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ソーシャルメディアマーケティングのトリセツ「動画配信編」

今回は動画配信についてです。
具体的サービスとしてはUstreamなどを想定しています。

動画配信とはなにか

インターネット(とりわけモバイル環境)の普及とパソコンの高性能化によって、インターネットを介した動画配信が無料でかつ手軽にできるようになりました。
動画配信はいわゆる生放送のことで「ライブストリーミング」や「ビデオストリーミング」とも呼ばれています。

2002年頃にもポータルサイトのライコスが「LYCOSマイブロードキャスター」というサービスで、個人の無料動画配信を支援していましたが、コストをまかなえるだけの広告収入がなかったのか終了しています。ぼくは当時このサービスで遊んでたのを覚えています。

このコスト構造の問題はいまも解決したわけではないのですが、投資対象として見れる程度には改善されてきたのか、ここ数年でまた新しいサービスが登場してきています。
日本で有名なのは「Ustream」やニコニコ動画が提供する「ニコニコ生放送」などが挙げられます。最近ではFacebookも「Facebook Live」として同様のサービスを開始しました。
その一方でやはり収益化が難しいのか、ヤフー(US)がUstreamの対抗策として2008年2月に立ち上げた「Yahoo Live」は2008年12月にすでに終了しています。


主な動画配信サービス

国内で利用されている主な動画配信サービスをまとめてみました(もし漏れや間違いがあれば教えてください)。

サービス名 開始時期 メモ
Stickam JAPAN! 2006年9月
Justin.tv 2007年3月
Ustream 2007年3月 ソフトバンクが出資
ニコニコ生放送 2007年12月 ニコニコ動画が提供
Facebook Live 2010年8月 Facebookが提供

動画配信とマーケティング

さて、無料で配信できるとはいえ、動画配信はマーケティングに使えるのでしょうか。最近はPR目的で記者会見等イベントをこうしたサービスを使って生中継する企業もちらほらと出てきましたし、ソフトバンクは2010年02月に行なわれた決算説明会をUstreamで配信しました。

よくある誤解

動画配信はリアルタイムであるために盛り上がったときの効果は大きいです。とくにツイッターと連携したサービスが多いため、中継を見ながらツイートが流れるためにどんどん波及する可能性があります。おそらくそうしたセールストークを聞いたことがあるかもしれません。

しかし現実は甘くありません。ただ配信しても数人しか見に来てくれませんし、30分とか1時間といった時間を見続けていただくには相当の努力と工夫が必要です。
考えてみてください。ぼくらはテレビですらつまらないと思ったら簡単にチャンネルを変えてしまうのです。それ以上のコンテンツを提供できますか?

「チャットがあるから大丈夫」というのも簡単に信用してはいけません。そもそも視聴者数が少ないのにチャットが盛り上がるはずもありません。問題はどうやって視聴者数を集めるかであって、どうやって見続けてもらえるだけのコンテンツを提供するかです。それさえ満たせればチャットは盛り上がるに決まっています。
そしてチャットには盛り上がった際にも問題があります。それは多人数が同時に投稿するため、会話が錯綜して収集がつかなくなってしまうことです。

会話の肴になればいい、と考えること自体はまちがってないのですが、それほど簡単ではないことをまずは認識すべきです。

動画配信の活用例

現在、企業がマーケティング目的に動画配信を利用しているパターンは主にイベントの生中継ですが、それ以外のものも含め以下に整理します。

ライブカメラ(垂れ流し)

いちばん簡単なのが設置したパソコンとウェブカメラからずっと配信するものです。いわゆる固定カメラで、テレビの天気予報のコーナーで江ノ島の風景が映るようなものと同じですね。ただし風景は社内のことが多いです。

ただし防犯目的でもあるまいし、誰が見るんだという話ですね。しかも知らない人に監視されてるわけで(じっさいには誰も見てないにせよ)、社員のストレスにも繋がりますので、個人的にはやる価値はないと思います。パソコンも電気代もムダになるだけです。

イベント中継

事例としては大半がイベントの生中継です。
最近はセミナーの配信も増えてきているので、都内で開催されるセミナーを遠隔地に住んでる人が視聴できるので大変ありがたいです。

