6月ぐらいから全身の骨が痛み出しました。当初は一般の痛み止めで何とかなったのですが、主治医に相談したところ早めに緩和ケアを受けた方が良いと勧められました。
医療用麻薬で生活の質改善
緩和ケアの医師はいろいろな医療用の麻薬(オピオイドといいます)を勧めてくれました。そして一番適切であろうという薬を選んで処方していただきました。服用して2日目に少し幻覚のようなものを覚えて自分がどこにいるのか、今何時なのかがよくわからなくなりましたが、それ以降はそのような副作用はなく痛みもなくなり、順調に過ごしています。
緩和ケアはがんなどの命に関わる病の治療がもうできなくなったときに始めるものだと思っていましたが、がんの治療中に痛みやだるさなどが出た場合はその時から緩和ケアを始めた方が生活の質を高める面で有効だということです。
つまりがんの治療と緩和ケアを並行して行うことが今は一般的です。痛みなどを我慢してがんの治療を続けても、食欲や体力が落ちて、免疫力も下がります。緩和ケアを受けて痛みが取れれば食欲や気力が上がる可能性があるでしょう。そうすればがんの治療にも良い影響があるはずです。
残念ながら、緩和ケアをするのは「もう最後」…
この記事は有料記事です。
残り921文字(全文1432文字)
大阪大学招へい教授
いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。