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レビュー

実質2万円以下の最新フリップスマホ「nubia Flip 2」を試した!

ZTEのブランド、nubia(ヌビア)から登場した「nubia Flip 2」は、大画面のスマホをコンパクトに持ち歩ける、フリップ型のスマートフォン”フリップフォン”です。折りたたみのスマートフォンは高価なイメージですが、ワイモバイルの販売価格は、他社からのMNPまたは新規契約と「新トクするサポート」の適用を条件に、実質負担額が19,680円とお手ごろです(価格は2025年2月下旬時点)。折りたたみモデルの中では比較的、手が届きやすい一台と言えるでしょう。

ZTE「nubia Flip 2」、85,680円(直販価格。税込)、発売日2025年1月23日。SIMフリー版も登場する予定です

ZTE「nubia Flip 2」、85,680円(直販価格。税込)、発売日2025年1月23日。SIMフリー版も登場する予定です

2世代目のお手ごろフリップフォン

「nubia Flip 2」は、ワイモバイルから発売されていた「Libero Flip」(オープンマーケット向けは「nubia Flip 5G」)の後継機種。Liberoはソフトバンクやワイモバイルで展開されてきたブランド名ですが、今回からグローバル&オープンマーケットと同じnubiaに統一されました。

約3.0インチの縦型サブディスプレイで、閉じたままアプリが使えます

約3.0インチの縦型サブディスプレイで、閉じたままアプリが使えます

開くと約6.9インチの大画面が利用可能

開くと約6.9インチの大画面が利用可能

生体認証は顔認証、指紋認証の両方に対応。電源ボタンが指紋認証センサーを内蔵しているので、指紋ごとに一発起動するアプリを設定できるようになっています。ただし、指紋によるアプリの起動は、メインディスプレイでのみ有効なようです。音量キーの2度押しにもアプリを割り当てられるのですが、こちらはサブディスプレイでも活用できます。

本体右側面に指紋センサーを兼ねた電源ボタン(右)と音量キー(左)を配置

本体右側面に指紋センサーを兼ねた電源ボタン(右)と音量キー(左)を配置

左側にnanoSIMカードスロットが配置されています

左側にnanoSIMカードスロットが配置されています

上下(横位置で左右)にステレオスピーカーが搭載されています

上下(横位置で左右)にステレオスピーカーが搭載されています

傷に強いディスプレイや耐衝撃性能を備えた丈夫なボディ

折りたたみスマートフォンにおいて、やはり気になるのがボディの耐久性です。ZTEジャパンによれば、「nubia Flip 2」のメインディスプレイは傷への耐性が前モデル比の2倍、落下時の耐衝撃性は3倍に強化されているとのこと。ヒンジは約30万回の開閉試験をクリアし、毎日100回ほど開閉しても10年は壊れないと自信を見せています。

実際にヒンジはかなりしっかりとしていて、開閉もスムーズ。手で150度くらいまで開くと、あとは自動的にパカッとまっすぐになり、閉じる際は20〜15度くらいまで折ると、パタンと隙間なく閉じるようになっています。長期使用については何とも言えませんが、少なくても数週間試した範囲ではガタつきなど一切なく、不安に感じさせる要素は見られません。ただし、防水性能はIPX2、防塵性能はIP4Xなので、水回りや砂埃の多い場所ではちょっと注意が必要です。

フレームにはアルミ合金を採用。ヒンジ部にはnubiaのロゴがプリントされています

フレームにはアルミ合金を採用。ヒンジ部にはnubiaのロゴがプリントされています

サブディスプレイでアプリが使える

前モデルはサブディスプレイが丸型で、表示できる情報も時計や天気などに限られていました。しかし、「nubia Flip 2」では縦型かつ、約3.0インチと大きくなり、メインディスプレイを開くことなく、いろいろなアプリが使えるようになっています。サイズは閉じた状態が約76(幅)×87(高さ)×15.8(厚さ)mm、開いた状態が約76(幅)×170(高さ)×7.5(厚さ)mmで、重量は約191g。カラーは写真のライトブルーのほか、ブラック、ホワイトの3色から選べます。メインディスプレイは約6.9インチ、フルHD+(2790×1188)の有機ELで、リフレッシュレートは最大120Hzをサポートしています。

