『神童』と呼ばれた小学校時代。周りの大人達は正憲を称賛し、両親はT大医学部合格を渇望していました。
中学は私立のエスカレーター式の中高一貫校へ進学。エリート街道を順調に歩んでいたかのように思われたのですが、高校から外部生にもまれるようになっていきます。
プライドがへし折られる屈辱。しかし、その苦しみよりも、T大医学部以外の受験を認めさせてくれない両親の呪縛が重く――
親の用意したかごの中から、解き放たれる日は来るのでしょうか。
子どもは親を選べないからこそ、どういう親になるべきなのか。さまざまなことを考えさせられる作品です。
自分もね、親として気を付けねばなってよく思いますよ。
子どもに過剰な期待をしちゃいけないなとか、自分の夢を押し付けちゃいけないなとか。
でも例えば我が子に何らかの才能の片鱗が見えたりすると、ついつい欲が出ちゃうんですよ。
我が家でも、ウチの息子はゆくゆくは美大にでも入っちゃうんじゃないかとか、いやいや娘の色彩感覚もなかなかだぞ?もしかしてデザイナーとかなっちゃうかも?とかね、そういうことを考えてキャッキャしちゃったりして。
でも、それは本当に子ども達がやりたいことなんだろうか、って。
そもそもそこまでのアレか?
単なる親馬鹿ではないのか?
自分達の時はどうだった?
中学くらいまでは成績がそこそこ良かったせいで変に期待されて窮屈な思いをしなかったか?
って。
そう思い直して踏みとどまるわけです。
でもこのお話に出て来る両親は、つい欲が出ちゃったのかな。
ウチの息子なら出来る、狙えるって欲が出た。それにもう引き下がれないところまで来ちゃって……っていう。
こういう家庭、実は結構あったりするんじゃないかなって思います。
子どものことが本当に大切なら、本人の意思を尊重すべきですね。子どもだって一人の人間なわけですから。