世界経済見通し、17年は3.6%に上方修正 日本は引き下げ=OECD
[パリ/東京 28日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)が28日公表した2017年の世界経済成長率見通しは前年比3.6%と従来9月の3.5%から上方修正された。世界的に金融緩和・財政出動が続くなか、米国や欧州、ブラジルなどの成長率見通しを引き上げた。
18年の世界成長見通しは従来と横ばいの3.7%。今回初公表の2019年見通しは3.6%に減速する。投資鈍化や債務水準の上昇、主要先進国の金融緩和が縮小方向に変化することなどが理由。
OECDのキャサリン・マン首席エコノミストはロイターに対し、「現在の状況は良好だが、民間セクターの力強い活動や資本の再整備、実質賃金上昇につながらない場合は今の成長率を維持することはできない」との見方を示した。
その上で「財政・金融政策に支えられ今後の指標は一定の安堵(あんど)感をもたらすだろうが、まだ為すべきことはある」と指摘。一部企業は既存資産の減価償却にみあう十分な投資を行っておらず、一段の成長にむけた投資にはなおさら慎重と述べた。
ユーロ圏の成長率は今年は9月時点の2.1%から2.4%に、来年は1.9%から2.1%に引き上げた。
米国は法人・所得税減税が見込まれることから今年は2.1%から2.2%に、来年は2.4%から2.5%に引き上げた。
輸出鈍化が見込まれる中国は今年は6.8%、来年は6.6%で据え置き、19年は6.4%に減速するとの見通しを示した。
日本については2017年見通しを従来の1.6%から1.5%に小幅下方修正した。7-9月期の国内総生産(GDP)を受けたものという。18年は従来と横ばいの1.2%、19年は1.0%としている。
少子高齢化による人手不足の深刻化で、賃上げペースが加速すると予測しており、それに伴って物価上昇率も上昇するが、政府・日銀が目標とする2%には遠く届かないとの見立てだ。
基礎的財政収支を2020年度に黒字化する財政健全化目標は達成困難とし、「消費税率の漸進的な引き上げや所得・法人税の課税ベースの拡大、環境税の引き上げ」が必要としている。
竹本能文※
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