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ロマンティックラブの結末は? 夫と妻の温度差を「関係性ステータス」で測ろう

西川敦子・フリーライター
 
 

 夫婦関係に不満な妻の割合はなんと夫の約3倍――。過去の研究からこのような事実が浮かび上がってきました。原因はある問題に対する、夫婦の根本的な“ズレ”にあるよう……。立命館大学総合心理学部教授、宇都宮博さんに夫婦のモヤモヤ解消法について聞きました。

結婚生活に肯定的な夫、満足できない妻

 中高年の既婚女性が集まると、かなりの確率で話題になるテーマがある。「夫への愚痴」だ。「妻を家政婦だと思っている」「自己中心的で困る」「髪を切っても気づいてくれない」など、ネタは尽きないようである。

 宇都宮さんは婚姻経験をもつ60歳以上の男女を対象に調査を続けてきた。結果を分析したところ、夫婦関係に満足していない妻の割合は夫の約3倍にのぼることがわかったという。

 分析のベースとなったのは、宇都宮さんが提唱する六つの「関係性ステータス」。パートナーとの関係性のとらえ方にはいくつかのタイプがあるとし、以下のとおり分類した。

①人格的関係性型:配偶者と深くわかりあえていると思う。唯一無二の出会いだ

②献身的関係性型:めぐりあったのは間違いじゃないはず……。配偶者と心の底からわかりあいたい、あきらめたくない

③妥協的関係性型:配偶者とわかりあいたいと思っていた。でも今は期待していないし、もうこのままでよい

④拡散的関係性型:かつてはわかりあいたいと思い、努力していた。しかしもう傷つきたくない。どうしてこの人と出会ってしまったのだろうか。別れたい、人生をやり直したい

⑤表面的関係性型:なぜ配偶者と一緒にいるのかなんて考えたことはない。とにかく満足している。それ以上言うことはない

⑥独立的関係性型:なぜこの人と一緒にいるのかなんて考えるのは無意味。生きていくうえで必要な人。愛している、愛していないなんて私には関係のないこと

 女性では①人格的関係性型と⑤表面的関係性型の合計は、半数超。一方、夫婦生活に満足していない②献身的関係性型、③妥協的関係性型、④拡散的関係性型の合計は3割超を占めており、その割合は男性の3倍だ。

 これに対し、男性は①人格的関係性型、⑤表面的関係性型がそれぞれ約4割となった。理由はともあれ、肯定的に結婚生活をとらえている人が多いようだ。

 「夫が①人格的関係性型の場合は、妻も同じく①人格的関係性型の確率が高いことがわかりました。この組み合わせでは互いに相手の人格を肯定的にとらえ、問題が起きたときも一緒に乗り越えていく関係が育まれるようです」と宇都宮さん。

 問題は夫が⑤表面的関係性型のケース。妻が②献身的関係性型、③妥協的関係性型、④拡散的関係性型のいずれかの場合、多くの夫がこのタイプという。

 たとえ夫が「大丈夫、うちはうまくいっている」と思っていても、妻のほうは不満や不信感、葛藤を抱いている可能性がある、と宇都宮さん。

 「子育て期間中に妻の負担感が大きくなり、溝が深まってしまうことが多いようですね。夫に期待するのをあきらめ、子どもや友人と楽しく過ごすことで充足できればいいですが、うまくいかない場合は心身の不調を訴える方もいます」

 そうなれば…

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フリーライター

にしかわ・あつこ 1967年生まれ。鎌倉市出身。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクションなどを経て、2001年から執筆活動。雑誌、ウエブ媒体などで、働き方や人事・組織の問題、経営学などをテーマに取材を続ける。著書に「ワーキングうつ」「みんなでひとり暮らし 大人のためのシェアハウス案内」(ダイヤモンド社)など。