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「読書時間」を作らずに本を読む

books.jpg How To Automatically Read A Book Per Week Without Taking Any Additional Time Out Of Your Day

本はいいものです。上手に書かれた本を読むとき、私たちは時間も場所も飛び越えて、他人の経験と美学の中にとけ込んで、本当の意味で自由になれるのだなと思います。

良い本が書かれるのにかかる時間に比べたら、それを読む時間など一瞬のことなのですが、それでも読書には時間がかかると思われがちです。事実、読まなくてはいけない本が多い割に、読書に充てることができる時間はますます少なくなっているようです。

Lifehack.org で「読書時間を作らなくても自動的に本を読む方法」という記事が載っていましたので、本好きな私としては身を乗り出して読んでみました。この記事と、自分が実践している方法の2つについて簡単にまとめました。

オーディオブックを使う

Lifehack.org の記事は前置きが長い割に結論はシンプルで、ようするに「オーディオブックを聞けばいい」というものです。通勤時間は平均で1日1時間から2時間だといわれていますが、それをオーディオブックにあてれば、電車のなかでも、車のなかでも、歩いているときでも本を「読む」ことができるというのです。

本というわけではありませんが、私も Podcast についてはランニングをしているときにきくようにしています。Macbreak weekly などは楽しいのですが雑談の多い1時間ほどの番組ですので、ランニングをしている間に聞くのに最適なのです。

でもオーディオブックにはいくつか難点があります。一つは、英語と違って日本語では漢字の感触というか、目に映る言葉のイメージが割合大事なので、オーディオブックで夏目漱石の「それから」をきいてもなんだか本を読むのとでは印象がずいぶん違うという点。二つめは、オーディオブックは非常に高いという点です。

そんなわけで普段から自分が行っている2番目の方法を紹介します。

時間を盗む読書法

読書というと、仕事を片付けて、落ち着いた雰囲気で一日の終わりに行うようなイメージがあります。そういう読書も好きなのですが、ビジネス書などのように、1) 書かれている情報が明快で誤解のしようがなく、2) 速読に向いている、そんな本については、あらゆる瞬間に一瞬だけ読んでも内容が失われることはあまりありません。

  • 信号待ち: 車を運転していて信号を待っているときには、安全のためにパーキングにいれてエンジンも切ってから、信号が変わるまでの2分の間に2ページほどを吸収します。慣れてくると、次の赤信号に当たるまで次のページの内容を想像してみたり、さっき読んだページを反芻してみたりと、非常に濃密な勉強ができたりします。読み上げるだけの語学練習なども、この方法に向いてます。

  • 列に並んでいるとき: 銀行やレジなどで長い行列にあたったときも、瞬時に本を取り出せば2,3ページを吸収してしまうことができます。待ち時間が長くてイライラするくらいなら、「さっきのあの気になるページ」をもう一度読んでみると一瞬で時間は過ぎ去ります。

  • エレベータ: ボタンを押してからの待ち時間と、そして目的の階に着くまでの時間。これも案外長いものです。この一瞬に本を取り出して読んでみると、さらに2,3ページは読み進めることができます。

  • お風呂: これが一番はかどります。本がふやけないようにフタの上に本を持ってきて読むのと、半身浴で読むのと。毎日ここで一番ページをかせぎます。

  • トイレ: 何を馬鹿なことをと言われそうですが、トイレに座っている一瞬でも2,3ページの読書は可能です。偶然だとは思いますが私の場合トイレで読み終わる本が多くて、なんだか読後感がすっきりというのか、何というのか。

読書というと長い時間を投入しないといけない気がしますが、本によっては短い時間でも十分にクオリティの高い読書ができるという点を活かして、こうした一瞬一瞬をつかんで読み進めることが可能です。

ホラー作家のスティーフン・キングは、On Writing の中で同じようなオーディオブックと一瞬の時間を使った読書法の両方について触れて、

The trick is to teach yourself to read in small sips as well as in long swallows

コツは小さい一口と、がぶ飲みの両方ができるように自分を訓練することだ という風に言い表しています。自分のイメージしていたものと近いです。

もちろん、こうした一瞬の読書だと小説などはなかなか共感できないので、それには別の「読書時間」を作っています。

ただ、注意すべきはトイレへの本の置き忘れですね…。「これ、mehori さんのでしょ?」と人に見つけてもらったことが何度もありますが、あれは本当に恥ずかしいです。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。