刺し子
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概説
編集保温、補強等のため麻布や木綿布などもと布地に木綿糸で部分的にかがったり、繕ったりして補強したものが始まりとされている。やがて破損の激しい肩・胸などの部分を初めから装飾的に補修しておくようになった。作務衣、道着、火消の消防着(火事装束)などに用いられている[1]。
藍色の木綿布に白糸で刺すものが定番であるが、刺子半纏などに使われる色合いやデザインの関係から、染色の段階で藍色以外の色(写真の例ではえんじ色と黒)も選ばれる事がある。また、半纏に文字・文様等を入れる関係で白い糸で刺し子生地を織った後、文字・文様部分を白抜きして染色する場合もある。その関係で最近では布・糸ともにカラフルな色合いの物も出てきている。
手芸品店では、刺し子で布巾を作るキットも販売されている。また、従来からの和装に使われる刺し子生地を使っての製品が作られる事もある(写真のポシェットなど)。
有名な刺し子技法には津軽地方(青森県西部)の「こぎん刺し」、南部地方の「菱刺し」、庄内地方の「庄内刺し子」があり、これらを日本三大刺し子という。田中忠三郎が調査・収集した刺し子のうち、津軽・南部の刺し子着786点が国の重要有形民俗文化財に指定され、学術的価値は勿論、田中忠三郎独特の審美眼にかなった芸術的価値も高いコレクションとしても知られている。
刺し子に似せて織った織物に刺子織があり、柔道着や作務衣などに用いられている[2]。
ユニクロは英国ロンドンの旗艦店で刺し子による洋服の修繕を受け付けており、物を大切に使い続けるサステナビリティ(持続可能性)や和のテイストを求める消費者に利用されている[3]。
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刺し子生地で作られたポシェット
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火消し半纏
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火消し半纏
模様の種類
編集ミシンによる刺子
編集刺し子の「風合い」を再現した家庭用ミシンが2009年9月頃から鈴木製作所により開発・販売されている[5]。手縫いの刺し子とは当然異なるが見た目は同等。キルティング用途等にも提案されている。
脚注
編集参考文献
編集- 田中忠三郎 国指定、重要有形民俗文化財『津軽、南部のさしこ着』(有)民俗民具研究所、2000年
- 田中忠三郎『津軽こぎんと刺し子 はたらき着は美しい』INAX出版、1998年
- 銀座亜紀枝『刺し子の技法』美術出版社 1992年 ISBN 4-568-32155-7
- 八田愛子、鈴木尭子『菱刺しの技法』美術出版社 1992年 ISBN 4-568-32153-0
- 五島亜希子『天極縫い』マリア書房 2006年 ISBN 4895113809
- 竹田藍『刺し子 日本の手仕事、針仕事』日本ヴォーグ社 2003年 ISBN 4-529-03917-X