ラスベガス発--セキュリティ関連のイベント「Defcon」の参加者らは、Cisco製ルータのハッキングが可能であることを証明するデモを行ったMichael Lynnに対するCisco SystemsとInternet Security Systemsの仕打ちを糾弾している。
Lynnは米国時間27日に、当地で開催されていた「Black Hat」セキュリティカンファレンスで、セキュリティの欠陥を利用してCisco製ルータをコントロールできてしまうことをデモし、大騒動を巻き起こした。同氏は、中止に合意したCiscoとISSを無視する形で講演を決行したが、CiscoとISSはこれを受け、違法に入手したプロプライエタリ情報を公共の場で開示したとして、LynnとBlack Hatの主催者を提訴した。
米産業界はLynnの行動に眉をひそめるかもしれないが、Black Hatに続いて始まったDefconでは、同氏はセキュリティ専門家やマニアの間でヒーロー扱いされている。同イベントの会場では、アンチCiscoと書かれたTシャツが飛ぶように売れ、ハッカーらは裁判費用の募金集めにPayPalアカウントを用意した。また、Lynnの弁護士を務めるJennifer Granickは、救世主として歓迎を受けている。
30日には、ネットワークセキュリティ専門家のRaven Alderが、インターネットのインフラに潜む脆弱性のプレゼンテーションを行った。AlderがLynnと同じデモを繰り返すことはなかったが、同氏は、Lynnによる情報開示はインターネットのセキュリティにとって重要なことだったと語った。会場は満員の聴衆で埋まり、一部の参加者はこれを「Cisco gate」と呼んでいた。
「Cisco製品を本当にリモート制御できてしまうことが、初めて明らかになったようだ。ネットワーク事業者にとっては恐ろしいことだ。これは本物の脅威だ」(Alder)
Lynnは、この欠陥を悪用するとインターネットが壊滅状態になる可能性があると述べていた。同氏はまた、犯罪行為を行うハッカーがすでにこのセキュリティホールの悪用するための作業に取りかかっている可能性もあると警告していた。
AlderはDefconでのプレゼンテーションのなかで、ネットワークインフラのセキュリティテストに関するガイドラインを示した。同氏は、Lynnが証明して見せたセキュリティの脆弱性について、Ciscoが4月に修正を済ませながら、7月29日まで勧告を出さなかったとして、同社を非難した。
Ciscoはこの勧告のなかで、Internetwork Operating System(IOS)の旧バージョンにIPv6パケットの処理に関する欠陥があったことを正式に認めた。この欠陥により、悪意を持つ者が特別なデータパケットを作成するとルータをコントロールできるようになってしまうが、攻撃はローカルネットワークセグメントからIPv6が設定されたシステムに対してのみ可能だと、Ciscoは説明している。
Alderは、Ciscoはこの欠陥がローカルネットワークからしか悪用できないとしているが、これが実際はリモートからも悪用可能な脆弱性であると述べた。これには、聴衆からも同様の意見が出た。アイオワ大学大学院でコンピュータセキュリティを学ぶRobert Hansenは、「攻撃をエスカレートさせてルータに十分近づけば、それに攻撃を仕掛けることも可能だ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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