みんなで明るくお見送り
2021/03/17 14:55
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
故人の長男から曾孫までが一堂に会する、お葬式の風景が壮観です。弔問客が帰った後に温泉に入ったり、ギター片手に歌い出したりと宴会のような賑やかさでした。
日本式ガルヴェイアスの犬
2019/06/11 21:19
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
葬式に集まる親族の一夜を淡々と描写した群像小説。一つのイベントをきっかけにしてコミュニティ全体を俯瞰する構造は「ガルヴェイアスの犬」に似てるけど、親戚同士のしょうもない噂とか、未成年が親戚の集まりでビールを飲む描写とか極めて日本的で面白かった。
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登場人物がとても多く、複雑だったので家系図を書きながら読み進めました。
めっちゃ面白い!!と思うことはなかったのにも関わらず、最後まで読んでみたくなるこの感じ。
今ではもう、自分の幼少期を鮮明には覚えていませんが、私も幼いながらに故人に対して思うこともあったのだろうか。
未成年飲酒多すぎないかと感じました。流石に。
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人称を消すことで、小説が成り立つのか?乱暴に言えば、そういう実験が成功している。
一番単純な例は、いわゆる会話文、回想文の主体が明示されないことによって、小説世界は読者の「ぼく」の頭の中に、他人事でない様相でひろがっていく。その感じがとてもいい。「意識」や「記憶」、生きていることの時間感覚の浮かび上がらせ方は、今までになかった新しさ、いや、大げさに言えば「失われた時」を求める小説本来の方向を真摯に描こうとする作家の意志が感じられて感心した。
作品の後半にクローズアップされている美之と知佳の兄妹のエピソードの描写の「まっとうさ」の中に、作家の世界観の「まっとうさ」があり、鶴見俊輔のいう「お守り的ことば」の使用になれた世界に対する痛烈な批判でもあることに、胸がすく思いがした。拍手。
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芥川賞受賞作文庫化ってことで購入。故人を偲ぶ通夜や葬式の場で、遺されたもの=死んでいないものたちの様々な思いが、時間的・空間的自由に書き綴られる。で、個人的には読みながら頭に浮かんでいたのは、いつか読んだ古井作『仮往生~』。識者からすると、褒め過ぎっていうことになるのかも知らんけど、私はむしろ本作の方を好もしく思いながら読んだ。それでも、大好きまではいかないけど。
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いろんな意味で小品。とある親族一族の通夜から葬式なのだが、族の関係など関係ないほどに、人生などそれぞれ色々あって、いろんな思いがあって、誰もがストレートに表現する訳もなく、そうなっているものだ、と訴えかけてくる。
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絶妙である。
お祖父さんが死んで、その葬式の一夜の話なのだが、その子、孫、ひ孫の様子や側面を少しずつ描いていき、一族の全体像が見えてくる。
みんな本当は全然別の考えを持つ他人なのに、家族という雑な枠組みで集まってくる異様さ。
葬式という厳粛な場だけど、非日常の祝祭感もある。
爽やかさもある。
こういう面白さがほんわか感じられるのが良い。
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死んで、居ない者 と 死んでいない=生者 のダブルミーニングのタイトルがぴったりだなぁと思った。
大往生し子や孫が多かったある老人の通夜の後。身内だけが居残っていて、特に悲しみも感傷もなく飲んだり会話したりしている。
その光景は自分の記憶のようにはっきりと目に浮かぶ。
何も起きないがところどころにわずかなささくれがある。
終始まったくシチュエーションは変わらず時間もほとんど進まない。
なんというか、不思議な読後感だった。
同時収録の「夜曲」もとあるスナックのとある時間帯で終始し、ところどころにわずかなささくれがある。この作家のスタイルなのだろう。
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通夜に集まった親類たちの一晩をそこに参加する一人一人の視点で、交錯する想いを描いている。たった一晩だが、人々の想いを重ね合わせてゆくと、徐々に重厚になってゆく。なかなか楽しめる一冊。
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うわ!これ!大好きです!!!!語りは幽霊のように人びとの思考と記憶を辿り、それは声も身体も超えて、時間を自在に伸縮させる。そのなかで忘れがたく描かれる機微の愛しさ。敦賀の砂だったか石だったかのところかなり好き(好きといいながら砂だか石だかおぼえていないのだからまるで信用がならない)。
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読んだ時期によるのかもしれないけど、主題に全然共感できなかったな。タイトルと違い、生物学的に死んでる人も声があり、文体は言ってしまえば最後にそのものが現れるように主語を明確に切り分けない歌のように響かせていてスムース。ただ、どうでもいい人としか読めず。興味を持てたのが唯一声を与えられてない祖母のことだったというのは、個人的な理由だけど。あまり合わなかったなー。残念
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詩と小説の中間のような、独特の文体(わたしが初めましてだっただけで、他にも沢山いらっしゃるのかもしれないけど!)
難しい文章じゃないのに、読むのに時間がかかったのはそういうところかな?
そこにただ存在する、人間たちのリアルな一晩を切り取ったお話。淡々とゆっくり流れていくリアル感が好きなひとには合うのかもとおもった。
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「通夜」という一枚の黒々した布に、その製作過程あるいは身に纏ったことのある人々が様々な角度から手を伸ばしている様を連想した。あらすじと呼べるあらすじも全然なくただ「死者」と残された様々な年齢・立場・関係・人となりを持つ親戚たちが死という一つの出来事に対して、それぞれ淡々と向き合っている。ごく自然に視点が入れ替わり、そこに章分けやカッコ書きなどの心内語と実際に口に出された言葉を分かつ明確なものは存在しない。時間軸もするりと別のところに飛んで行く。文体や進み方は一見奇妙だが、死という究極の非日常が根底にあるその場にしかないリズムが確実に存在する。そんな究極の非日常を描いておきながら、案外「現実」ってこういう流れ方をするよね、人の心ってこういう動き方をするよね、というのを最もリアリスティックに書き起こしたら結果的にこうなった、という印象があった。
登場人物が多過ぎるのも、かつ彼らの経歴や血縁関係について説明を繰り返しながら全員が面倒臭くなっていくのも、確かに滅多に会わない親戚一同の集い(それも宴会とか結婚式とかと違って、あまりプラスの感情を持ち寄らない負の集い)って、そういうドライなところがある。「死」に対峙した夜なわけだから本来身内ほどウェットにならなきゃいけないのに、結局自分たちのいる「生」側の世界の煩わしさにかまけて、かつ「非存在」の話ばかりする(死者とか、行方不明になった寛とか)。そういう奇妙かつ繊細な日常の「何か」を、この小説はこれまた奇妙なやり方でピックアップしている。そんなふうに思う。
それにしても、何かに吸い寄せられるように相次ぐ夜中の未成年飲酒は何だろう。
こういうのって、「合う人」「合わない人」いるだろうな〜!賛否両論が予想されそうだけど、すごくよかった!
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語りが移り変わっていくので、色々な人の視点で話が進んでいった
登場人物が多すぎて家系図がないと分からなくなってしまつ
2021/3/21 ★3.0
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滝口さん二作目。
茄子の輝きの、1話目のお茶汲み係を頑張って決める話くらい、第三者にわからせようとしていない、いや、正直そこはどうだっていい、それよりも、そんなことを整理したり考えている時間そのものの尊さを考えさせられる、不思議さ。
カギカッコを使わない冗長的な、客観的に影響を受けて動かされる感情のない情景。
忘れることと、忘れていないことの間のような、思い出すことと思い出さないことの間のような、死んでいない者と死んでいる者の間のような。