もっとも有料セミナーを無料で見れてしまうので、賛否両論があるのも事実です。ぼくは野球場で見るかテレビで見るかのちがいと同じだと思っています。野球場でしか味わえない体験があるからこそ有料でも文句が出ないわけで、イベントの運営者がしっかりと会場にいる方に対して付加価値を提供できればなんの問題もありません。

無料セミナーの場合は営業目的なので、ひとりでもたくさんに見てもらうために動画配信すること自体が問題視されることは少ないのですが、それでも参加者の顔が映り込む可能性がある以上、事前に告知することはマナーとして必要です。
これは写真撮影も同じです。誰もが撮影されたがってるわけではないことを、きちんと理解しておきましょう。

こうしたイベントやセミナーの動画配信がマーケティング上、どういった効果が狙えるのかについては、正直難しいでしょうね。PRの効果は多少はあるものの、それは見てもらえた場合の話で、コストをかけてまでやるものかというとまだまだ実験の域を出ません。

これは余談ですが、イレギュラーな使い方としてぼくがやった事例を紹介します。
ブックオフオンラインのリニューアルの際に、カメラ(=ぼくの顔)ではなくデスクトップの映像を配信しながら、リニューアルで追加された機能について解説しました。18時過ぎから2時間くらい、視聴者からの質問にも答えながら配信したのですが、こうした使い方はアリだなと思いました。
ただし見てくださったのは20人くらいでした。事前の告知もなく、直前にツイッターで告知しただけではありますが、そんなものです。

公式番組

もうひとつが継続的に動画配信をするケースです。番組を作る、といったほうがわかりやすいかもしれません。

地方局やCATVと比べて視聴者数が多いわけではないので、よほどの有名企業でもなければこれが新規顧客の獲得に繋がることはないと思います。
ただ、既存顧客向けに情報を届ける手段として、こうしたリアルタイムにやり取りできる生放送の良さは発揮されるはずです。とくに既存顧客に想定視聴者を絞れば、告知手段もメルマガなどを活用できるので、うまくまわる可能性はあります。

ぼくも過去に実験したことがあるのですが、そのときは新規顧客を狙ったために大失敗した経験があります。
2007年12月〜2008年3月に毎週放送の1時間番組として実施したのですが、リアルタイムの閲覧者数は300人程度、チャットルームの人数は50人くらいでした。当時はいまほどツイッターも流行ってませんでしたし、いまならもう少し増えると思います。さらに投資額(約400万円)も安くできると思いますが、目的としていた認知度向上も、また売上増についても手応えはありませんでした。

動画配信の番組制作については、いろいろと経験をしましたのであとでまとめます。

動画配信のトリセツ

動画配信はまだ効果的な使い方が見えていないため、成功事例も失敗事例もほとんどないのが実情です。あえて言うなら「誰にも見てもらえなかった」というのがいちばん多い失敗でしょうか。

とはいえ、ここまでに述べてきたように注意すべきポイントはいくつか明らかになっています。

使用上の注意

動画配信をマーケティング施策に取り入れる場合は、リアルタイム性を活かせるかについてしっかり考えることが最初のポイントです。
記者会見やセミナーの生中継などは最速で公開するという点で、リアルタイム性を有効に使っていると言えます。

また本当に配信する必要があるのかもしっかり考えてください。とくに一方的な配信になる場合は注意が必要です。最速での配信でもない限り、だらだらとカメラの前で30分話すよりも、きちんと10分に編集したものをYouTubeにアップしたほうがはるかに見てもらえます。

コミュニケーションの負荷の総量は基本的に変わりません。編集をしないことであなたの負荷が下がれば、そのぶん相手の負荷が高まっていることを認識しておきましょう。
動画配信に限らず、相手の立場に立って、どのように伝えるのがベストかをいつでも考えるようにしてください。

そしてリアルタイム性を活かすには質疑応答などのインタラクションを取り入れることも有効です。
会場にいる方を優先するのはとくに有料セミナーの場合はやむをえないのでしょうが、できればオンライン上の視聴者からもチャットで質問を受け付けて、きちんと回答したいものです。そのためチャットを見て質問を書き留めるスタッフを用意しておくことをオススメします。

壇上の講演者以外を撮影する場合は、参加者に対して事前の承諾を得る必要があります。当日も映り込む可能性がある席を特定するなどして、会場参加者への配慮を可能な限りしましょう。

