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最近よく見る聞くちょっと気になる
環境と安全に関する略語の意味がわかる豆解説
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環境や安全に関する国際的活動の記事や情報には、しばしばあまり見慣れない略号が使われ、また、次々と新しい略語が出てきたりします。これらが国際的な共通表現になっていることも、多くなっています。そこで、この業界に関連して使われ、情報全体を理解するためにも必要な略語の代表的なものを取りあげて、その意味を解説してみました。 |
- LCA (Life Cycle Assessment)
ライフサイクルアセスメント
- ひとつの製品が、製造され、使用され、廃棄または再利用されるまでの段階で、その環境への影響を、投入されるエネルギー量、材料の使用量、排出される二酸化炭素量などを管理値として総合的・客観的に評価する方法。
- PRTR (Pollutant Release and Transfer Register)
環境汚染物質排出移動登録
- 化学物質が、生産、使用、貯蔵の各段階で、どの程度環境中に排出または移動しているかを、事業者が算出し、届け出ることで、自主管理を促進しようという制度。対象事業者は、年一回報告し、それを国が集計して公表する。
日本では、1999 年「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律( 化管法)」によって制度化され、2001 年4 月から実施されている。
- MSDS (Material Safety Data Sheet)
化学物質安全性データシート
- 化学品による事故を未然に防止するために、供給事業者から使用者、取扱事業者に製品ごとに配布される化学物質の安全性についての資料。また、それによって化学物質の有害性に関する情報を提供するシステム。これが、PRTRの報告のために必要になる、各事業所での取扱い物質の内容および量の把握にも有用なツールとなる。
- POPs (Persistent Organic Pollutants)
残留性有機汚染物質
- 環境中に残留し、しかも分解しにくくて、食物連鎖を通じて生物に蓄積され、人の健康や生態系に影響を及ぼす危険性のある汚染物質のこと。蒸発・凝縮しながら、長距離を移動するので、一部の国々だけの対策では追いつかない。
1992 年の地球サミットで、POPs 規制の重要性が指摘されて、2001年には「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」が採択され、日本も2002 年8 月にこの条約を締結した。
- GHS (Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)
化学品の分類および表示に関する世界調和システム
- 危険性や有害性の種類と程度によって、化学物質を分類し、その情報が一目でわかるよう、ラベルで表示したり、安全性データシートを提供しようとする、化学品の分類および表示に関する世界調和システム。化学物質を安全に製造、使用、輸送、処理、廃棄するために、世界的に統一された化学物質の分類や表示方法のルールを決め、ラベル表示や安全性データシートで示そうというもの。2003 年に国連の強制力を持たない勧告があり、日本を含むAPEC(アジア太平洋経済協力)では2006 年末までの自主的な実施、2008 年の全世界での完全実施と、今後、段階を踏みながら世界的に導入が進むものと見られている。
- HPV (High Production Volume)
高生産量既存化学物質
- とくに生産量の多い既存の化学物質に、優先順位をつけて、順次ハザードデータを蓄積して有害性を評価する、OECD の活動。OECDのHPV活動を加速するため、1998年から企業・産業界は安全性データの収集・まとめに積極的に協力している。
- LRI (Long-range Research Initiative)
長期自主研究
- 人の健康や環境に及ぼす、化学物質の影響と安全性に関する、化学産業界の長期的で自主的な研究プログラム。人の健康と化学物質とがどのような関係にあるのかを、そのメカニズムから解明し、化学物質の適正な使用法に関する知識を深め、人々の健康な生活環境の維持に役立てようというのが目的。
- REACH (Registration, Evaluation, Authorization of Chemicals)
化学物質の登録、評価および認可(通称:リーチ)
- EU( 欧州委員会) が導入を検討している、新しい化学物質規制案。化学物質の登録、評価、許可を一つに統合するシステム。世界中の化学物質管理のありかたに、大きな影響を与える可能性があるものとして、今後の行方が注目されている。
- HERA (Human and Environmental Risk Assessment)
洗剤原料のヒト健康と環境に関するリスクアセスメント(通称:ヘラ)
- ヨーロッパの石鹸洗剤工業会が進めている、洗剤のリスクアセスメントに関する自主的な取組み。家庭用の洗浄剤に使われている化学物質と製品に関して、それぞれリスクアセスメントを行ない、安全性に関しての適切な情報を消費者と行政に提供することをめざしている。日本石鹸洗剤工業会(JSDA) も、米国石鹸洗剤工業会(SDA) ととともに、オブザーバとしてこの活動に参加している。
- GMP (Good Manufacturing Practice)
医薬品の製造管理および品質管理に関する優良製造基準
- 医薬品の研究開発やその製造過程の適正な規範として、GLP(Good Laboratory Practice= 非臨床試験の実施基準)等とともに、このGMP の基準に基づく施設、設備面の必要な条件整備が求められる。このため、医薬品の工場などでは、厳格な清浄度管理、冷室温度維持管理などが要求されているが、そういった製造に関する膨大な記録類を作成し保管することや、原料・製品、設備の状況に応じた表示までもが必要とされている。
医薬部外品の製造や販売を行なう企業にも適用される。
- GQP (Good Quality Practice)
薬品等の製造販売に関する品質保証基準
- 2005 年の薬事法改正によって、医薬品製造販売業の許可要件として規定されたもの。これにより、薬品の品質保証体制の再構築が求められ、品質管理、製造販売後の安全管理の責任は、製造販売業者が負うことになる。これと同時にGVP( 製造販売後安全管理基準) という新たな基準も設けられ、開発から市販後までの基準が整備された。
- GVP (Good Vigilance Practice)
医薬品の市販後の安全性管理実施に関する基準
- 医薬品製造販売業者が、製品による副作用や不具合の発生情報を集めたり、安全性情報を出して製品の適正使用を注意喚起するためのもの。製造販売業の許可要件として、GQP( 製造販売品質保証基準) とともに、これを遵守できる体制を整えることが求められている。
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