UPDATE サンフランシスコ発--ムーアの法則にはまだ時間は残されているが、われわれはいずれ壁に突き当たる、とIntelの共同設立者の1人であるGordon Moore氏は語る。
Moore氏は米国時間9月18日、当地で開催されているIntel Developer Forum(IDF)の中で質疑応答に応じ、「今から10年後、15年後に、われわれは極めて根本的な問題に直面する」と語った。
問題は、過去40年間に半導体製造は大幅に効率化し、またチップの内部構造も大幅に小型化が進んだため、もはや改善の余地はほとんど残されていないという点だ。Intelが2007年中にリリース予定の45ナノメートルチップには、絶縁体に元素ハフニウムが採用されている。
Intelはこれまで、絶縁層を他の素材で作ってきた。しかし、今やそれらの絶縁層は5分子層ほどの薄さだ。「1分子層以上に薄くすることは不可能であり、5分子層以上に薄くすることも実際(事実上)不可能だ」(Moore氏)
物理学者のStephen Hawking氏が数年前、ベイエリアを訪れ、エレクトロニクス業界は、光の速度と物質の原子的性質という2つの根本的な制約に縛られていると指摘した。「われわれの現在の状況は、それとさほど変わらない」(Moore氏)
ムーアの法則とは、チップ上のトランジスタの数は2年ごとに倍増するというもの。これまで半導体メーカーは、トランジスタを小型化することにより、概ねこのペースを守ってきた。トランジスタの小型化は、チップの低価格化、高速化を促し、また、しばしば省電力化にも寄与してきた。
ムーアの法則は2020年代に壁に突き当たるとの予測は、2000年代はじめにIntelが発表した研究報告書の内容と合致する。しかし、Moore氏らは、研究者らが3次元積層チップを作れば、エレクトロニクス産業のさらなる発展も可能だと指摘してきた。3次元積層チップでは、トランジスタを別のトランジスタの上に積み重ねることができる。またMoore氏は別の講演で、ムーアの法則はいずれ失速するか、頭打ちになる可能性もあるとの見通しを示した。
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