ガートナー ジャパンは6月1日、堅牢性と流動性の2つの要素を持つとする日本企業の「バイモーダル」なIT組織に関する調査結果を発表した。日本におけるデジタルテクノロジを利用する予定や実績のある企業は、全体の約5割超に当たる51.8%だった。
上記回答企業のうち、約3割の29.4%がデジタルテクノロジやその実装を支援するITサービスをソーシングする専門組織を、従来のIT組織とは別に立ち上げていることが判明した。
デジタル・テクノロジの実装プロジェクトを担当する組織(調査対象309人のうち、プロジェクトの予定/実績がある160人の回答者の内訳)
調査でデジタルテクノロジとは、IoT、3Dプリンタ、ウェアラブル端末、ヒューマノイドロボット、スマートマシン、モバイル、クラウド、ビジネスインテリジェンスなどのアナリティクス、ソーシャルメディア、デジタルマーケティングといった新たなテクノロジを指している。
調査は、国内のIT部門の中でも特にIT関連のソーシングやIT予算にかかわるマネージャー向けのアンケート調査を通して、日本における企業ユーザーのさまざまなニーズや課題を分析することを目的としたもの。4月に実施した。
今回の調査結果について、リサーチ部門リサーチ ディレクターの海老名剛氏は、従来のIT組織が中に専門チームを作るのは比較的実施しやすいという利点があり、実際にデジタルテクノロジを実装する企業の約4割が採用していたとする。だが、IT部門以外のビジネス部門にプロジェクトの価値や成果を伝えにくいという欠点があるとのこと。
こうした中で、ビジネス部門とタスクフォースを結成して取り組みを進める、さらには従来のIT組織とは別に新たな専門組織を立ち上げる企業も珍しくなくなっているという。タスクフォースを結成することにより、ビジネス部門との協業は進むものの、依然として成果物やゴールが曖昧になりやすいリスクがあるようだ。
「新たな専門組織を立ち上げれば、組織としての責任/権限を設定できます。しかし、予算やリソースを別途確保する必要があり、ハードルは極めて高いと言えます。約3割の企業がこうしたハードルを飛び越えようとしていることが分かりました。例えば『デジタル・ビジネス推進室』や『イノベーション推進室』という名称で、ITとビジネスの両部門から人材を集めた組織が、デジタルテクノロジやその実装を支援するITサービスをソーシングしています」(海老名氏)
新組織の立ち上げにはCレベルの経営層の判断も働いている。メリットとデメリットはあるが、デジタルビジネスの実現を目指す企業は、自社の取るべき組織面の施策を決断しなければならないという。「いずれの場合も、IT人材とビジネス人材が一体となった取り組みが不可欠になる」と指摘している。
回答者は、ITシステムの構築、導入、保守、運用、サービス委託先の選定に関与するマネージャー以上(一般社員は除く)の役職者を想定、有効回答数は309件だった。