配当金目的の個人投資家が増加している
株式投資の利益は「キャピタルゲイン(値上がり益)」と「インカムゲイン(配当金)」の二つに分かれますが、ここ数年増えているのが、インカムゲインである配当金を目的とした個人投資家です。
配当金目的の株式投資は、キャピタルゲイン目的に比べて大きな利益を得ることは難しいですが、次のようなメリットもあります。
- そこそこの利益を安定的に受け取ることが可能なこと
- 投資先企業の業績向上や増配によりキャピタルゲインも期待できること
- 基本はバイ・アンド・ホールドのため売買のタイミングを見計らう必要もなく管理が楽であること
そして近年は配当利回りが高い銘柄の株価そのものが上昇していることもあり、注目を集めていると言えます。
ただ、安易に配当利回りが高い株を買って保有し続ければ良いというものでもない点には十分注意が必要です。
株価が下落すると名目的には配当利回りが増加する
配当金目的での投資の場合、いかに自身の買値から見た「配当利回り」を高められるかが極めて重要となります。
この配当利回りが高まる要因は二つです。
- 保有している株が増配することにより配当利回りが高まる
- まだ保有していない株の株価下落により、買った場合の配当利回りが高まる
そして配当金目的の株式投資で成功していると思われる先導的個人投資家は、配当利回りが高い銘柄の株価下落は、配当利回りが高まるため新規買いの機会となる、という発信を継続的にしている様子です。
ただ、これをうのみにするのは危険であり、本当に株価が下落する中を買い向かって良いのかどうかは検討する必要があります。
その際に調査すべきが、過去の配当金の推移と、業績の推移です。
過去の配当金推移から見えてくるものがある
例えば最近株価が下落を続けていて、配当利回りが高まっていることを受け配当金目的投資の先導的投資家が買い時であると発信している銘柄の過去の配当金の推移は次のようになっています。
※分割調整後の配当金
これを見ると、年により減配していることもあるものの、趨勢(すうせい)でみれば配当金は増加傾向にあります。業績も同様に趨勢で見て増加しており、このような銘柄であれば株価が下がったところは買い時と考えてもよさそうです。
では、次のような場合はどうでしょうか。
※分割調整後の配当金
上のケースと比べて、配当金が趨勢として増加傾向にあるとは言えないのが分かりますでしょうか。確かにここ数年間は業績の急上昇に伴い配当金も大きくなっていますが、その直前は5年間にわたり無配が続き、その前も配当金の額は小さい状況が続いていました。
この銘柄はいわゆる景気敏感株であり、業績も年により大きく変動し、趨勢として増加傾向にあるとは言えない状況にあります。
こうした銘柄の株価が下がって配当利回りが高まっても、株価下落が業績悪化、そして減配懸念から生じているものである可能性も高いため、安易に手を出すのは危険と言えます。
リスクに備えて銘柄分散も
このように、過去の配当金や業績の推移を見ると、株価が下がったときに買い向かっても良い銘柄と、そうでない銘柄をおおよそ区別することが可能です。
ただ、これはあくまでも「過去の結果」であり、今後もずっと過去と同じような趨勢で推移するかといえば、それは分かりません。
従って、あまり少数の銘柄に資金を集中させるのではなく、十分に投資資金を分散させ、保有銘柄に何か大きな出来事(業績の急悪化や無配転落など)があったとしても、トータルで見れば大きなダメージが生じないような、事前の準備も必要です。
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