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一 度(いちど)
- (「ひとたび」とも)一回。
- この木は世界の夜明以来、一万年に一度花を開き、一万年に一度実をつけていた。(芥川龍之介『桃太郎』)
- だが、私は今まで一度だつて、政治家になつたことはないし、なりたかつた事もないのだ。(葉山嘉樹『氷雨』)
- 一同が茶の間に集まってがやがやと今日の見聞を今一度繰返して話合うのであった。(国木田独歩『竹の木戸』)
- 程なく返事が來て、心當りの家があるから一度見に來る樣にとの事であつた。(若山牧水『樹木とその葉 木槿の花』)
- (副詞的に)いったん。
- 然し一度足を踏み入れたら、もう二度とそれを拔かしめないのが、都會と呼ばるる文明の泥澤の有つてゐる不可思議の一つである。(石川啄木『田園の思慕』)
- 彼等も嘗て一度は都會の思慕者であつたのである。(石川啄木『田園の思慕』)
- そうして一度訪うた者は、その後必ず訪問した。(国枝史郎『名古屋の小酒井不木氏』)
- じゃ、きっと彼女は着物でも着換る為に、一度家に帰ったのだろう。(江戸川乱歩『算盤が恋を語る話』)
- あるとき。
- あちこちが隙間だらけなので、鶏でも猫でも犬でも自由に通れる。(略)一度などは、馬が通過したこともあった。(梅崎春生『庭の眺め』)
- (「一度に」の形で)複数のことがらを同時に行うさま。いちどきに。
- 「…。何でも好きなものの振り出せる打出の小槌という宝物さえある。」/「ではその打出の小槌から、幾つもまた打出の小槌を振り出せば、一度に何でも手にはいる訣ですね。…」(芥川龍之介『桃太郎』)
- 温度、角度を表す単位「度」一つ分の大きさ。
- (音楽) 楽譜上、同じ高さに書かれる2つの音の音程。同度。
一回
温度、角度の1単位
同じ高さの音
一回
同じ高さの音
- 一回。
- 杯一杯の酒、その酒を飲むこと。
- 「口付きの男に、まづ一度せさせよ」とて、酒を出だしたれば(『徒然草』)