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お金の3大要素を知れば、お金の本質は完璧! ~「為替」&「物価」編~

お金の3大要素を知れば、お金の本質は完璧! ~「為替」&「物価」編~

こんにちは、マクロエコノミストの崔真淑(さいますみ)です。前回は、お金の値段を決める要素が3つあること、世の経営者や成功者にインタビューをすると、必ずといっていいほどその3つを意識していることをお伝えしましたよね。「金利」「為替」「物価」の3大要素です! そして、最初の一つ「金利」は、そのお金を保有するための「レンタル料」であることも書きました。

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 今回は、残りの2つ「為替」と「物価」について迫っていきます。新聞などに書いてある経済やお金に関する話は、ほとんどが3大要素に集約できます。この3つを知れば、もうあなたもお金の専門家といえるかも!?

金利が動くと為替も動く

 前回、金利は「お金の時間価値」を示すと記しました。この金利を、その国の中央銀行(日本ならば日本銀行)が操作することで、その国の景気を刺激することも書いています。

 でも、中央銀行が金利を操作して動くのは、金利だけには留まりません。実は、為替にも影響を及ぼします。つまり、金利と為替は別々のものでなく、深くつながっており、共にお金の価格に影響を及ぼすのです。

3大要素のひとつ「為替」とは?

 「為替」とは、その国のお金を、他国のお金で評価したときの価格を示すものです。例えば、$1を購入するのに¥100かかる場合、$1に対する日本のお金である「¥」の為替レートは¥100。逆に¥1に対するアメリカのお金である「$」の為替レートは$0.01になります。

 この水準から、「$」に対して「¥」の為替レートが$1=¥95になったら、これは「¥」の価値が上がったことになります。円高に振れた、ということですね。$1を買うのに必要な「¥」が減ったからです。

 日本の為替レートが上昇した場合(円高)、外国の方にとっては日本の商品は割高に見えますよね。例えば、100万円でアメリカに輸出した車があったとします。$1=¥100なら、アメリカの人は1万ドルで購入することになります。$1=¥95ならば、1.05万ドルと約5%割高に購入することになります(もちろん、世界はこんなに単純ではないですよ)。

 こんな状況が続くと、日本車を海外の人が買う機会が減るかもしれません。そして巡り巡って日本経済にマイナスになるかもしれません。逆にこれが円安になれば、日本経済にプラスかもしれません。

 もちろん、日本は輸入もしているので、円安となれば海外製品を割高に購入することになるかもしれません。一概に円高だから日本経済にマイナス、円安だからプラスとは言い切れないところはありますが、為替がその国の経済に影響を与えるイメージは抱いていただけたかと思います。

為替は何で決まるのか?

為替は金利に大きく影響を受けて変化するということを冒頭で書きました。では、どのように影響するのでしょうか?
これを読んでいる方の中には、外貨預金やFXトレードを既に行っている人も少なくないでしょう。そんな玄人の方々には、釈迦に説法の話かもしれません。しかし、必ずしも金利と為替が思惑通りにいかず、イライラした経験をお持ちの方もいると思います。

 基本的には、ある国の中央銀行が金利を引き上げようとすると、他国にとってその国のお金の価値は上昇します。つまり、日本ならば日本銀行が金利を引き上げようとすると、円高に振れやすくなるわけです。だって、金利を沢山くれるようなお金を保有しておきたいって思いますよね。

 と、一般的には言われていますが……。経済学者が開発した理論「カバーなし金利平価」の視点から考えると、全く逆のことが起きます。つまり金利が引き上げられると、円安に振れてしまうということです。

 さて、どちらが正しいのでしょうか?

 実はどちらも正しいのです。過去の為替に関する論文を読み解くと、前述した一般常識的な考えのほうがマッチしやすい為替レートを形成するような時代もあれば、後述した「カバーなし金利平価」のほうがマッチしやすい時代もあるのです。

 金利によって為替は動きます。しかし、為替がどのように動くかは、時代や経済環境によって大きく違うのです。つまり為替予測は、非常に難しいんですね。だからこそ、FXなどで短期的な為替変動だけで儲けようとしても、ほとんどの人は続かないわけです。

 できれば、為替との付き合い方については、自分の勤めている会社が「円高と円安のどちらの方に影響を受けやすいか」といったビジネスの現場を考えるために使っていただけたらと思います。または、短期的な変動に左右されない外貨預金などの資産形成をするときに考えてみることをおすすめします。

3大要素のラスト、「物価」とは?

 では、お金の3大要素のうち最後の「物価」とはなんでしょうか? これは、ちょっと複雑です。何か一つの品物の価格を示しているわけではありません。その国の品物の平均的な価格の動向を示した指標です。
 
 PCが値上がりしていても、ヨーグルトは値下がりしているかもしれません。でも、そういう品物の価格の動向について、総合的で平均的な動きを示すのが物価なんですね。物価が上昇する(=インフレーション)となれば、平均的に品物の値段が上がります。

 例えば、パンしかない世界があるとします。¥100でパン2個を購入できていたのに、¥100でパン1個しか買えなくなるとします。

 これは、物の値段が上がっているので、インフレーションです。また、同時にこれは、その国のお金で購買可能なものが減ったことを示すので、お金の価格が下落したことを意味しています。

 今までの日本は、インフレーションとは逆のデフレーションで、物価が下がり続けていました。しかし、アベノミクスでインフレーションを起こそうと必死です。そして、物価は金利や為替に大きく影響を受けます。

そのため、アベノミクスでは金利や為替をコントロールしようとしてもがいています。もしもインフレに導くことができたら、日本円だけで資産を保有するというのは、保有している資産の目減りを意味します。何もしなくても資産が減ってしまうことになるのです。

 以上、前回と今回に分けて、「金利」「為替」「物価」のお話をしてきました。ここまで読んでくださった皆さまには、いかに日本円だけで資産を形成するのが危ういことか、感じていただけたと思います。ぜひ、これを機に、「金利」「為替」「物価」の3大要素をウォッチしてみてください!

最後に一言!

お金だけですべてが買えるわけでもないし、お金で愛を買えないのも事実です。でもね……お金を使って愛を育てることはできるし、家庭内平和を守ることもできると思うんです。だからこそ、お金の知識はずっと学び続けていきましょ~! 私もがんばります!

マクロエコノミスト。Good News and Companies代表。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。化粧品会社エイボン・プロダクツ社外取締役。1983年生まれ。神戸大学経済学部、一橋大学大学院(ICS)卒業。大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)では株式アナリストとして活動し、最年少女性アナリストとして株式解説者に抜擢される。2012年に独立。経済学を軸にニュース・資本市場解説をメディアや大学等で行う。若年層の経済・金融リテラシー向上をミッションに掲げる。 

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