ユービーアイソフト、創業者一族の支配権を保持しつつテンセントによる買収実現の方法を検討か 『エックスディファイアント』のサービス終了や複数のスタジオ閉鎖を受けて
テンセントによる買収の報道を受けてユービーアイソフトの株価は急騰
中国の巨大企業であるテンセントが買収の交渉中であるとの噂が激化するなか、ユービーアイソフトの株価が急騰した。
「アサシン クリード」、「ファークライ」、『レインボーシックス シージ』などで知られるユービーアイソフトは、複数のスタジオを閉鎖し、大規模な人員削減を行い、ゲームのサービスを終了するなど、厳しい1年を過ごしてきた。次の注目作『アサシン クリード シャドウズ』は発売が2025年に延期され、『スター・ウォーズ 無法者たち』は販売予想を達成することができなかった。
ロイターによると、同社の株主は、創業者一族の支配権を弱めることなく、どのように買収をまとめるかを「検討」しているという。創業者のギユモ家はユービーアイソフトの筆頭株主であり、経営陣による買収の資金調達のためにテンセントおよび「ほかの投資家ら」と交渉中であると報じられている。テンセントは10%の株式を保有する第2位株主だが、ロイターによれば、買収へ資金を提供するかどうかはまだ決めていないという。
報道では、テンセントが躊躇しているのは「資金調達と引き換えに、キャッシュフロー配分など今後の取締役会の決定について、より大きな発言権を求めたことが一因」だとされている。ギユモ家はこの条件にまだ同意していないようだが、テンセントは彼らが納得するまで待つ意向だという。
テンセントはロイターの取材に対しコメントを控えており、ギユモ家の代理人からは返答が得られていない。しかし、ユービーアイソフトの担当者は次のようにコメントしている。「当社は、すべての利害関係者の利益を最優先に考えた決断を下すため、引き続き力を尽くしてまいります。これに関連して、すでにお伝えしたとおり、あらゆる戦略的選択肢も再検討しております」
ユービーアイソフトのゲームの業績に関して驚きの発表が続いたことから、9月には同社の株価がここ10年で最低水準に急落。同社は『アサシン クリード シャドウズ』の発売延期とともに、PC版をEpic Gamesストアで独占販売する形を廃止し、Steamでも販売することを発表した。なお、『スター・ウォーズ 無法者たち』は11月22日にSteamでの販売が開始されたばかりだ。
先日には、基本無料FPS『エックスディファイアント』がサービスを終了することが発表された。さらに、サンフランシスコと大阪のスタジオが閉鎖されること、シドニーのスタジオで最大277人の従業員を解雇することも明らかになった。『エックスディファイアント』のチームのおよそ半数が、ほかの仕事に配属されるという。
ユービーアイソフトの株価は、テンセントによる買収の報道を受け、現地時間12月6日に12.52%上昇している。