英中銀、政策金利据え置き 景気の再加速見極めへ
[ロンドン 10日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は10日、政策金利を0.50%に据え置くことを7対2で決定した。金利据え置きも反対票の数も予想通りだった。中銀は年初にみられた軟調さは一時的なものに過ぎない可能性があるとしながらも、利上げに踏み切る前に経済が上向くのを確認したいとの立場を示した。
カーニー総裁は、景気は再び加速するとの見方を表明。「いま行動を起こすか、それとも勢いが再び増していることが確認できるまで待つか、どちらが理に適うだろうか」とし、「金融政策委の過半数の判断は、幾分の証拠が得られるまで待つというものだった」と述べた。
議事要旨によると、大半の金融政策委員が、このところの経済指標は「ソフトパッチ(景気の一時的後退)と整合性が取れている」との見解で一致。ただ「向こう数カ月で指標がどのような方向に動くか、確認する価値はある」との見方を示した。
数週間前までは英中銀は利上げを実施するとの観測が出ていたが、今回の金融政策委員会では7人が金利据え置きに支持を表明。マカファーティ委員とソーンダース委員が0.75%への利上げを主張した。
両委員とも今年これまで成長が軟調となっていることは「一時的、もしくは不規則な要因」を反映している可能性があるとの見方には賛同。ただ利上げを先送りすることは、将来的に急な利上げを実施する必要性に迫られるリスクにつながるとの見解を示した。
格付け会社フィッチ・レーティングスの首席エコノミスト、ブライアン・クルトン氏は「今年の利上げは中止されたわけではないが、先送りされたようにみえる」と指摘。
市場では英中銀の利上げ時期を巡る観測が後ずれし、英ポンドは対ドルで4カ月ぶりの安値近辺に低下。英2年債利回りはやや低下した。金利先物は英中銀が8月に利上げを決定する確率は50%以下であることを示す水準にある。
今後の見通しについて中銀は、1年後のインフレ率は2.13%になるとし、2月時点の予想の2.28%から下方修正した。2年後のインフレ率は2.03%、3年後のインフレ率は2.00%とし、それぞれ2.16%と2.11%から下方修正した。
国内総生産(GDP)伸び率見通しは、2018年は1.4%とし、前回予想の1.8%から下方修正。消費者向け融資が減速し、住宅市場が軟調となるなか、消費需要を巡る先行き不透明感は通常より高まっているとの見解を示した。
19年と20年の成長率はともに1.7%になると予想。従来予想はともに1.8%だった。
中銀はまた、予想通りに国債と社債の買い入れ枠を現行水準に据え置くことも決定した。
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