PCモニター・液晶ディスプレイの選び方
パソコンからの情報を画面に映し出す「PCモニター・液晶ディスプレイ」。複数の画面を同時に表示しやすいワイド型と、WEBブラウザーや文書作成ソフトが見やすいスクエア型があり、最近ではワイド型が主流です。ここでは、4K対応やフリッカーフリーなどの機能のほか、PCモニター・液晶ディスプレイの選び方のポイントを紹介します。
2024/12/6 更新
目次
フルハイビジョンを超える高解像度化が近年のトレンド。4K解像度のモニターが数多く登場しています。同時に、目の疲れの原因になるとされるブルーライトや画面のちらつきを低減する機能を持つモニターも増えています。さらに、スマホの画像をモニターで表示するなどスマホとの連携も見逃せません。
4Kは、1,920×1,080ドットのフルハイビジョンに対して、3,840×2,160ドットと4倍の画素数を誇ります。横の画素数が約4,000なので4K(1K=1,000)といわれています。なお、5,120×2,880の場合は5Kといいます。
モニターを選ぶときは、自分に合った画面サイズを選ぶことが大切です。サイズが大きいと作業スペースが広く見やすくなりますが、より広い設置場所を確保する必要があります。また、画面の形によってワイド型とスクエア型があり、同じ19インチ型でもワイドとスクエアでは縦と横の長さが違うので使い勝手も異なります。
モニターを選ぶときにチェックしたいのは画面の大きさや形だけではありません。モニターにはさまざまな仕様や機能を備えています。モニターの仕様や機能を知っていれば、自分に合った最適なモニターを選ぶことができます。
画面の縦と横の長さの比率で、「横:縦」で表記されています。かつては4:3が主流でしたが、最近では16:9の製品が増え、最もラインアップが豊富です。
アスペクト比から選ぶ
画面上で表示できる色の数です。表示色が多くなるほど、階調表現がなめらかになります。
表示色数から選ぶ
画面に表示される点の数を表し、フルHDの1,920×1,080が主流です。数字が大きいほど細部まで表現できるため、画像や映像を滑らかでキレイに表示でき、表示できる範囲が大きくなります。
画面の色を黒から白(白から黒)へ変える時間のこと。ms(1msは0.001秒)という単位で表し、数字が小さいほど残像が少なくなります。現在、8ms未満の製品が主流となっています。
画面内で最も明るい白と最も暗い黒の明るさの比で、画像のメリハリの強さを表します。一般的な機種は700:1〜1000:1ですが、中には5000:1といった高い数値の製品もあります。
画面から発することのできる明るさのことで、cd/m2という単位で表します。数字が大きいほうが画面をより明るくすることができます。PCモニターでは、300〜400cd/m2が主流となっています。
画面を構成するドット(画素)の大きさで、数値が小さくなるほど密度が高くなり高精細な画像となります。一般的には、0.26〜0.28mmの製品が多くラインアップされています。
PCモニターを背面から照らすライトで、光源にLEDを採用したものをLEDバックライトといいます。ほかの光源と異なり、省電力で薄型・軽量、コントラスト比が高くなるといった特長があります。
立体映像(3D映像)に対応しているモニターです。ディスプレイやメガネなどの専用機材が必要なタイプと、昔ながらの赤青メガネを用いる手軽なタイプの2種類があります。
従来はLEDバックライトを高速で点滅させることで、眼精疲労の原因になるといわれるフリッカー(ちらつき)が生じていました。このフリッカーをなくした、目が疲れにくいモニターです。
PCモニターや液晶ディスプレイは、パネルの種類によって4つのタイプに分けられます。液晶パネルは、TN、VA、IPSの3タイプがあり、かつては安いTNタイプが中心でしたが、今では低価格化が進む高性能のIPSタイプやVAタイプが主流です。また、最近では有機EL(OLED)パネルを採用した製品も増えています。それぞれの特徴を理解し、最適なタイプを選びましょう。
近年、採用製品が増えている液晶パネルです。視野角が広く、色が安定しやすいので目にもやさしいといわれています。応答速度は遅めですが、画質の高さが特長で、シビアな色表現が求められる場面で好まれます。
VAパネルはかなり純粋な「黒」を表現でき、コントラスト比を高くしやすいという特長があります。一方で、IPSパネルと比べると視野角が狭く、斜めから見た場合には性能をフルに発揮できないということもあります。
低コストで応答速度が速いという特長があり、かつては主流のパネルでした。ただし、見る角度で色が大きく変わるという欠点があり、速い応答速度が要求されるゲーム用や低価格モデルでの採用が中心です。
有機EL(OLED)パネルは、液晶パネルとは異なり、バックライトを使用しません。その代わりに自発光する有機EL素子をパネルに使用し、電気を流すことによって三原色を再現できます。発色やコントラストがよく、応答速度も速い点が特徴で、動きのある映像もきれいに表現できます。視野角が広く、斜めから見ても色変化が小さいなど利点は多いですが、液晶パネル(IPS、VA、TN)と比較すると高価格です。