さらにこれはぼくの失敗談でもあるのですが、視聴者数を稼ぐためにタレントを出演者(MC)に起用する場合も注意が必要です。タレントを起用した場合はそのファンが集まってしまって、企業が伝えたいメッセージを届けることが難しくなります。そもそも聞く気がないと言ったほうがいいかもしれません。チャットもファンがタレント個人へ向けたメッセージで溢れるため、コミュニケーションが成立しにくい場になってしまいます。
こうした理由からもタレントの起用はあまりオススメできません。

動画配信は過度の緊張と興奮から、やってるほうだけ盛り上がる傾向が強いため、配信者側がどれだけネットの向こうにいる視聴者を冷静に意識できるかがクオリティを左右します。
テレビの生放送を見ていても間延びしてグダグダに感じることはありますよね。プロが作ってもそうなのです。素人であるぼくらがやる場合は詳細なタイムテーブルや台本を用意して、リハーサルを何度かするくらいの慎重さが必要です。

インターネットで番組を作る人のための10のヒント

これはぼくが過去に配信スタッフや出演者を経験して気づいたことです。企業の公式番組を始める際のヒントにしていただければ幸いです。

1.開始時間と曜日を決めておく

リアルタイムで動画配信するときに一番困るのは「誰も見に来てくれない」という視聴者不在の問題です。
そもそも素人がしゃべる番組をわざわざ聞きに来てくれる奇特な人は少ないのですが、それでも努力することはできます。まず最初に決めるべきは開始時間です。そしてそれを守ることです。

人間はルーチン化しているかどうかで心理ハードルが大きく変わってきます。「24時か。あの番組やってるな」と思ってもらえるように、開始時間を決めておきましょう。
できれば放送する曜日も決めたいです。毎日やってもいいですが、生放送はけっこう疲れますし準備も必要なので、週に一度くらいから始めたほうがいいです。ただし金曜日は飲みに行く人が多いので、24時の集合率は低いかもしれません。

そもそも24時開始というのも、できるだけサラリーマンが集まりやすいようにという設定なのですが、曜日別・時間帯別の人の行動、あるいはライバルとなるテレビ番組や他の動画配信の状況を踏まえた上で、見てほしい層にあわせて開始時間を決めるのがいいでしょうね。

とにかく不定期はやめたほうがいいです。「月9」のように月曜夜9時という放送枠を決めてしまうことで、視聴者の生活パターンに組み込んでもらえるようにしましょう。
開始時間の直前にメールで通知する「オンエアお知らせメール」などを用意するのもいいですね。

2.放送枠(放送時間)も決めておく

放送時間も30分、あるいは1時間と決めましょう。だらだら飽きるまでというのは(やってるほうも聞いてるほうも)お互い疲れます。
30分ひとりで話すというのはなにげに大変です。ちょっと話し足りないくらいがちょうどいいです。

30分が長ければ10分でもかまいません。開始時間と同様、これも毎回同じ放送時間にすることが大事です。決まった時間に終わるからこそ、生活パターンに入れてもらえる可能性が高まります。いつ終わるかわからないと、視聴者の予定を変更させることになりますし、結果として「ダラダラ感」が残るのでよくないです。

時間を守るために、簡単な進行表を用意するとか、時計を手元に置いておくのもいいと思います。もちろんカメラの裏側にタイムキーパー役のスタッフを手配できればそれがベストです。

3.その他もいろいろ固定化する

カメラの位置、番組の進行など、固定化できるところはすべて決めておきましょう。
人間というのは「安定」を好みますから、毎回意味もなく画角が変わったり、オープニングトークの長さがバラバラだったりするのはよくないです。ほかにも音量とか、とにかく番組を放送する環境は毎回同じにしておいたほうがいいです。

テレビのバラエティ番組の作り方も参考になります。
たとえば「笑っていいとも!」だと、毎日決まったテレフォンショッキングというトークがあり、曜日ごとに変わるゲームなどのコーナーがあります。あれは進行の固定化と時間の調整がしやすくなるなど、いろんな狙いがあります(いちばん大きいのは視聴者がどこかで気に入ってくれるだろうという「下手な鉄砲」を数撃ってるわけですが)。

また、こういったことを固定化するのは準備の手間やストレスが楽になる効果もあります。

4.話題選びも慎重に

あんまりマニアックな話題はやめといたほうがいいです。もちろんそういう番組もおもしろいと思うのですが、PRが難しいし、視聴者が定着しにくいです。

視聴者はあなたと同じ知識や記憶を持っているわけじゃありません。また前回話したことであっても、今回が初めての視聴の方もいらっしゃるかもしれません。既存顧客、既存ユーザー向けの番組であっても、丁寧かつ慎重に話題を選んでください。

