙を流して悔しがっておりましたから」
キュベロが苦笑いで答える。「次の機会にと伝えておいてくれ」と言うと、キュベロはどこか嬉しそうな表情で頷いた。
「じゃあ行くぞー」
俺は一言声をかけて、あんこを《魔召喚》する。
ざわりと使用人の間で動揺が広がった。そういえば、まだ説明していなかったか。
「こいつは俺の秘密兵器だ。暗黒狼のあんこという。甲等級ダンジョン・アイソロイスの裏ボスだな」
「……甲等級」
「ああ。これから行くダンジョンも、あんこが元いた所だ」
ざわめきが静寂となった。そして直後、騒然とする。
「甲等級ダンジョンへ行くと仰るのですか!?」
「なんだ、ユカリから聞いてなかったのか?」
愕然とした表情をしているのはキュベロだけではなかった。使用人全員が青い顔をしている。いや、イヴだけは元から真っ白い無表情な顔なので青くなっているかどうかは分からないが、何となーく驚いているように見えなくもない。
「心配するな、お前らには指一本触れさせない。社会科見学だと思え」
今回の目的は、経験値稼ぎのついでに「使用人に現場を見せる」ことだ。これは一見して何でもないことのようで、実は非常に重要なことである。
ネトゲとは、上級者に憧れて行動を起こすもの。具体例を見て「ああなりたい」と思わなきゃあ、本気など到底出せない。
彼らには、今回の見学で俺に憧れてもらう。そして行動を起こしてもらう。ダンジョンを周回し経験値を稼ぐという、この単純な作業を耐えられるだけの理由を見出してもらうのだ。
「やる気を出せ。向上心を持て。それから自分で考えろ。お前らが強くなるために必要な情報は全て俺が持っている。知りたきゃ教えてやる。今日は、その第一歩だ」
「主様」
「ああ。転移と召喚を順次始めてくれ」
「御意に」
あんこは全員それぞれに手を触れてから、アイソロイスへと《暗黒転移》し、次々に《暗黒召喚》を行う。
シルビアとエコは覚悟を決めたような表情で、使用人たちは戸惑い顔のまま、アイソロイスの城門前へと転移した。
「チームに参加するように」
俺は使用人5人にファーステストへのゲスト参加申請を送る。5人は瞬時に受諾した。
ユカリを一時的に分配から除外し、チーム内の経験値分配方法を均等に設定。これで、俺とあんこだけが戦闘しても、得られた経験値は8人へ均等に分配される。
「遅れずに付いてこいよ」
有無を言わさず歩み出す。接敵の直前でアンゴルモアを《精霊召喚》し、《精霊憑依》させる。ここでまたしてもキュベロ以外の4人がざわついた。
「召喚術の精霊憑依だ。精霊召喚四段で解放される。なるべく覚えておいた方がいい」
惜しげもなくアドバイスする。シャンパーニがメモを取っていた。結構なことだ。情報漏えい何のそのである。
「この後使う変身スキルの習得方法はシルビアとエコに聞いとけ」
《精霊召喚》と《変身》を交互に使い、バフを切らさず戦う。ダンジョン攻略の基本だな。
「あんこ。黒炎之槍」
「畏まりました」
出し惜しみもしない。初っ端から最高火力で突き進む。
俺はあんこに引き続きミスリルソードを腰から引き抜いて、《飛車剣術》を準備しながら駆けだした。
「うふっ」
門番の鎧騎士2体を、あんこの《龍王槍術》が一発で吹き飛ばす。
使用人たちと、シルビアとエコは、絶句していた。甲等級の魔物を一撃。それがどれだけ異常なことか、理解しているのだろう。
城門突破。その勢いのまま、アイソロイスの古城へと突入する。
「直進、接敵十時」
「はい」
「直進、接敵三時」
「はい」
「前進一時、接敵九時」
「はい」
共通の単語で指示を出す。方角は時計で表す。なるべく簡潔に、分かりやすく。
どこからどのような魔物が出てきて、どのような攻撃をしてくるか。全て把握して、全て先読みして、卒なく対応する。
