51歳の会社員、健さん(仮名)は3カ月前から、カバンや物を持ち上げたときに、右肘に強い痛みを感じるようになった。コップを持ち上げたりドアノブをひねったり、タオルを絞ったりするだけでも右肘に激痛が走る。できるだけ左手で物を持つようにしていたが、利き手の右手が使えないのは不便なので整形外科を受診したところ、「いわゆる『テニス肘』と呼ばれる肘の外側の炎症」と診断された。「テニスもしないのに、テニス肘になるなんて驚きました」と語る。
手指の動きを支える腱の劣化で炎症が発生
「テニス肘は40~50代で発症する人が多く、専門的には上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)と呼ばれます。手首を伸ばす働きをする短撓側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)などの伸筋群が集まる腱(けん)の付着部である上腕外側上顆と呼ばれる部分に炎症が起こるために強い痛みが生じるのです。原因はわかっていませんが、手指の動きを支える筋肉や腱が長年酷使されたことで劣化し、炎症を起こすのではないかと考えられます」
慶応義塾大学病院整形外科准教授の岩本卓士さんは、そう説明する。「更年期女性に多い手根管症候群 高齢での発症は心不全との関連性も浮上」で取り上げたように手の病気は男性より女性に多いが、テニス肘に関してはなぜか、患者は男性が多い傾向があるという。
また、テニス愛好家に多いことからテニス肘という通称がついているが、ゴルフでなる人もおり、健さんのようにテニスをしない人が発症することも少なくない。
「ラケットを使う競技をする人だけではなく、運送業や料理人、デスクワ…
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