両足を揃えてまっすぐに立ち、上体を前に倒して、膝を曲げずに両手を床につけるようにする。
この時、指先が床まで届かなかったり、ふくらはぎや太ももに痛みを感じるようなら、ふくらはぎが硬くなっている証拠だ。反対に、体の柔らかさは、血管の強さに繋がる。
硬くなったふくらはぎに対しては、ふくらはぎを柔らかくし、ミルキングアクション(血液を心臓に送り返す働き)を促進する「かかと上げ下げ運動」が効果的だ。
具体的な方法は図3のとおり。この運動は立ってやるだけではなく、座ってやってもいい。また、寝ながらつま先を伸ばしたり起こしたりしても同様の効果が得られる。いずれも一日1分程度行えば充分だ。
それ以上の効果が期待できるのが「つま先歩き」だ。
つま先で歩くと、下半身には体重の4倍の負荷がかかる。その結果、ふくらはぎの筋肉が刺激されて筋肉内の毛細血管が増え、全身の血流がよくなるという仕組みだ。最初は一日10歩程度で十分。一日30歩を限度に、無理のないよう徐々に増やしていこう。
同じく高沢医師がすすめるのが、「足裏たたき運動」。血管若返りが期待でき、血液の循環も促してくれる。
ここまで紹介してきたとおり、血管をしなやかにするには運動が効果的だ。それも息をつめて一気に走る100m走のような無酸素運動ではなく、ゆっくり酸素を取り入れながら行う有酸素運動がよい。
「有酸素運動を行うと、筋肉の代謝がよくなり、血液がゆったり流れます。内膜の内皮細胞にとって、血液がゆったり流れるのはいいことで、血管の若返りにつながるのです。
また、筋肉の代謝が盛んになると、毛細血管が増えます。道路に喩えるなら、道が増えることによって渋滞が解消され、車(血液)がスムーズに流れる状態になるのです。これだと心臓は血圧を上げて血液を流さなくて済む。血管によく、高血圧対策にもなるわけです」(前出・島田医師)
最も手軽で基本的な有酸素運動は「早歩き」だ。時速6kmくらいのスピードで、一日20分歩く。これを続けると、血液の流れがよくなる。そのメリットは絶大だ。前出・高沢医師の解説を聞こう。