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精霊の友として  作者: 北杜
八章 帝国皇都騒動編
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10 改造貴族オーファン

 リーダー格の騎士を無力化したオーファンはベッドのシーツを破ってロープ代わりにして縛る。ベルリディアをララーシャルに渡して、オレもシーツをロープ代わりにして使用人と侍女を縛った。

 オーファンと捕縛作業するけどやり易いな。息が合っているというのかな? 何も言わずに手伝ってくれて、頼もうとした事を、やり易い様に手伝ってくれる。……すごく楽だ。

 三人を縛ってひと段落した。騒ぎを聞きつけた騎士が来たので事情を説明する。


「そこで気絶している騎士が、使用人と侍女の家族を人質に取ってベルリディアを誘拐しようとしたので、捕縛しました。後の事を頼んで良いですか?」

 

 説明を受けた騎士は部下に「クリスハルト様をお呼びしろ!」と指示してから、オレ達にさらに詳しい説明を求める。……と言っても他に何かあるかな? どう説明をすれば良いか考えていると騎士が、


「皆様は御無事ですか? ベルリディア様は気を失っているだけなのですか?」


 オーファンも怪我はしてない。ララーシャル、ベルリディアの容体は?


「気を失っているだけで、体調に問題ないわ。明日には目が覚めるわよ」


 それを聞いて騎士は膝を折って謝罪する。


「客人方を危険な目に遭わせて申し訳ございません。主犯の騎士や誘拐犯達を取り調べして、処罰いたします。誠に申し訳ございませんでした」

「ロックマイヤー公爵はそこの騎士が皇帝候補の内通者と知っています。そして使用人と侍女の人質は救出されていると思うから、ロックマイヤー公爵にこの件を伝えて貰えますか?」


 ララーシャルが騎士さんに公爵さんへの伝言を頼むが、……って言うかどうして犯人が皇帝候補の内通者で人質の事も知っているんだ? オレの中で聞いていたのか?


「サクラの情報網に引っかかっていたのよ。この騎士が皇帝候補の内通者って事や人質の事も、ロックマイヤー公爵に教えていたの。もう少し泳がせようと思っていたけど、命令無視して勝手に動いたみたいなのよ」


 ……サクラの情報網。いや精霊の情報網って凄いな。でもどうしてオレに教えてくれないの?


「秘密だって言っていたわよ」


 サクラ。今度ゆっくりと話し合おう。秘密についてじっくり話し合おう。と心の中で誓う。……でも『乙女の秘密』って言って教えてくれないだろうな。


「トルク、ベルリディアを助けてくれてありがとう」


 今度はオーファンが話しかけてきた。

 ……オーファンの雰囲気が変わった? 前よりも存在感を大きく感じる? 堂々としている感じがする。何かあったのか? そういえば訓練は上手くいったのか?


「上手くいったわよ。魔法も使える様になったし、戦闘技術も磨いたから」


 サクラ登場。サクラよ、今回、オーファンに迷惑をかけなかっただろうな?


「迷惑なんてかけないわよ。オーファンも感謝しているわ!」

「本当か? オーファン、大丈夫だったか? 心に傷を負っていないか?」

「大丈夫だよ。サクラ様のお陰で強くなった。魔法も使える様になったし、戦闘訓練も受けたから」


 ……いろいろとツッコミ所があるな。オーファンはサクラを見る事が出来たのか? 魔法を使えるのは見たから分かったけど、どうやって戦闘訓練を受けた?


「サクラ様がトルクの記憶から魔法の使い方や応用、戦闘訓練を私の記憶に写してくれたのだ。そのお陰で戦い方や魔法を覚える事が出来た」

「なんだって? オレの記憶を写した!?」

 

 戦い方や魔法の使用法をオーファンに記憶させた? だからオレと似ている戦い方で、両手で魔法が使えるのか? 足から風魔法を使って空も飛べるのか?


