新建ハウジングと住宅テック企業8社は3月7日、住宅業界における「住宅業界のDX推進状況調査」を実施した。「DXの効果を実感している」と回答したのは66%となった。
住宅テック企業として参加しているのはColife、物件王、コンベックス、リフィード、スペースリー、ダンドリワーク、ビズ・クリエイション、リブ・コンサルティングの8社となる。調査期間は2024年12月15日~2025年1月20日。住宅関連事業者を対象にインターネットを使って実施した。回答数は420人。
「DX推進についての意見をお教えください」という質問に対しては、強く推進すべきだと思う・推進すべきだと思う・状況に合わせて推進すべきだと思うを合わせると「推進すべき」という意見は99.5%に上った。また、「貴社はDXに取り組まれていますか?」という質問には、73.7%が「実際に取り組んでいる・取り組む予定」と回答した。
このアンケートは2022年、2023年も実施しており、「実際に取り組んでいる・取り組む予定」の73.7%は過去最高の数値となった。
DX推進の目的については、「業務効率化」が最も多く84.8%、次いで「生産性向上(稼働率アップなど)」(71.4%)、「顧客満足度アップ」(41.3%)となった。
DXを推進すべきか、DXの推進状況について
DXの効果については、とても効果を実感している・まあまあ効果を実感しているを合わせた「効果を実感している」との回答は65.5%となり、DX推進によって業績が向上したかについては、とても向上した・まあまあ向上したを合わせると「業績が向上した」という回答は40.9%になった。
DX推進の効果について、DX推進による業績の向上
また、人手不足の解消に貢献しているかという質問に対しては、とても貢献している・まあまあ貢献しているを合わせると「人手不足の解消に貢献している」という意見が53.5%となり、「あまり貢献していない・全く貢献していない」はわずか4.6%にとどまった。具体的な回答として、「DX推進によってテレワークがスタンダードになった」「1人で2人分の業務をこなせるようになった」「少ない人員数でありながら、DXで稼働率が上がり130%の売上成長を実現している」などの回答も得られたという。
DXによる人手不足の解消への実感
「DXに取り組んでいる(いた)」と回答した人に対して「DXに取り組んでいる(いた)期間」について尋ねると、31.9%が「3年以上」と回答。「3カ月未満」「6カ月未満」「1年未満」を含む直近1年以内でDXの取り組みを開始した企業は33.0%で、大きく増加した結果となった。
DXに取り組んでいる、または取り組んでいた期間
DX推進の担当部署については、「経営企画・事業企画・社長室など」が最も多く19.7%で、次いで19.4%が「役員直轄」「営業企画・営業部」と回答。「DX推進部」という専門部署が担当しているケースも11.4%あった。
社内でDXを推進している部署
DX推進における年間予算は、従業員数1~10人の企業では53.3%が「50万円以下」、11~100人の企業では「100万円以下」が最多。101~500人以下の企業では「300万円以下」、従業員数501人以上の企業では「1000万円以上」が最多となり、DX年間予算は企業規模に比例し増大する傾向にある。
DX推進の年間予算
話題となっている生成AIについては、「活⽤している」(28.1%)、「活用を予定・検討している」(22.4%)となり、活用方法は「住宅・物件の紹介⽂などの作成」「広告クリエイティブの作成」「情報収集」などが上位を占めた。
生成AIの活用頻度については、「日常的に活用」が最も多く33.6%、「ときどき活用」(36.1%)となった。業務効率・生産性向上について尋ねると「とても向上」「まあまあ向上」が78.1%となり、多くの事業者が効果を実感している結果となった。
利用している生成AIは、「ChatGPT」が87.3%で最多、「Canva」(26.4%)、「Gemini」(25.0%)と続く。現状、住宅事業者の生成AIの利用はChatGPT一強となっている。
活用している生成AIとは
「DXに取り組んでいる(いた)」と回答した人に対し、導入した業務改善ツールの選定理由を質問したところ、「機能が充実している」が最多で44.1%、次いで「月・年間の利用料が安い」が34.0%となった。ツール導入以外でDX推進のために行ったことについては、「社員へのモバイル端末の支給」「過去の図面や顧客情報のデジタル化」がともに50%以上の回答を得た。
業務改善ツールの選択理由、ツール導入以外でDX推進のため行ったこと
今回のアンケート結果から、住宅関連業界においてもDXへの高い関心が寄せられていることがわかった。DX推進の具体的な事例としては、「紙ベースの作業をデジタル化して処理時間を50%以上短縮に成功」「リモートミーティングが日常化しており交通・移動・宿泊費などの大幅な時間短縮を実現しつつ、生産性も向上。1人のできる業務量が大幅にアップ。さらに、経費削減にも成功」「ドローン点検により作業時間が2分の1程度に短縮できた」などが挙げられている。