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漫画のキャラが「差別主義者のマスコット」になっていた…作者の怒りと後悔

アーティストにとって、ここまで最悪な出来事は、なかなかないだろう。ドキュメンタリー『フィールズ・グッド・マン』(3月12日より公開)を観て、まず思った。

自分が描いた漫画のキャラクターがインターネットの匿名ユーザーに盗用され、オリジナルとまったく異なるイメージを上書きされ、拡散されていく。いわゆる「インターネット・ミーム(ネタ画像)」なのだが、本当に最悪なのは、これがレイシストに利用され、そのため人権団体によって「ヘイトシンボル」のレッテルを貼られてしまったことだ。

 

作者自身がモデルの、呑気なカエルだった

主人公のマット・フューリーは幼いころから絵が大好きで、いつもカエルを描いていた。そして2005年、26歳のときにサンフランシスコのリサイクルショップで働きながら、友人たちとのありふれた日常の断片や少年時代の思い出を拾い集め、漫画『ボーイズ・クラブ』をつくった。ページをめくると擬人化されたイヌやクマ、オオカミ、カエルのキャラクターがマリファナを吸ったり、コカインやLSDを試したりして、バカをやって呑気に楽しんでいる。カエルのモデルはマット自身で、名前はペペだ。

『フィールズ・グッド・マン』

マットは原稿をスキャンして、当時、音楽ファンを中心に盛り上がっていたSNS「マイスペース」にアップロードした。誰でも気軽に閲覧できるようにしたかったからだ。しかし、それが長く続く悪夢のきっかけとなった。ペペから出たふきだしの「フィールズ・グッド・マン(気持ちいいぜ)」という台詞に目をつけた読者がアメリカのどこかにいた。

マットが小学校2年生のとき、いとこがパンツとズボンをトイレの床まで下ろしてオシッコをしているのを目撃した。その姿があまりにも気持ちよさそうだったから覚えていて、マットは漫画にとりいれる。お尻丸出しで用を足したペペが、「フィールズ・グッド・マン」と言う。

そんなペペを最初にミームにしたのは、意外にもボディビルダーたちだった。

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