「おかれた場所で咲きなさい」ではなく「避ける場所に動きなさい」。
2024/03/21 16:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
行動遺伝学とは、どのようなものかを理解する端緒になる。遺伝子解析だけでなく、遺伝子編集すら容易になろうとする世界で、遺伝がヒトの能力に大きな影響を及ぼしている。遺伝子検査による学問的な展開が革命的なフェーズに入ったといえる。そしてモノジェニックからポリジェニックな解析へと向かっている。行動遺伝学では、個人差を遺伝共有環境、非共有環境で説明する。行動遺伝学の3原則は以下のとおり。ヒトの行動特性はすべて遺伝的である。同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より少ない。複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分が遺伝子や家族では説明できない。つまり共有環境よりも非共有環境の影響のほうがずっと大きい。「おかれた場所で咲きなさい」ではなく「避ける場所に動きなさい」。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
行動遺伝学について、わかりやすく解説されていてよかったす。馴染みがない分野でしたが、運など、興味深かったです。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わと - この投稿者のレビュー一覧を見る
遺伝と人生について、環境と運について、自分の向いていることについて、などが書かれています。遺伝は残酷だなぁと思いました。
「運は遺伝することが分かった現代、どう人生を送ればいいか?」の対談です。
2024/01/04 16:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「運や才能は遺伝することが、最新の科学で明らかになった。そのような現代において、人々はどう生きていくべきか?」というのをテーマに、著者2人が対談する1冊です。
決して結論は出ていません。ですが、決して遺伝的運・才能に恵まれない人々を揶揄する話ではなく、様々な方向から話し合われています。むしろ、読み進めるのが面白く思える内容でした。
投稿元:
レビューを見る
タイトルの命題は単純に考えればあり得ないが、考え方によってはありと思う。著者たちはどんな根拠でそう考えるのか知るために読みたい
#運は遺伝する: 行動遺伝学が教える「成功法則」
#橘玲
#安藤寿康
23/11/10出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/40xiJqt
投稿元:
レビューを見る
著者の本を何冊か読んでいれば、その遺伝に関する考えは理解できるだろう。気になった個所は以下の通り。
・リベラルと保守の違い。保守派の特徴は言語能力が低い(知能が低いとは言えない)こと。言語的知能が低いと未知の世界が怖いところだと感じるようになる。そうなると友人や知り合いだけの狭い世界で生きていくのが快適。皆が自分のことを知っていれば、いちいち説明する必要がないから。これが保守のパーソナリティ。一方、言語的知能が高いと問い詰められても説明できるため、未知の世界を恐れない。違う国の文化や宗教に興味を持ち、海外で働くことも面白いと感じ、恋人も文化圏の異なる相手の方が刺激的だと感じる。これはリベラルの典型的なパーソナリティ。
成功に外交的な性格は関係ない。実際ギャンブル依存症やドラッグ依存症には外交的な人が多い。脳科学のレベルでは外交的とは快感の閾値が高く、多少の刺激では覚醒度が上がらず、強い刺激を好むことと説明される。
・思春期後半で安定してきたパーソナリティを手掛かりに、自分の特性を生かせる環境を捜すべき。環境に無理やり合わせるのではなく、特性に合った環境を捜して、それに応じた知識を学習する。又は自分に合う環境を自分から創り出す。そうすることで人生における成功確率はグッと高くなる。「自分が何に向いているかを見つける」自分の能力を知る最初の手掛かりは、何に興味を関心を持つか。やりたいことが何もないという人が増えているが、ほんのわずかな「(遺伝的な素質の)起伏」でもいいから、山を登ってみる。「好き」という感覚の生まれる環境へと移動する。←子供にこれを解ってもらいたいのだが…。
・華僑は東南アジア全般で強い支配力を持っているが、日本や朝鮮半島ではそんな事は無い。これは朝鮮半島やにほんのヒト集団が、中国人と同程度の知恵を持っていたから。ヒト集団の認知能力の違いを無視して、華僑の分布に地域差があることを説明できない。世界の最貧国で、徹底した独裁制の北朝鮮が優秀ななロケットを次々と打ち上げている理由もこのため。
投稿元:
レビューを見る
いつもの橘節だけではなく対談なので、他の意見も聞けてなお参考になった。印象に残った文章として、安藤さんが言う「確かに行動遺伝学の研究で知能なら60%位非認知能力でも30から40%の遺伝率があることがわかっていますが、ここで測っているのは、あくまでも一般的な知能であり一般的な非認知能力に過ぎません。わかっていない残りの能力に、その人にとっては非常に大事なことがある」と言うが、くだりが参考になった。
投稿元:
レビューを見る
「言ってはいけない」の橘氏と、行動遺伝学の泰斗である安藤氏による対談形式で、最新の行動遺伝学の研究からから導き出さるれている事実と、その事実を前提に教育のあり方等様々なテーマが議論されるている。
