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Evernoteをもう一度ゼロから始めよう

お正月は以前から準備をしていた作業として、Evernoteに保存されているノートをすべて削除・移行して、ゼロからスタートするという作業をしていました。

Evernoteは非常に便利なメモツールであり、ファイルの置き場であり、作業環境ですが、時間がたつほどにデータのノイズが多くなりすぎて利用しづらくなるという難点があります。

あまりに情報をキャプチャーしやすいのでノートをどんどん増やすのですが、「いつまでも保存したいもの」「一瞬だけ覚えておけばいいもの」「保存したときには重要だと感じたものの、時間とともに意味がなくなったもの」が同時に検索にひっかかってしまうとともに、現在利用しているノートと利用するつもりのないものが混ざってしまうのです。

イメージとしては、5年分のファイルが散らばっているデスクトップを想像していただければよいかと思います。ある程度の整理整頓はできるのですが、やはりしだいにデータの自重につぶされていってしまいます。

そこで今回とった荒療治が 「アカウントを2つ用意して、作業用とアーカイブ用に情報の流れを分ける」 というものです。どのようなイメージなのかの説明と、作業の流れをご紹介しますので、Evernoteが最近使いにくいなと思っている人はぜひ検討してみてください。

作業アカウントとアーカイブアカウントに分ける

やっていることはいたって簡単です。異なるメールアドレスでEvernoteアカウントを取得して、メインのアカウントに対するアーカイブ用のアカウントに位置づけます。

このアカウントは、ノートを移行するために一時的に大量のデータをアップロードする必要がありますので、せめて数カ月はプレミアムアカウントにしてアップロード容量を10GBにしておきましょう。わたしは大した出費ではないので、両方ともにプレミアムで運用しています。

最終的には、二つのアカウントをこのような形にもっていきます。さまざまなデータが蓄積してしまったメインアカウントを簡単な、単一ノートブックだけで柔軟に運用している「軽い」アカウントにします。

そしてアーカイブ用のアカウントは図書館でいうなら書庫です。より長期間ノートを保存するために、大分類に従ってノートブック・スタックを作成し、固定化した整理をおこなっていきます。

メインアカウントからアーカイブアカウントへは、定期的にノートを移動します。基本的には「必要のないものをざっと消してから、全部移動」という作業になります。半年に一回、名刺を整理して「名刺2019」といったノートブックに降り積もらせるというイメージで考えてください。

実際にノートを移動させていく作業

アーカイブアカウント側に最低限のノートブックの構造を作ったら、Evernoteの基本機能である「ノートの移動」を利用するだけで移行は可能です。ノートの作成日、タグなどもそのまま移行できます。

たとえば移行先にこのようにスタックを作っておき:

ノートを複数選択して「移動」を選びます。Evernoteに複数アカウントが接続されていれば、アカウントをまたいだ移動は同期させるだけで完了です。

Evernoteで管理しない添付ファイルをとりだす

一時期、わたしはブログ用のストックフォトをEvernoteで管理していたため、300枚近いファイルがそれぞれノートになって蓄積していましたが、いまはそれをiCloudで管理していますので、Evernoteから取り出したいと思いました。

こうした場合は、複数のノートを選択してから「添付ファイルを保存」で添付ファイルをすべて特定のフォルダに保存できます。

このような感じでどんどんとノートを移動していきます。数千から数万のノートがある場合、同期に時間がかかりますし、なかにはノートの形式によって移行ができずに残ってしまうものもあります。そうしたノートは手動でもう一度移行していきます。

生まれ変わったEvernoteアカウントからフレッシュにスタートを

この作業のボトルネックはアップロード容量の限界です。ノート数が多い人は何十GBものデータが存在する場合もありますので、作業を数ヶ月にわけて行う必要がある場合もあります。私は今回、12月と1月のクオータをほぼ使い切る形で二つ目のアカウントにデータを移行しました。

そうしてできたのがこのEvernoteのメインアカウントです。ノートブックも、ノートも、タグも一つも存在しない、完全にゼロから始めるEvernoteアカウントです。この開放感たるや!

すぐに、いつも利用するノートブックは作成して、それからいま行っている知的蓄積のノートブックも柔軟に作っておきます。ウェブクリップ用のノートブックも作成して、あとは使うがままに増やしていく予定です。

プレミアムアカウントを二つも使うのは豪勢ですが、Evernoteが最近使いにくい、どうも見ていて苦痛だという人にとっては、新鮮な風に向かって窓を開け放したような気持ちよさがあるかもしれません。Evernoteって、こんなに軽くて、使いやすかったのかと再発見できるはずです。

さて、これまではEvernoteの発展にともなってブログを書いていましたので、今回はいまの機能での再スタートです。新しい目でみた発見も、今後紹介できればと思います。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。