「両手両足からは魔法を発動できない。訓練する時間がたりなかった。でも回復魔法や氷を作る魔法なら多分出来ると思うよ」


 オーファンはオレが今まで鍛えてきた魔法の使い方を、半日で覚えたのか? 戦い方も半日で? ……記憶させたからってそんなに簡単に覚える事が出来るのか?


「トルク、私は初代の御使いであるライの友人よ。この程度、簡単よ!」


 ハッキリ言ってチートだ。時間があれば回復魔法も剣術や槍術も般若心経も半日で覚える事が出来るのか? ……さすがにオレ自身、般若心経は覚えていないけどね。


「出来るわよ。でもトルクが出来る事しか、相手に写す事は出来ないわよ」


 オレの許可を得ずにか! ……サクラ、後で話し合おう。ゆっくりと話し合おう。

 サクラが勝手にオレの記憶を使った事は後で話し合うとして、オーファンと話し合う。


「オーファン、とりあえず魔法が使えるようになって良かったな。でも……」

「トルク、君の記憶を見て魔法の使い方や応用、戦い方をサクラ様から習った。これでベルリディアや母上を守る事が出来る」


 すごく曇りない目で感謝された。……確かにオレがオーファンに魔法の使い方を教えると約束したけど、……やり過ぎだろう! どうするんだよ! 改造だよ! それも魔改造だ! 卑怯で変わった戦法や魔法の使い方! そんな戦い方を使うオレを増やしたんだぞ!

 

 ベルリディアになんて言えば良いんだ! 実の兄がオレのような卑怯で変わった戦い方をする人間に改造された! 土下座して謝罪するしかないかな?


「どうした? トルク」


 ベルリディアの前にオーファンに土下座して頭を下げて謝罪しないと! オーファンに頭を下げようとする前に、逆にオーファンが頭を下げた。


「トルク、本当にありがとう。トルクやサクラ様から受け継いだ強さで皆を守ろうと思う。そしてトルクも守らせてくれ。トルクに守られるだけではなく、友達として私を頼ってくれ。トルクから貰った強さで私も、トルクのように皆を守りたい!」


 手を取って真摯な瞳でオレを見る。……逆にオレが謝罪する事が出来ない、どうしよう。


「みんな! 無事か!」


 クリスハルトが来てオレ達の無事を確認して、誘拐犯達を連れて行く。ちなみに気絶した護衛の騎士も連れて行ったよ。ララーシャルが回復魔法を使って傷は治したけど気絶したままだったから。


「全員無事で良かった。泳がせていた内通者が動くとは。ララーシャル殿から「内通者は命令がないと動かない」と言われたので、先に人質を救出した後に内通者を捕まえる予定だったのだ。しかし勝手に行動するなんて」

「私も油断していたわ。サクラが言うには変態皇子が屋敷に来たから、予定が狂って勝手に行動したみたいなの。詳しくは本人に聞いて頂戴」


 ララーシャルがクリスハルトに内通者から聞き出せと言う。クリスハルトも承諾して部下に指示した。


 ようやくひと段落ついた。オーファン達の部屋は騒ぎが起きて散らかっているから、今日はオレ達の部屋で寝る事になった。

 クリスハルトがオーファンの夕食を準備させて、ララーシャルとベルリディアは先に寝室に入って休む。

 オレも今日は疲れたな。変態皇子と朝食を取り、アイスクリームメーカーの設計図を作り、エアコン魔法と氷を作る魔法を覚え、オーファンの訓練の手伝い、そして誘拐犯の撃退。

 明日はゆっくり過ごしたい。……明日の昼はアイスクリームメーカーの確認があったな。それにアイスクリームを作って食べるって用件があった。

 そんな明日の予定を考え中に食事中にクリスハルトがオーファンに今回の訓練を聞いた。


「なあ、オーファン。訓練はどうだった?」

「とても為になりました。魔法を覚えて、戦闘訓練も積むことが出来ました」

「なるほどな。なあ、トルク。私も……」

「駄目! 絶対に駄目! 許可はしない! これ以上は駄目!」


 オレは絶対に許可しない! これ以上、改造人間を増やしてなるものか!

 サクラの訓練は禁止だ! 絶対に禁止だ!


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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