このへんのバランスは難しいのですが、生放送だからこそのメリットもあります。視聴者の反応が見えるわけですし、迷ったら聞いてしまえばいいのです。ひとりで決める必要はありません。視聴者と相談しながら調整していきましょう。

5.音を用意する

番組開始のテーマ曲やジングルと呼ばれる効果音などはできるだけ用意しましょう。とくにテーマ曲はあったほうがいいです。時間は30秒くらいがいいでしょう。

オープニングの曲が流れている間に深呼吸するなどして(その場合、画面はあなたが映ってないことを確認しましょうね)、気持ちを落ち着かせましょう。そういう儀式のような時間はけっこう大事だなとぼくは自分でやってて思いました。

またトークの相づちにもなる効果音はいろんな種類のものを用意しておきましょう。クイズの正解や不正解音などは雰囲気が出るし、盛り上がります。
著作権フリーの曲はインターネットを探せばたくさんあります。「MySpace」や個人のサイトで公開されている方もいらっしゃるし、素材集のCDも売っています。

パソコンのキーボード操作で簡単に音を鳴らすことができるフリーソフトもありますので、これに設定すると操作が簡単になります。

ブラウザ上で効果音を鳴らせるサイトもあります。

6.視聴者が参加できるようにする

チャットやメールなど、視聴者が番組に参加できる仕組みを用意しましょう。できればチャットのほうがリアルタイムなフィードバックを得られるのでいいです。

このリアルタイムな反響を見ながら番組を進行することこそがインターネットを使った動画配信でしかできない番組作りです。

これまでもテレビではテレゴングやFAXを受け付けて番組に反映させてきましたし、ラジオでもFAXやメールで意見を受け付けながらそれを紹介するような番組を放送していますが、動画配信ならもっと即時にもっと柔軟にコメントを反映させることができます。

またこうしたインタラクティブな放送のほうが盛り上がるのも事実です。自分たちの意見が採り上げられるのがわかれば、もっと言いたくなるのが人間の心理ですしね。
視聴者参加型は大前提と考えておきましょう。

7.番組の告知をする

とにかく番組の存在を知ってもらう努力をしましょう。
ブログに書くのもいいでしょうし、さらに放送開始前にツイッターで「10分後から放送します」と投稿するのもいいですね。とくに既存顧客向けの場合はメルマガも告知手段として使えます。

ブログに書く際はできるだけ裏話を書くといいでしょう。視聴者も、さらには視聴者予備軍にとっても興味が沸くように「昨日は時間の都合で話せなかったけど、じつはこういう話もあって……」と番組の内容を紹介しつつ、それを膨らませるといいと思います。

いくら企業の名前があったとしても出演しているのが素人である以上、集客に苦労するのは当然です。(SPAMにならない程度に)あらゆる手段を講じて告知しましょう。ポイントは番組の目的と内容をしっかり伝えること、そして出演者の人間を前面に出すことです。ソーシャルメディアマーケティングは人間性が問われます。動画配信も例外ではありません。

8.アーカイブを用意する

過去の放送も見れるように、アーカイブを用意しておきましょう。
多くの配信サイトでは放送を録画する機能があります。それを使えば簡単にアーカイブ作成ができますが、できるだけちゃんと編集するようにしてください。

運動会や結婚式のビデオを延々見せられるのはつらいですよね。同じことをやらないよう注意しましょう。
できるだけ短く、盛り上がったシーンだけ編集で繋いだビデオを見ていただくのがいちばんいいです。

それからアーカイブで初めて番組を見る人のために、チャットでもらったコメントはなるだけ読み上げるようにしましょう。後から見る人はチャット上でのリアルタイムなやり取りは読めません。コメントを読み上げることで、チャットなしでも意味がわかるようにしておきましょう(編集の際にテロップとして入れてもいいですね)。

9.楽屋話をちゃんとする

ひとりで出演するときはできないのですが、複数人でしゃべる場合は少なくとも1時間くらい前から雑談をしておきましょう。
会話はリズムです。円滑にトークを進めるためにも、番組開始前に出演者同士で会話をし、テンションを高めましょう。