輝度最大で、夕方の太陽光下でのディスプレイの見え方を試しました。サブディスプレイは少し暗めです

輝度最大で、夕方の太陽光下でのディスプレイの見え方を試しました。サブディスプレイは少し暗めです

前モデルに比べて25%フラットになった折り目。ディスプレイが点灯している状態では、あまり気になりません

前モデルに比べて25%フラットになった折り目。ディスプレイが点灯している状態では、あまり気になりません

「nubia Flip 2」の最大の特徴は、やはり約3.0インチのサブディスプレイです。「Galaxy Z Flip6」「motorola razr50」など、最近のフリップ型のスマホでは、サブディスプレイの大画面化と高機能化がトレンドですが、「nubia Flip 2」もその流れに沿っており、メインディスプレイを開かずに、サブディスプレイでもいろいろな操作が行えます。特に「nubia Flip 2」のサブディスプレイは、縦型(682×422)なので、使い勝手はメインディスプレイに近いように感じました。

ただ、どのアプリでも使えるわけではなく、デフォルトで設定されているもの以外は、正しく表示されない……かもしれない、「体験アプリ」と位置づけられています。ワイモバイル販売端末では、デフォルトアプリにソフトバンクの「あんしんフィルター」や「PayPay」も含まれていて、サブディスプレイでQRコード決済が使いやすくなっています。スマホを開かずにサクッとPayPayで決済ができるのは、実にスマートです。

サブディスプレイで使用するアプリは、「設定」→「サブディスプレイ」から登録が必要です。「体験アプリ」となっているものは、正しく表示されない、操作できない可能性があります

サブディスプレイで使用するアプリは、「設定」→「サブディスプレイ」から登録が必要です。「体験アプリ」となっているものは、正しく表示されない、操作できない可能性があります

メインディスプレイを開かなくても、サクッと決済用バーコードを表示できます。音量キー2度押しで決済アプリが起動するように、設定することも可能です

メインディスプレイを開かなくても、サクッと決済用バーコードを表示できます。音量キー2度押しで決済アプリが起動するように、設定することも可能です

このほかサブディスプレイで使って便利だと感じたのが、レコーダーや電卓。通話アプリでは、通話の内容を簡単に録音できるようになっていて、これがサブディスプレイでも操作できます。通話の録音は通話アプリだけでなく、「LINE」や「Messenger」アプリでの音声通話でも可能。録音時に相手に録音開始のアナウンスを流すかどうかも簡単にオン、オフの切り替えができます。

現状ではただ通話を録音するだけですが、2024年3月以降のアップデートでAI文字起こし&通訳機能も利用できるようになるとのこと。通訳の言語は11言語をサポート。通訳はリアルでの対面時にも使用でき、その際は相手向けの翻訳をサブディスプレイに、自分宛の翻訳をメインディスプレイに表示できます。

サブディスプレイからも通話の録音操作ができます。録音は「LINE」や「Messenger」の通話でもできます

サブディスプレイからも通話の録音操作ができます。録音は「LINE」や「Messenger」の通話でもできます

サブディスプレイは「Googleマップ」や、「YouTube」の動画再生などでも活用できます。「Googleマップ」はメインディスプレイを開く手間なく、ナビをチラ見しつつ行動できるのが便利。「YouTube」はサブディスプレイを横にして全画面表示にすると、小さいながらも画面をフルに使って動画が再生できます。ただし、やはりまだ体験アプリなので、うまくできない操作が一部ありました。

動画再生時はサブディスプレイを横にしてフル画面表示すると、比較的見やすいサイズになります

動画再生時はサブディスプレイを横にしてフル画面表示すると、比較的見やすいサイズになります

折りたためば片手操作可能なサイズ感なので、ナビなどを表示してチラ見するのにもちょうどよいです

折りたためば片手操作可能なサイズ感なので、ナビなどを表示してチラ見するのにもちょうどよいです

動画を再生していて気づきましたが、音量キーはサブディスプレイでも、メインディスプレイを開いた状態でも、同じように上がアップ、下がダウンになっていました。サブディスプレイで見ていた動画は、スマホを開くことでメインディスプレイへと引き継がれるのですが、その際にボリュームのアップダウンの方向も入れ替わるようです。細かいところですが、よく考えられていると思いました。