Digital Visual Interfaceの略で、DVI-D(デジタル)・DVI-I(デジタルとアナログ兼用)・DVI-A(アナログ)があります。DVI-DやDVI-I端子では、デジタル信号でデータをやり取りします。
PCと周辺機器をアナログ信号でつなぐ接続端子で、VGA端子やアナログRGB端子ともいわれます。ピンの数が異なる規格があり、モニター用では、D-Sub15(15ピン)というものがよく使われています。
High-Definition Multimedia Interfaceの略で、高精細度マルチメディアインターフェイスといわれています。AV機器ではおなじみのケーブルで、1本で音声と映像をデジタル信号で伝送します。
Universal Serial Busの略で、パソコンと周辺機器を接続するために使われるポピュラーな端子です。USB(A・B)、ミニUSB(A・B)、マイクロUSB(A・B)といった規格があります。
DVIの後継として登場した、デジタル式の映像端子。DVIやHDMIよりもサイズが小さく、映像と音声の両方をデジタルで伝送できるのが特長です。複数のモニターを数珠つなぎにすればマルチモニター環境にできます。
インテルがアップルと共同開発した高速のデータ伝送技術です。USBなどの従来のコネクタよりも高速でデータ伝送ができるだけでなく、10W(USB3.0の2倍)の電源が供給できることも特長です。
アメリカ・テキサス州に本社を置く世界屈指のパソコンメーカー。PCモニター・液晶ディスプレイでは、コスパ重視の「Sシリーズ」、高機能搭載のハイエンドモニター「Uシリーズ」、オフィス向けの「Pシリーズ」を展開。そのほか、ゲームを快適に楽しむために設計されたゲーミングシリーズも展開されています。
石川県のディスプレイ専業メーカーでCRTの時代から画質と信頼性には定評があります。PC用のスタンダードモデル(FlexScan)から、厳密な色管理を可能にするジメント機能を搭載したもの、医療・鉄道・船舶などの産業用、航空管制市場用など幅広い用途に対応できるラインアップが特長。
石川県のPC周辺機器メーカーで、PC用モニターの販売では国内屈指のシェア率を誇ります。入門用からハイスペックモデルまで豊富なラインアップを展開。GigaCrystaシリーズは、業界最速クラスの高速応答で鮮明に映し出せるAH-IPSパネルを採用した同社のプレミアムモデルです。
韓国の総合家電メーカーで、液晶テレビやスマホ、エアコンなどで高いシェアを誇ります。液晶パネル供給会社としても知られており、PCモニターも世界的に高いシェアを獲得。PC用として世界初となる曲面型パネルを採用した21:9のウルトラワイドモニターもLGの製品です。
ひげ剃りでおなじみの家電メーカー。PCモニター・液晶ディスプレイの分野では後発ながら、ベゼル(枠)の薄いスタイリッシュなデザインと低価格を両立させた製品を展開し、人気を獲得。とくに、1本のUSB-Cケーブルで、フルHD画像の表示とノートパソコンの充電を同時に行える「USB-Cドッキングモニター」が人気です。
1万円を切る低価格帯の製品から、ハイスペックな4K対応モニターまで幅広いラインアップを展開するメーカーです。画面サイズもコンパクトな21.5インチから大画面で楽しめる34インチまでバリエーション豊富。最大240Hz対応の高リフレッシュレートを実現したゲーミングモニターも人気です。
モニターにスピーカーが内蔵されています。スピーカーケーブルや電源コードなどが必要ないので、パソコン周りがスッキリしますが、音質はほどほどです。音質重視の方は、別途専用スピーカーの購入を検討しましょう。
ヘッドホンやアンプ内蔵のアクティブスピーカーとモニターを直接つないで音声を再生できる端子です。パソコン本体を机の下などに配置している場合に配線をスッキリさせることができます。
モニターのさまざまな機能を操作するためのリモコンが付属しています。電源のオン・オフだけでなく、スイーベルやチルトなどのモニターを動かす機能もリモコン操作できるものがあります。
本体に複数のUSB端子が搭載されているタイプのモニターです。
HDCPとは、DVIやHDMIなどのデジタルインターフェイスの暗号化に用いられる著作権保護技術の1つです。パソコンからモニターへ送られるデジタル信号も、不正コピーが行われないよう暗号化されています。
VESAとはVideo Electronics Standards Associationの略で、コンピューター用ディスプレイなどの規格策定を行っている団体です。モニターを固定する時のネジ穴の位置、寸法などが定められています。
