町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でドナルド・トランプ アメリカ次期大統領についてトーク。実は中国がトランプ大統領誕生を喜んでいる話や、トランプの国有地政策などについて話していました。
(町山智浩)あと、朴槿恵大統領も、いまこの時期か?っていう感じですよね。
(赤江珠緒)まあ、相当支持率が……4%ですか?
(町山智浩)ゼロ近いっていう。
(山里亮太)若者に関してはもうゼロだっていう風に言われてますね。
(町山智浩)ただ、韓国はいきなりガーッ!っと行って、ガーッ!っと引くっていう(笑)。熱しやすく冷めやすいところがあって。政治運動的にはね。ただ、いますごく……トランプが大統領になるじゃないですか。で、トランプは日本と韓国から軍事的に撤退したいみたいなことを散々匂わせてね。「お金を出すか、核兵器を買うかしてくれ」みたいなことを日本と韓国に言っていて。で、朴槿恵大統領が非常に不安定な政権になった時に、北朝鮮がもう大喜びしているんですよね。
(赤江珠緒)ああー!
(町山智浩)すごい喜んでいて。もちろん、トランプに対しても喜んでいるんですよ。要するに、日本と韓国から手を引くみたいなことを言っているから、軍事的な空白ができる可能性があるわけですよね。政治的にもね。だから、これ北朝鮮、なんかするかもしれないですけどね。わかんないですけどね。で、いますごくみんな知らないけど、トランプが大統領になった時に世界中でまず喜んだのはロシアのプーチン大統領が喜んで祝電を送ったじゃないですか。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)一方で、ものすごく喜んでいたのって中国なんですよね。
(赤江珠緒)そうですよね。ロシアと中国は喜んでいますもんね。
(町山智浩)そう。中国は要するにTPPがなくなると……TPPっていうのは中国っていうすごい巨大な経済圏に対して対抗するための経済圏なんですよね。ところがそれがなくなっちゃうわけ。だから、経済的な防衛機構がない状態になるわけですよ。太平洋側に。日本、韓国、アメリカのあたりは。だから中国経済がどんどんそれで進出してくるのを止められないんですよね。
(赤江珠緒)ああー。
ドナルド・トランプと中国のビジネス
(町山智浩)だから、すごく喜んでいて。で、面白いのはトランプってホテルをやっているじゃないですか。で、中国の不動産会社と契約しているんですよ。すでに、もう選挙の前から。
(赤江珠緒)ええっ? 中国の?
(町山智浩)中国。上海かな? だから、トランプホテルを中国に作るんじゃないですか?
(赤江珠緒)えっ? そういう活動はそういう活動で続けながら?
(町山智浩)そっちが本職だから。
(山里亮太)へー! ええっ、ちょっとTPPをやめるって言った理由がそんな、結構個人的な理由ってことはさすがに?
(町山智浩)まあ、TPPをやめるって言ったのは彼がいちばん票がほしかったラストベルトと言われている工業地帯があるんですね。アメリカの五大湖のあたりのミシガンであるとか、オハイオであるとか。あのへんの人たちの票を取るためにTPPとNAFTAっていうメキシコ・カナダ・アメリカの通商条約をやめるって言って、それがいちばん票を得た理由なんですけども。でも、TPPをやめて喜ぶのは中国なんですよね。実際はね。
(赤江珠緒)そうかー。わかりやすく喜んでいるところが利するという状況。
(町山智浩)そう。で、トランプ自身は中国とビジネスをやっているし。だから、もう本当にすでに中国の不動産会社みたいなところと契約をしちゃっているから。トランプの会社の方がね。でも、今回面白いのはトランプ、ホワイトハウスに入るじゃないですか。で、ホワイトハウスのすぐ近くにトランプ・インターナショナル・ホテルっていうのがあるんですよ。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)で、そこはアメリカ政府の国有地を借りてホテルを経営しているんですよ。だからたぶんこれからトランプが大統領になると、政治的なことと私的なことがぐちゃぐちゃになっていくだろうなと思いますね。
(赤江珠緒)えっ、じゃあもう要人とかをそのホテルに泊めようみたいな?
(町山智浩)という形になるんじゃないですか?
(赤江珠緒)はー!
(山里亮太)そうか。大統領の持っているホテルだから、もう……公的な場所だっていう?
(町山智浩)そう。でもそれって、イタリアでもそういうことが起こったんですけども。実業家が政権を取ったり。フィリピンもそんなようなもんじゃないですか。だから、こういう企業家が大統領になって企業の利益と国家の利益が非常によくわからないことになっていくという。だって国有地に自分のホテルを持っているわけですからね。という、すごい事態になっていくだろうなと思いますよ。
(赤江珠緒)ちょっと、どうなんでしょうね?
(町山智浩)しかも、トランプは国有地に反対しているんですよ。
(山里亮太)えっ、反対してるって?
(町山智浩)アメリカって国有地に対する反対運動っていうのがすごく多いんですよ。っていうのは、もともとアメリカってひとつの連邦国家となる予定がなくて。最初はバラバラの州で独立する予定だったんですよ。260年前の建国時にね。ところが、連邦国家になったおかげで各州に連邦政府の国有地があるんですよ。「それは憲法違反である。各州の所有に戻せ!」っていう運動が各地で起こっているんですよ。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)で、たとえば自然保護区っていうのは国有地ですよね? だからそこを占拠する人たちがいるんですよ。銃を持って。
(赤江珠緒)へー!
(町山智浩)で、オレゴンかなんかではそれで銃撃戦に発展したりしているんですよ。で、国有地って草が生えているからそこに勝手に牛を連れて行って草を食べさせたり、勝手にその国有地を使っていたりするんですけど。それに対して、トランプは「国有地をなくすという運動を支援する」と言っているんですが、自分自身は国有地をリースしてそこにホテルを持っているんですけど、どういうことなんだ?っていうね(笑)。
(赤江珠緒)そうですね。
(町山智浩)だからその私的な彼の企業家としての利益が、彼が大統領になった時にどのようになるか?っていうのは非常に曖昧で。
(赤江珠緒)ちょっと前代未聞のことが次から次に起こるかもしれませんね。
(山里亮太)とんでもない法律とか、作るかもしれない。
(町山智浩)とんでもないことになるんじゃないかな?っていう気もちょっとしますですね。
<書き起こしおわり>