ミドルレンジとして十分快適

CPUにはMediaTekの「Dimensity D7300X」を採用し、ストレージは128GB、メモリーは6GB。「AnTuTuベンチマーク(バージョン10.x)」の総合スコアは約60万で、ミドルレンジ向けのチップセット相当ですが、操作時に特にストレスを感じるようなところはなく、快適に動作します。ほか、主なベンチマークテストの結果は以下のとおりです。

「AnTuTu ベンチマーク(バージョン10.X)」の結果。総合スコアは609631(CPU:189562、GPU:143360、MEM:121215、UX:155494)で、ミドルレンジ相応のスコアです

「AnTuTu ベンチマーク(バージョン10.X)」の結果。総合スコアは609631(CPU:189562、GPU:143360、MEM:121215、UX:155494)で、ミドルレンジ相応のスコアです

描画性能専用のベンチマークアプリ「3DMark(Wild Life)」のスコアは3187でした

描画性能専用のベンチマークアプリ「3DMark(Wild Life)」のスコアは3187でした

「PCMark Work3.0」のスコアは13174。こちらもミドルクラス相応です

「PCMark Work3.0」のスコアは13174。こちらもミドルクラス相応です

Geekbenchのスコア。左の画面がCPUで Single-Coreは1007、Multi-Coreが2933という結果でした。なお、右の画面はGPUの結果でスコアは2490

Geekbenchのスコア。左の画面がCPUで Single-Coreは1007、Multi-Coreが2933という結果でした。なお、右の画面はGPUの結果でスコアは2490

折りたたみ構造のためバッテリーの容量が少なめ

本機が搭載するバッテリーは4300mAh。折りたたみボディなので仕方のないところですが、同じ6.9インチクラスのストレートスマホに比べると、やや容量不足で物足りない感じです。

実際に輝度50%でリフレッシュレートは自動、通信すべてオンの状態で実施した、PC MARKのバッテリーベンチマークは100%→20%まで、9時間34分という結果でした。体感の印象ですが毎日充電したほうが安心でしょう。いっぽうで33Wの急速充電にも対応しており、約30分の充電で20%→80%まで充電できました。バッテリーの消費も早いですが、充電も早いので、こまめに充電する使い方がよさそうです。

現状はワイモバイル専売だが他社のSIMでも5Gが使える

通信機能に迫ります。nanoSIMに加えてeSIMも利用可能で、5Gの対応バンドはn1、n3、n28、n77、n78。ワイモバイルでは使いませんがKDDIやNTTドコモが運用しているn78に対応しています。もちろん、SIMロックはかかっていませんので、他社のSIMとの相性も悪いほうではありません。なお、Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.4をサポートしています。

実質的にシングルカメラだが、エフェクトが楽しい

サブディスプレイの横には、約5000万画素のメインカメラと、撮影は行わない約200万画素の被写界深度カメラの、2つのカメラが搭載されています。約3200万画素のインカメラもありますが、より高画質なメインカメラを使ってセルフィーが撮れるのも、外側にディスプレイのあるフリップフォンならではのメリットです。

カメラは約5000万画素のメイン(下)と被写界深度カメラの2つ。いちばん上の円はフラッシュライトになっています

カメラは約5000万画素のメイン(下)と被写界深度カメラの2つ。いちばん上の円はフラッシュライトになっています

三脚などがなくても、L型や∧型に固定してサブディスプレイを見ながら撮影できます

三脚などがなくても、L型や∧型に固定してサブディスプレイを見ながら撮影できます

置いた場所から少し離れて撮る場合は、手のひらをかざすことでシャッターが切れる、ジェスチャー撮影が便利に使えます

置いた場所から少し離れて撮る場合は、手のひらをかざすことでシャッターが切れる、ジェスチャー撮影が便利に使えます

L字型にしてハンディカメラのように構えて撮影ができます。手ブレ補正も備わっていますが、こちらのほうが安定した姿勢で撮影が可能。動画は4K 30FPSまでサポートされています

