勃起不全(ED)治療薬「バイアグラ」が認知症に効果があるかもしれない――。そんな研究成果を米国の研究チームが発表しました。「バイアグラ」と「認知症」という意外な組み合わせが生まれた意味と、成果をどのように見るべきか、石蔵文信・大阪大招へい教授が解説します。
「勃起不全治療薬」となった背景
日本では1999年に発売され、さまざまな話題を提供してきた勃起不全治療薬の「バイアグラ」。今度は、認知症にも効果があるのではないかという報告がありました。
以前にも、バイアグラについての裏話をご紹介しました。バイアグラは、もともと心血管系の薬として開発されましたが、有効な結果が出なかったため、失敗かと思われました。しかし、多くの男性が勃起に効果があったため、薬の回収を渋り、「勃起不全治療薬」としての開発につながったそうです。
今では数種類の勃起不全のための改善薬が出ていますが、やはり最初に発売されたバイアグラがあまりにも有名なので、皆さんの頭の中に残っていると思います。
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大阪大学招へい教授
いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。