MHLとは、スマートフォンなどのモバイル機器を、モニターなどに接続するための高速映像伝送用インターフェイス。モバイル機器のmicro USB端子とモニターのHDMI端子を専用ケーブルで接続する仕組みです。モバイル機器は映像をモニターに出力しながら、充電することもできます。
正確な色再現を実現するための専用の調整ソフトウェアが搭載されています。デザイナーや映像製作者、プロカメラマンなど常に厳密な色管理が必要となるユーザー向けのモニターです。
モニター部分を左向き・右向きに動かせる機能のことで、首振り機能ともいわれます。
モニター部分を上向き・下向きに動かせる機能のことです。
横長のモニター部分を90度回転し、縦長画面としても使うことができる機能です。
昇降機能を備えている製品は、自分の見やすい高さに画面の位置を調節することができます。中には最大130mm変えられるものもあります。
PIP(Picture In Picture)は、メイン画面の中に小さいサブ画面を同時に表示する機能で、メイン画面ではゲーム、サブ画面でSkypeをしたり、攻略サイトをチェックするといった使い方ができます。
PBP(Picture By Picture)は、左右に同等サイズ画面を分割して表示できる機能です。POP(Picture Out Picture)も2画面を分割表示しますが、大きなメイン画面の外にサブ画面を表示します。
NVIDIA社が開発したディスプレイ同期技術です。GPUが描く画像とモニター表示のタイミングを同期させ、PCゲームのプレイ中などに発生する画面のズレ(テアリング)やカクつきをなくします。
AMD社が開発したディスプレイ同期技術で、G-SYNC同様にGPUの描画とモニター表示のタイミングを同期させ、テアリングなどをなくします。G-SYNCと異なり専用モジュールをモニターに組み込む必要がありません。
ベゼル部分(パネルの周囲を囲むフレーム部分)の幅が狭いタイプです。マルチモニター(ディスプレイ)環境で効果を発揮します。
パソコンからの出力に対応する端子があれば使うことができます。
最近の薄型テレビには、パソコンからの出力を接続できる端子を持ったものが増えています。たとえば、テレビ側とパソコン側の双方にHDMIやD-Sub(VGA)端子があれば、そのままケーブルで接続することができます。ただし、パソコン側がDVIでテレビ側がD-Subの場合は注意が必要です。パソコン側のDVIがDVI-Iであれば、変換プラグでD-Subに接続できますが、DVI-Dの場合は専用のコンバーターが必要になります。
何らかの不具合でドットが正常に表示されない状態をいいます。
ある程度はやむを得ないものとされ、あらゆるドット抜けについて交換を保証しているメーカーはありません。対応はメーカーによりさまざまです。たとえば、DELLやASUSは、一部機種について、輝点(常時点灯ドット)が存在した場合、交換保証対象としています。あらゆるドット抜けを避けたい場合は、一部の販売店が独自に行っている有料交換保証を付け、ドット抜けがない個体が当たるまで交換するぐらいしか方法がありません。
可能です。
基本的にはテレビチューナーからの出力をモニターに接続すれば画面が映ります。近年のモニターの多くはHDMI端子があるので、HDMIケーブルで接続すれば映像と音声の両方を伝送することができます。ただし、モニターにはスピーカーを内蔵してないものもあります。その場合は、別途専用スピーカーを購入する必要があります。
リフレッシュレートのことです。
リフレッシュレートとは、画面を1秒間に何回更新するかという数値で、60Hzなら1秒間に60回、144Hzなら144回更新します。一般的な用途で使う場合はほとんど気にする必要はありませんが、リフレッシュレートが高いほど動きがスムーズで画面のちらつきも少なく感じるため、ゲーム愛好家には数値の高いモニターを選ぶ方が多いようです。
視野角
モニターを斜めから見た時に、正常に見ることができる角度の範囲をを示す指標。“正常”の定義はメーカーによって異なりますが、文字が読めるかどうかが重要ポイントです。
フレームレスパネル
パネル上部と左右にあるフレーム(枠)の段差がないフラットなパネルのことです。スタイリッシュなデザインは、見た目にもすっきりした印象があります。
マルチモニター
2台以上のモニターを接続することをマルチモニターといいます。マルチモニターで接続するには、グラフィックカードがマルチモニターに対応している必要があります。
有機EL
ELとはエレクトロルミネッセンスのことで、何らかのエネルギーを得ることで特定の波長の光を放出する現象のことを「ルミネッセンス」といいます。 有機ELは、この「ルミネッセンス」を電気的に行っており、次世代のディスプレイや照明として期待されています。液晶と比べて、応答速度が速い、視野角は限りなく180度に近い、コントラスト比が非常に高い(液晶では1000:1が一般的ですが、公称100万:1という製品もあります)などのメリットがありますが、大型化すると歩留まりが悪化するということがあり、メーカーによって取り組み方に差があります。