相手に何もさせることなく完封することこそが何よりの安全。先制攻撃こそ最大の防御である。
「5秒後変身、接敵十一時」
「継続は如何なさいますか」
「Bで行こう」
「はい」
左前方から来るブラックゴースト3体を《変身》で吹き飛ばす。あんこの「継続」というのは、その後どうするかを聞いている。俺の「B」とは、プランBを指す。事前にあらゆるパターンの対応を“型”として準備しているため、いちいち「変身後はこうしてああして」などと指示を出す必要はない。
ちなみにプランBとは、変身中の無敵8秒間に俺の後方からあんこが魔物を攻撃、それで倒しきれなければ6秒経過後に俺が突撃しつつ魔物を吹き飛ばし、あんこが追撃するというもの。
「愚かな」
今回はあんこの《飛車槍術》で倒せたため、突撃も追撃も必要なかった。
「前進一時、接敵正面」
「はい」
こうして、猛スピードでアイソロイスを攻略していく。
ボスのいる天守閣へと辿り着いたのは、入城から1時間とかかっていなかった。
「似ておりますね」
「ああ。一応お前はコレの突然変異種の進化形だからな」
アイソロイスのボスは黒炎狼。暗黒狼であるあんこのような大きな黒毛の狼である。
「Fね」
「御意に」
プランF――あんこによる《暗黒魔術》の先制攻撃。
黒い霧を喰らってHPが1となった黒炎狼に《歩兵弓術》を一発。瞬殺だ。
「よし、ちょっと休憩したらもう一周」
一周が大体1時間弱、休憩を入れて1時間として、《暗黒魔術》のクールタイム3600秒にぴったりとなる。ゆえに、アイソロイスの高速周回が可能だ。
いやあ、久々とはいえ昔にクソほど周回しただけはあった。体が完全に覚えている。この調子なら、一周45分くらいには縮められるだろう。となれば《暗黒魔術》に頼らずに黒炎狼を倒す必要があるな。どうしよう、《龍王剣術》のスタンでごり押ししてもいいが、安全性を考えるなら金角ハメ次郎を使ってもいいな。金角ハメ三郎でもいいか。うーん……。
「……セカンド殿」
「どうした?」
攻略法を色々と悩んでいると、シルビアが神妙な面持ちで話しかけてきた。
「龍馬が七段になったのだが」
「おお。よかったな」
「よ、よ、よかったなではない! ヤバすぎるぞ!!」
うるさっ! 耳がキーンとする。
「自分が何をしたか分かっているのか!? 一撃も喰らわずにたった1時間で甲等級ダンジョンを攻略したんだぞ!? それも私たちを護りながらだ!」
「別に護ってないぞ。魔物に何もさせないように潰してただけだ」
「それが異常なんだああああっ!」
吠えた。
「1時間で龍馬が六段から七段になった! ということはだ! 使用人たちにはどれだけ経験値が入っている!? 歩兵くらいは軽く初段から高段まで上がるのではないか?」
「かもな」
「最強だな!?」
「そうだな」
シルビアはテンションが上がり過ぎておかしくなっていた。
一方でエコは「おおーっ」と嬉しそうな声をあげて自分のスキルをいじっていた。相変わらずのマイペースである。
「セカンド様」
すると、キュベロが決意を固めたような表情で俺の名前を呼んだ。その横には、他の使用人たちも並んでいる。
「我々をこの場へとお連れいただいた意味、確と承知いたしました」
「そうか」
……うずうずしている、と言えばいいだろうか。かつて第一宮廷魔術師団に壱ノ型のダメージを見せた時のような、そんなやる気に満ちた顔をしていた。どうやら現場を見せた効果が覿面にあったみたいだ。実に嬉しい。
「気になることがあれば、何でも聞け。ダンジョンの攻略法でも何でもいい。教える準備はできてる」
「はい……!」
チームに入ってきた新人に先輩風を吹かすように言ってやると、5人の使用人たちは感激したように頷いた。
