佐々木俊尚が5人の若者に迫る『21世紀の生き方』第5回「ぼくたちが考える『幸せ』、そして『喜び』」
第4回はこちらをご覧ください。
「幸せ」って何だろう?
佐々木: さて、最後にみんなで幸せについて考えてみましょう。これまでの話で、こういう仕事の仕方をしていて、こういう生活をしていて、仲間をどのように考えるのかという話をしてきて、では幸せの定義っていったい何なんでしょうね。それは変わってきているのかどうか、これは大事なテーマなんじゃないかと思うので、米田さんからお願いします。
米田: その定義は完全に変わっていますね。与えられるものじゃないんじゃないですかね。自分で考えて、自分の一回きりの人生と自分の持っている唯一の身体、与えられた条件のなかでどういうふうな生き方をすれば幸福になれるかというのは、自分しかわからないことですよね。
先ほど本が売れないという話もありますけれど、著者の人生の設定条件で著者自身は成功できても、その人にはなかなかなれないので、もちろんそれを参考にして勉強することは必要な時代だと思いますが、それを真似ても仕方がないでしょうね。僕は情報化社会のなかでソーシャルメディアをめちゃくちゃ使ってはいるけれど、一次情報とか一次体験しか最終的に信じないようになってきていますね。
そこに突っ込みたいから、ノマドという言葉で何か都市というものをシェアできないかというコンセプトを持ってやってみたんですが、誰かから与えられた情報で自分の幸福モデルを作っていると、ずっとそれに振り回される人生になるんじゃないですかね。たとえば、昔は「DINKS」とかいろいろあったじゃないですか(笑)。
佐々木: そういうステレオタイプ的な幸せの概念をマスメディアに提起されていて、そこに当てはめないと不安を感じるとか、逆にその幸福を演じてしまったりとかね。
米田: だから、大企業に入るのが難しい時代になると今度は起業した人が格好いいとかイケてると言われるんですが、みんなが起業できるわけではないし、自分の能力というのはまた違うところにあるかもしれないし、今はそういうステレオタイプから降りることが必要じゃないですかね。
佐々木: 要するに定義されたモデルではないところをどうやって見つけるかということですかね。では、いきなりphaさんに行ってみようと思いますが(笑)、幸せの定義は変わったんでしょうか?
pha: どうなんですかね。自分自身でいうと、生きていてインターネットがあればいい、というか。何ですかね、友達とか仲間がいて孤独じゃないことというのと、あとは何かやることがあることで、僕の場合はブログを書いたりサイトを作ったりすることなんですが、自分のやることを持っていたらいい、という感じですね。
佐々木: 何か足りないことはありますか?
pha: お金があんまりないので、もっとあったらいいなとは思いますが、まあ何とかやっているので、自分のなかではこれが最高なんじゃないかな、と思いますね。
佐々木: たとえば今phaさんは32才ということですが、まだ人生は50年、半世紀くらいあるわけですよね。その半世紀のなかで、何かステップアップしていかなければならないとか、そういう感覚はあるんですか?