L字型にしてハンディカメラのように構えて撮影ができます。手ブレ補正も備わっていますが、こちらのほうが安定した姿勢で撮影が可能。動画は4K 30FPSまでサポートされています

写真の画角は1倍と2倍ズームを切り替えることができますが、10倍のデジタルズームも対応。切り替えられる撮影モードには、フォト、ビデオのほか、マニュアル撮影が可能なプロショット、夜景、ポートレートがあり、ほかに、スローモーションやタイムラプス、パノラマ、フルサイズ(高画質)などが用意されています。

作例ではフォトモードで、ズームや料理のほか、夜景モード、ポートレートモード、フルサイズなどを試しました。被写界深度カメラを搭載しているだけあり、ポートレートモードでは背景がきれいにぼけます。ただ、全体でいえば、カメラはやや凡庸という印象。たとえば夜景モードでは明るく撮れるものの、白飛びなどもあります。

広角カメラを使用しました。ハイライトになる明るい空部分が白飛びを起こし始めています

広角カメラを使用しました。ハイライトになる明るい空部分が白飛びを起こし始めています

同じ構図を2倍の望遠で撮影しました。デジタルズームですが画質は保たれています

同じ構図を2倍の望遠で撮影しました。デジタルズームですが画質は保たれています

渋谷の夜景を撮影しました。ハイライト部分が白飛びを起こし気味で、それにつられて、もやのかかったようなフレアが現れています

渋谷の夜景を撮影しました。ハイライト部分が白飛びを起こし気味で、それにつられて、もやのかかったようなフレアが現れています

ポートレートモードで花を撮影しました。背景のぼけは大きく、輪郭の検出も自然です

ポートレートモードで花を撮影しました。背景のぼけは大きく、輪郭の検出も自然です

料理を撮影。SNS映えより目で見た印象に近い画質を追求しているようです

料理を撮影。SNS映えより目で見た印象に近い画質を追求しているようです

いっぽうでユニークなのは、ゴッホ、ピカソ、モネなど人気画家の絵のタッチで写真を加工できる「アートモード」など、写真加工を楽しめるエフェクト機能が充実していること。あとからフィルター加工するのではなく、撮影直後に確認できます。セルフィーやポートレート向けには、美肌などの調整ができるビューティー機能や、顔にリアルタイムに面白い装飾を追加できるステッカー、自分の顔写真がアニメ、コミック風に変換されるモードなども提供されています。

「アートモード」のひとつ「ゴッホ」を使いました。印象派風の写真が簡単に撮影できます

「アートモード」のひとつ「ゴッホ」を使いました。印象派風の写真が簡単に撮影できます

上と同じ構図ですがこちらは「モネ風」

上と同じ構図ですがこちらは「モネ風」

魅力的な価格とガラケーのような使い勝手のフリップフォン

今回、アップデートが間に合わずにAI機能を試せなかったのは残念でしたが、しばらく使ってみて、改めてコンパクトに持ち歩けるフリップフォンの魅力に気づくことができました。やはり片手で無理なく持てるサイズ感は持ち運びしやすいですし、閉じていればメインディスプレイを傷つける心配がないのも安心です。サブディスプレイで発信元を確認しつつ、開いて受話、閉じて終話にできるので、かつてのガラケーのような感覚で通話ができます。さらにその流れの中で自然に録音ができるのも、メモ代わりに重宝しそうです。

魅力的な価格設定に加えて、AIや大型のサブディスプレイという昨今のトレンドも押さえられていますし、「おサイフケータイ」も搭載されています。カメラもスナップ撮影を楽しむには必要十分で、折りたたみスマホが気になりつつも、これまで手が出せなかった人の、ちょうどいいきっかけになりそう。ただし、サブディスプレイで一部ボタンが使えないアプリなどもあったので、あとはデベロッパーが対応してくれれば、より魅力的なフリップフォン入門機となりそうです。

太田百合子
Writer
太田百合子
インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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