Hewlett-Packard(HP)が2010年にPalmを12億ドルで買収したとき、HPの幹部は、評判の良いPalmのモバイルOSである「webOS」が、HPの未来において重要な役割を果たすだろうと語っていた。
企業買収が発表される際にはよくあることだが、Palmに関するHPの計画は、ビジョンとしては優れていたものの、詳細に欠けていた。HPの幹部は先ごろ、最終的にはスマートフォンやタブレット、プリンタに加えて、HPが発売するすべてのPCにwebOSを搭載する計画の概要を説明した。興味深い話であり、それが具体的にいつ実現するのかはまだ誰にも分からない。しかし、HPがwebOSでの開発を行うサードパーティーの開発者を十分に集め、webOSをほかのOSと同じくらい有用なものにしなければ、この大がかりな計画が成功する可能性は低いだろう。
そこで課題となるのが、開発者らに(そしておそらく、HP社内の多くの事業部門に所属する従業員に対しても)webOSが重要性の高いものであると認識させることだ。
ウェブベースおよびモバイル向けドキュメント管理アプリケーションEvernoteの最高経営責任者(CEO)を務めるPhil Libin氏は、Palmは買収される前、「停滞気味のプラットフォーム」だったと振り返る。「生の数値データから見て、進行中のwebOS関連の開発を正当化するのが難しくなった。当社のユーザー数は『iOS』用アプリケーションの方が数百倍多かったからだ。われわれは新しい機能を9カ月間追加していない」(Libin氏)
こうした開発者の意見は命取りになりかねないため、HPはこの点を解決しようと努力している。同社は最近、Appleの元デベロッパーリレーション担当幹部で、最近はLucasfilmの最高技術責任者(CTO)を務めていたRichard Kerris氏を、ワールドワイドデベロッパーリレーション担当バイスプレジデントとして迎え入れた。Kerris氏は、HPは開発者とともに再スタートするつもりであり、カギとなるのは、一貫性を保ち、開発者にトレーニングやサポートを提供することだという。これが意味するのは、HPの後援ではないwebOS関連イベントにも出席することや、開発者にタブレット版webOSで作業する機会を早い段階で提供すること、大学の工学プログラムを支援することだ。
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