以前から指摘されていた中国の弱点
米国の対中戦略に関する匿名論文を紹介した先週のコラムは幸い、多くの反響をいただいた(https://gendai.media/articles/-/80395)。そこで、今週も続編を書く。私が注目したのは、中国の強さではなく、弱さについてだ。中国の弱さはどこにあるのか。
「より長い電報」と題された論文の本体は1月28日、米国の超党派シンクタンクである大西洋評議会のサイトに公開された(https://www.atlanticcouncil.org/content-series/atlantic-council-strategy-paper-series/the-longer-telegram/)。同じ日に要約版が政治メディア、ポリティカにも掲載された(https://www.politico.com/news/magazine/2021/01/28/china-foreign-policy-long-telegram-anonymous-463120)。
先週は主にポリティカ版を基に紹介したが、要約でも、かなりの長文である。今週は本体の大西洋評議会版を基に紹介するが、日本語に訳せば、1冊の本になるほどの分量なので、それでもごく一部にすぎない。まずは「中国の本質的な矛盾について」である。
論文は次のように指摘する。
この矛盾は従来から、あちこちで指摘されてきた。政治がイデオロギーに支配され、人々の自由に制限を加えているので、自由取引によって成立する市場経済はフルに機能しない。それでは、長期的な成長が望めないのだ。