どんなくだらない話でもかまいません。
ウォーミングアップと思って、その日の番組でのトークテーマを探しながら雑談をしましょう。

楽屋で話して盛り上がった内容を番組で話してもかまいません。話のオチを知ってるからこそ導ける展開もあります。プロでないからこそ、トークそのものもしっかり準備することが大切です。

10.燃え尽きる前にやめる

曜日や時間を決めて番組を始めるとだんだん慣れてきますし、放送自体が楽しくなってきます。さらに周囲の感想なども聞こえてくるでしょうし、期待も増えてきます。とてもうれしいことですが、だんだんプレッシャーが強くなるのも事実です。
(もちろんまったく反響がないよりははるかにいいですけどね)

企業が公式番組を作る場合、どうしても視聴者の生活サイクルを考えて夜の放送になることが多いと思いますが、サラリーマンにとって毎週決まった曜日の夜の予定が埋まってしまうことは想像以上にきついと思います。
家庭はもちろん、仕事においてもいろんな調整が発生することになります。体力的にもきつくなるでしょう。

とにかくこういうのは辞め時が難しいのですが、放送が苦痛になる前に最終回にしたほうがいいです。1ヶ月でもいいですし、3ヶ月でもいいです。まだやれると思っても「このまま続けると休みたくなるな」と感じたら、区切りのいいところで最後にしましょう。

引き際は大事です。番組は惜しまれつつ辞めるのがいいですし、一度休んでも(心と身体の)準備ができればシーズン2として再開すればいいのですから。

最後に

ほかにも最近セミナーの動画配信を見ていて感じるのは、休憩時間の使い方です。現地では当然トイレ休憩などをはさまなければならないのですが、その間に音声をオフにして会場風景だけを垂れ流しているケースがほとんどです(それ以外のケースをぼくはまだ見たことがありません)。
すごく間延びした印象を受けますし、急に音量が回復するのでびっくりします。

休憩時間をもっと大事にすべきです。
オンライン上の視聴者を優先して向き合える貴重な時間ですから、運営者が出てきて直前までの講演のおさらいをしたり、視聴者から質問を受け付けましょう。
この時間を有効に使えば、視聴者の満足度は飛躍的にアップするはずです。

ほかにもセミナーなどでスライドの文字が見えない(読めない)ケースも多々ありますので、どうしてもうまく画角に収まらない場合は、事前に資料をウェブ上に公開しておくとか、なんらかの対策を考えたほうがいいですね。

動画配信は難しいので、簡単に始めることはやめておいたほうがいいと思います。とくに公式番組については予算もそうですが、かかわる人間の頭数がそれなりに必要になるため大がかりになってしまうことが避けられません。
経験を積むためにも小さく始めましょう。まずは個人で、その次は単発のイベント中継で。他社が主催している(あるいは個人主催の)セミナー中継の手伝いをするのもいいですね。

じつは上述の「10のヒント」は2007年8月にまとめたものです。あれから3年経ってもたいして状況が変わっていないのが動画配信を取り巻く企業の利用状況です。

ただそろそろ出てきてもおかしくないなと感じています。ブログやツイッターを通じて、企業の「中の人」が注目を集めるようになってきていますし、よりダイレクトに伝えられる動画配信で顧客と深いコミュニケーションが取れ、そしてビジネスとしても成功した事例がそろそろ出てくるかもしれません。

来年にはこの原稿を大幅に加筆修正しなきゃいけないくらい、動画配信が盛り上がるといいですね。

あなたのトリセツを教えてください!

動画配信のマーケティング活用について、どんな使い方があると思いますか? 思いつきでも実践例でもけっこうですので、あなたのアイデアをぜひお聞かせください。

読み込み中…

河野

当メディア編集長。コミュニケーション・デザイナー。企画屋。1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知らせメール」などを考案した。また、はてな社との協業による商品の人力検索サービス等をプロデュース。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役員を務める。2007年から2010年までブックオフオンライン株式会社取締役を務め、サービスの立ち上げ全般のサポートに加え、「オトナ買い」や「デマチメール」などの独自機能を考案した。その後、フリーランスに。2014年から株式会社クラシコムに勤務。現在に至る。「アクティブサポート」や「最愛戦略」の提唱者。個人として「攻城団」と「まんがseek」を企画運営。個人のサイトはsmashmedia

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