調査会社のGartnerは、2022年の世界のIT支出は前年比5.5%増の4兆5000億ドル(約510兆円)になると予想している。デジタル技術を活用したプロジェクトへの期待がかつてないほど大きくなっている中、ITを担当するリーダーは、戦略立案と実行のバランスをどのように取っていくべきなのだろうか。この記事では、3人のリーダーからその秘訣について話を聞いた。
スタッフが創造的なプロジェクトに集中できる余裕を作る
PepsiCo Europeのデジタル製品および体験担当ディレクターであるMia Sorgi氏は、未来について考えるための時間を作るのは必ずしも簡単ではない上に、IT担当役員は常に日常業務に追われているという難しさがあると話す。
「デジタルトランスフォーメーションの取り組みの中には、日常的に行う必要がある、手洗いのような仕事もある。そして時には、そうした仕事がやらなければならない仕事の60%から80%を占めることもある」と同氏は言う。
しかしデジタルリーダーは、日常的にそうしたプレッシャーを受けているにも関わらず、実験をしたり、時には失敗したりするための余裕を作ることが求められている。スタッフにとって、失敗するかもしれないと思うのは不安なことだが、マネージャーは革新的なアイデアを実現に導く方法を見つけなくてはならない。
Sorgi氏は、「リーダーは、自分たちは賭けをするのだと宣言する必要がある」と述べ、それらの賭けが何につながるかを考え、そこから学ばなければならないと語った。「そのためには、明確な指針を示し、スタッフに対して『どんな結果が出るかは分からないが、それでも構わない』と伝えて安心させなければならない」と同氏は言う。
大手IT企業では、実験は仕事を進める上で重要な要素だと認められているが、古いやり方で仕事を進めている従来型の企業にとっては、それが難しい場合もある。しかしあらゆるデジタルリーダーは、そのアプローチを積極的に採用する必要がある。
「一般的に言えば、どう利益につながるかがすぐには分からないような、目新しいことを試す余裕がチームにあることが重要だ。そうした、成果があまり確実ではないプロジェクトを行う余地を確保しておくべきだ」と同氏は言う。
「スタッフがデジタル化に関して創造的に考えられるようにする必要がある。もしスタッフがありふれた作業ばかりしていたら、次に何が来るかを模索する精神的な余裕を持つことはできないだろう。それは非常に重要なことだ」