MicrosoftとSAPは、SAPが米フロリダ州オーランドで開催しているユーザー向け年次イベント「Sapphire Now」で、新たなパートナーシップについて発表した。
具体的には、両社はインメモリデータベース「SAP HANA」の開発、テスト、本番ワークロードの実行環境としてMicrosoftのパブリッククラウド「Azure」を認定する。これには、「SAP S/4HANA」も含まれる。
さらに、SAPのアプリケーション「Ariba」「Concur」「Fieldglass」「SuccessFactors」が、さまざまな形でMicrosoftの「Office 365」と統合されることになった。
Office 365を利用しているユーザーにとっては、この統合で一部のタスクが合理化され、ソフトウェアを頻繁に切り替える必要がなくなる。
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たとえばAribaの場合、「Word」や「Excel」の中からチームの協調作業を行えるようになり、「Skype」を使った音声通話もできるようになる。
両社はまた、SAPのモバイルアプリ「Fiori」の管理機能およびセキュリティ機能を、「Microsoft Intune」を使って強化する計画を発表した。FioriはSAPのさまざまなアプリケーションを統合し、消費者向けアプリのような使い勝手を提供するためのユーザーインターフェースだ。
発表によれば、FioriとIntuneの統合と、Office 365とSAPのアプリケーションの統合は、2016年第3四半期に一般提供される予定だという。
Microsoftの観点から見ると、SAPとの協力関係は、過去に競合関係にあった数多くの企業とパートナーシップを結んでいる同社のプラットフォーム戦略に沿ったものだ。また、SAPの顧客に対し、Office 365を売り込むことにもつながる。
さらにこのパートナーシップは、以前からSAP HANAを実行できた「Amazon Web Services」(AWS)との差を埋めることになる。
SAPはMicrosoftとの協力関係を数年間にわたって続けてきている。2年前に、両社は別の一連のコアアプリケーションの統合を発表しており、これにはAzure上でのSAP HANAプラットフォームの開発者向けエディション利用をサポートすることも含まれていた。しかし今回の発表では、改善されたセキュリティや管理機能など、さらに多くのAzureの機能を利用できるようになっている。
一方で、AWS上でのSAPのコアビジネスアプリケーションの稼働は、2011年から認定されている。米国時間5月17日には、このパートナーシップが、「SAP BusinessObjects」を含むさらに多くのSAPのアプリケーションにも拡大されることが発表された。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。