「じゃあ俺タイムアタックに集中したいから、もう帰っていいぞ。あ、シルビアとエコは残れ。帰りに買い物行くからそれまで後ろで見てろ」
使用人たちをあんこに送らせて、アイソロイスの周回に戻る。
いよいよって感じだな。着々と経験値を得て、タイトル戦の舞台へ。ついに世界一の領域へと足を踏み入れる。再びあの地位へと返り咲くのだ。
……首を洗って待ってろよタイトル保持者ども。お前らに土がつく日は近いぞ。
* * *
「皆、分かっていますね」
ファーステスト邸に戻った5人は、顔を見合わせる。
キュベロの言葉に、コスモスが挙手をした。
「何でしょうか」
「パンツがぐしょぐしょなので帰っていいですか」
「……もう少々お待ちを」
恥ずかしげもなくそんなことを言うコスモスに面食らいながらも、キュベロは言葉を続ける。
「私はこの一時間で、歩兵体術を七段に、銀将体術を五段に上げることができました」
「おう。あたしの体術もそんなもんだ」
「わたくしも歩兵剣術を五段に上げましたわ」
「私も杖術が軒並み絶頂って感じです」
「……ぁ……も」
皆それぞれが、スキルを上げたことを報告した。イヴも言葉にはできていないがこくこくと頷いている。
「私たちは……セカンド様に与えていただいてばかりです」
キュベロの呟きに、全員が同感だという顔をした。
「何故、このような経験をさせてくださったのか。その真意を汲み取らねばなりませんよ」
「わたくしはもう分かっています。ご主人様は、私たちに戦力として期待されているのですわ」
「それもあるだろうけどよ、あたしたちを成長させて、使用人全体に活を入れるってことじゃねーか?」
「そうですね。そしてゆくゆくは挿れたり出したり……」
「……?」
コスモスの呟きにイヴが首を傾げた。エルがコスモスの頭をひっぱたくのを待ってから、キュベロは口を開く。
「何としてもご期待に応えましょう。たったの1時間でしたが、学ぶべきことは星の数ほどありました。セカンド様と我々とでは、見えている世界が違う。それがはっきりと分かった今、やるべきことは一つ」
「少しでもご主人様に近付き、お役に立てるよう精進するのですわね?」
「ええ。我々は、あの方に教わることができる。これ以上の環境はありません」
世界一位に教えを乞える。そんな素晴らしい環境は、この世界の何処を探してもここにしかなかった。
「セカンド様にダンジョン攻略について教わり、使用人のみでダンジョン周回が可能となるよう各自研鑽を積みましょう」
ファーステストの使用人が、他に類を見ない猛者集団となる、その第一歩を踏み出した。
「ところで、ご主人様って格好良すぎません?」
「そりゃ今更って感じだな」
「……っ……ぃ」
「あの、ふと思ったんですけれど。イヴさんってとても分かりやすいですわよね」
「あぁー、確かになぁ。こんなに可愛いのになんで怖がられてんのかねぇ」
「……ぇ?」
「顔、真っ赤っかですよ~イヴっち」
「~~~っっ……!?」
アルビノゆえに肌が真っ白なイヴは、少しでも照れたり興奮したりすると、肌が真っ赤に染まってしまう。
「ご主人様を後ろから見ているだけでゆでダコみたいになってましたわ」
「あっはっは、不憫だなぁそりゃ」
「…………」
「落ち込むことないですよイヴっち。私なんてご主人様を見るたびに下着を換えなきゃいけないんですから」
「そりゃちっとも不憫じゃねーな」
「おーっほっほっほ!」
「パニっち許さない」
「何故わたくしだけ!?」
「笑い方が気に食わないです」
お読みいただき、ありがとうございます。
<現時点で判明しているタイトル一覧>
【剣術】 一閃座
【弓術】 鬼穿将
【盾術】 金剛
【魔術】 叡将
【召喚術】 霊王
20180627 タイトル戦ルール、ポーションの使用を可能→不可へ修正。