遺伝の影響を受けていない表現型や知能、様々な能力、パーソナリティはないという不都合な事実を正しく認識し、その事実を前提に世の中で起こっている事象を理解しないと間違いを起こしてしまうし、皆が生きやすい社会は実現できない。遺伝的な適正を見つけることが幸せにつながることを教えてくれる1冊。
投稿元:
レビューを見る
正に夢の対談。
そしてお二人の造詣の深さに感銘を受ける。
敢えて断定的に話そうとする橘さん。
「それでも解釈の余地があるよ」と余白を提示してくださる安藤先生。
お二人のキャラクターのバランスが見事な一冊だった。
投稿元:
レビューを見る
流石の橘玲さん。エビデンスベースで良質な物語を紡ぐチカラは圧倒的。安藤寿康さんも凄いんだけど、領域の広さと深さ、言葉の選び方が神がかっていて比較にならない。
人工的なゲノム編集と自然淘汰で環境適応遺伝子が残ってきた事実とは、構造上は同じでも時間軸が圧倒的違う。100万年単位のことが、数年、若しくは数日で可能になる。この事実に二人は気付いていて言及してないのか、気付いていないのか。気付いてないわけないから、言及しても落とし所がないって思ったんだろうな。
ユヴァル・ノア・ハラルが人類は神を目指すって言ったのけど、遺伝子はいつまでもブラインドウォッチメーカーでいた方が幸せだと思いました。
投稿元:
レビューを見る
橘氏、安藤氏ともに切れ味鋭い見解を示してくれるので、彼らの著書を読んでいると気持ち良い。今回もタブーとされている遺伝子に関するものだが、対談という形の本であった。お二人ともに知見が豊富で、遺伝学の素人で読解が苦手な私にとっては、かなり読み進めることが困難であった。内容的にも、それぞれが以前書かれていたものと大きな違いはなかったように思われ、新しい気づきはそこまでなかった。
投稿元:
レビューを見る
知性と豊富な表現力を備えた方々の対談というのは、本当に面白い。
橘さんが自説や過去の著作で披露してきた知見を縦横無尽に展開するのに対し、安藤さんが防戦的に対応している様子が目に浮かんだのですが、あとがきを読むと、それが安藤さんのスタイルだと理解しました。
安藤さんが説く行動遺伝学の理屈や概念は、私には理解が難しい点もあるのですが、読者の立場から橘さんが確認、言い換えをしてくれるので、助かりました。今後、安藤さんの著作にも挑戦したいと思います。
投稿元:
レビューを見る
運についての話だと思ったら、遺伝の話だった。確かに、遺伝的な話で解決できるところはありと思いますが、実態がわかっていないのも事実。今後の研究に期待する。
投稿元:
レビューを見る
知性/能力/性格といった個人の特性。
それらは遺伝の影響を大きく受けており、また歳を重ねるたびにその割合は上昇する。
この事実を直視せず、育児や教育あるいは政治や社会の方針を展開しても、意味は無い。
投稿元:
レビューを見る
p18 遺伝子診断 23andMe ,Genelife(1万円強)
p22 人間には3つの自分がある。一つは自分の思う自分、2つ目は他人が見た自分、そして3つ目は本当の自分だ
チャールトンヘストン
p34 Green Chord 介入可能な遺伝子診断
p79 トルストイ アンナ・カレーニナ
幸せな家族いずれも似通っている。だが、不幸な家族にはそれぞれの不幸な形がある
p81 学校や塾の教師なら、小学校のときに一生懸命勉強して難関中学に入った子供も中学になると、たいして勉強ができなかった子供にどんどん追い越されていくことをしっています。後者は一般に地頭がいいといわれますが、成長とともに遺伝的な資質が現れてくると考えれば納得できます。
なぜ親は幼児教育(お受験)に夢中になるのかも説明できそうです。幼児期は遺伝より環境の影響の方が大きいから、親の努力が結果に結びついて報われやすい。ところが思春期を過ぎると、本来の遺伝的な資質で成績が決まり、子育ての努力は報われなくなる
p91 幼児期には母親の態度で子どもとの愛着が形成されうが、それは人格形成には影響を与えない
p121 ここからわかるのは、親の子育てによって子供の性格が決まるというよりも、子どもの正確に合わせて親が子育てのパターンを変えているということです。すくなくとも、親が子どもに一方的に影響を与えているものではなく、親子も相互作用のある人間関係の一種で、影響は片方向でなく、双方向で生じているのでしょう
p186 ワーキングメモリは大きく分けて3つの機能で構成されていると考えられています。一つは抑制機能、2つ目は注意を適切な対象に向けるスイッチング機能、3つ目は古い情報を新しい情報で上書きする機能です。
子供のときに行われたマシュマロ・テストの結果とワーキングメモリの中心的機能はかなり重なっていて、かつ遺伝的影響が非常に大きい
p195 イギリスで行われた研究で、若い男性の失業者や、失業期間の長い中高年を支援してもさしたる改善はみられなかったけど、母子家庭を支援したら大きな結果があったそうです
p214 身体的な感覚を扱うネットワークが先に発達して、その後、社会的な評価を扱うネットワークが発達してくる
p227 2006年のアメリカ映画 idiocracy
アメリカ陸軍の人間冬眠実験に選ばれた平凡な青年ジョーは、期間一年のはずが、さまざまなトラブルで実験そのものが忘れ去れ、500年後に目覚めることになる。そこは人類の知能が大きく低下した世界で、ジョーは唯一のインテリとなり、内務長官に任命され機器に立ち向かう話
p254 東アジアの一番端にある島国に押し込まれ、人口稠密なムラ社会に適応するために自己家畜化していったのが今の日本人だというのが私の仮説
p265 SNSによって初めて評判が可視化された