『メンズエステ嬢の居場所はこの社会にありますか?』(KADOKAWA)は、実際にメンズエステ嬢として働いていた鶴屋なこみんさんが、自身の体験を元に、男性客との駆け引きやトラブル、同僚たちとの交友をリアルに描いたコミックエッセイだ。
メンズエステとは、女性施術師が個室でオイルを使って男性客の体をさすったり、
資格や経験、経済的余裕を持たず、生きづらさを抱える女性がたどり着いたメンズエステの世界。時給4000円――「工場でエプロンと長靴で働いているより、生きていけるお金を貰える」が、一方で心は傷つき、大切なものが失われていく。
本稿では、主人公・みんがメンズエステの世界に飛び込むまでのエピソードを紹介する。
「この世界に生きるのに向いていない」
主人公のみんは、家庭の事情により突然実家を離れなければならなくなることに。最初は時給790円の焼き鳥工場で働いていたが、一人暮らしするには稼ぎが足りず、徐々に勤め先での人間関係にも悩むようになる。
新しい職を探さねばと求人を眺めるものの、向いていそうな仕事は見つからない。「この世界に生きるのに向いていない」と、落ち込んでいたところに、ある一つの光明が差す。